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草子ing 第一弾 『町工場×イノベーション』 トークイベント

草子ing 第一弾 『町工場×イノベーション』 トークイベント

【日時】2014年1月17日(19:30-21:00)

【ゲスト】根津孝太さん(znug design)

          横田信一郎さん(ナイトぺイジャー)

【会場】 mass×mass 関内フィーチャーセンター

【共催】 mass×mass

 

今回のイベントは、町工場とイノベーションというテーマで行われた。

町工場の経営者とデザイナーの対話を通して、町工場で起きるイノベーションに光を当てようとしている。

 

町工場、コミュニケーション、イノベーション、

 

 

町工場の変わらぬ価値

町工場には、色あせない価値が存在する。

1つ目に、町工場という空間が挙げられる。実際に訪れた経験のある方にはわかるが、モノづくりの現場には人びとを惹き付ける迫力がある。特に、IT技術の発展によるバーチャル空間の増加が進む現代において、町工場の魅力にひきつけられる方は多いと思う。なぜなら、失われつつあるリアリスティックな空間を具現化しているのが、町工場であるからだ。

 

2つ目に、町工場がもつ技術力の高さがある。日本の町工場の技術力は、やはりレベルが高い。日本製品であることが一種のブランドになりえることがその証拠である。同じようなアイディアを持つ外国人がいたとしても、かれらの周りにはそれを実現できる技術いない。プロトタイプを製品化に結びつける難しさを考慮すると、それは日本のモノづくりにとって大きな力となっている。これが、日本のモノづくりのレベルの高さにつながっていると感じる。

 

3つ目に、町工場のモノづくりへの追求が挙げられる。町工場には、より良いものをつくろうとする風土がある。要求に対して、それを超えた提案が返ってくることが普遍的である。これは、新しいモノをつくるために欠かせない。なぜなら、価値への追求が、既存の製品を超える新しいモノの誕生に寄与するからである。そのような意味で、町工場のモノづくりへの執着は、普遍的な価値がある。

 

 

新たな町工場

一方で、このような町工場に転換期が訪れている。

これまでの町工場には、「口を動かさず、手を動かせ」という風土があった。同じ地区にある町工場の間に、友好関係はなかったのだ。なぜなら、それぞれの町工場に、それぞれの取引企業があったからだ。また、それらから十分な仕事を得ていた。つまり、一つ一つの町工場が協力する必要はなく、閉じた職場で十分であったのだ。町工場の一代目には、そのような伝統がいまだに残っている。実際に、新しいプロジェクトに参加する一代目はほとんどいない。

 

 

一方で、そのような状況に危機感を覚えているのが、町工場の二代目や三代目である。

現在、取引相手である大手企業の業績は不安定だ。実際に、高度成長期の日本の製造業は、ROEで12~13%を誇っていたが、現在では5%に過ぎない。これは欧州企業の10%台、米国企業の20%台と比べ、明らかにすくない。また、円高や人件費削減、海外需要の取り込みを理由に、多くの大手製造業者は海外生産シフトを採用している。これらの影響で、需要が減少していく町工場の経営は厳しさを増している。

 

このような状況下で、町工場は変化を求められている。そこで、かつての孤立した町工場は、交流を通して、横のつながりを持つようになった。横のつながりを持つことで、新しいモノをつくっていく必要を感じたからだ。

誰かが新たなプロジェクトを立ち上げる。そこで、プロジェクトに魅力を感じる人びとが有機的につながる。これらが、従来になかった横のつながりを生み出している。

 

それを象徴するものが「下町ボブスレー」である。「下町ボブスレー」は、東京下町で暮らす町工場の職人たちが、初の国産ボブスレーをつくり、オリンピックに挑戦するというプロジェクトである。しかし、このプロジェクトの本当の意味は、それに成功するという点にはない。「下町ボブスレー」というプロジェクトの重要性は、町工場どうしをつなぐ機能にあるのだ。従来の町工場は、親会社などの取引先企業としか交流しなかった。他の町工場は、むしろ商売敵であった。しかしながら、このようなプロジェクトがつくられることにより、町工場には新たなつながりが生まれるのである。

 

ここにモノづくりに必要な「コミュニケーション」が生まれるようになっている。

 

コミュニケーションと新しいモノ

様々なプロジェクトが、「コミュニケーション」の地盤をつくる。これは、モノづくりにとって非常に重要な要素である。なぜなら、「コミュニケーション」は、人々のアイディアを引き出すという機能を担っているからだ。様々な人のアイディアが引き出されあうことで、クリエイティブな場が発生する。このクリエイティブな環境がモノづくりには欠かせない。したがって、町工場には、モノづくりへの大きな可能性がある。

 

一方で、大企業には「コミュニケーション」が少ない。それだけでなく、かれらにはモノへの理解が足りない。モノの価値を正しく認識できていない者がつくる「モノ」に価値や魅力は生まれない。したがって、モノづくりへの可能性は、大企業でなく、町工場にある。大きな企業は、小さな企業とフラットな関係を築くことで、新たなシナジーを追及すべきである。日本の製造業には、小さな会社が大きな会社を助けるという構図が必要である。

 

新たなつながりが土壌となり、プロジェクトへの有機的なつながりを促進する。これが、「コミュニケーション」の多様化につながり、新しいモノを生み出すのだ。

 

 

 

これからの町工場

町工場で働こうとする人は、技術から入らないでほしい。

ここに、横田さんの思いがあると感じる。

毎日つくっていた鉄の塊が、ある女の子にとって、恋人への誕生日プレゼントになった。これは、非常に感慨深い経験であったという。常に同じ作業を行う傾向にある町工場の職人にとって、それは新たな価値の発見であろう。モノは、様々なプロセスを経て、消費者に届けられる。この一連の流れを知り、最終形態を認識することで、町工場の職人は新たな喜びを見つける。

商品化を目指すプロジェクトに参加することで、これらを認識することができる。自分の仕事の価値をより正確に認識できるようになる。もちろん、技術から入らないでほしいという意見の背景にも、この思想があると考える。

 

全体像を把握できる職人が、有機的なつながりを得ることで新たな価値を生み出す。町工場には、イノベーションのための土壌が着実に養われ始めている。

                                                  

横田さんにより、開発中の製品が姿をあらわあすと、会場の空気感は一変した。

参加者の視線は、その製品に惹きつけられた。ここに、町工場のイノベーションの魅力がある。広告などのマーケティングなしで、人々の視線をここまで集めることができる。

町工場のイノベーションから目が離せない時代がすぐそこにあると感じさせるイベントであった。

(Editor:戸井健太)

 

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