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禅カフェvol.4 テーマ:農業のオープンソース化を考える

町工場が農業の生産性向上に貢献する、マイクロ農商工連携!

11月17日(日)、mass×mass関内フューチャーセンターにて、禅カフェvol.4を行った。

 

禅カフェは、禅問答にインスピレーションを受けた対談の場、zenmonoのリアルな会合だ。オープン、シェア、共感、幸せをキーワードに、モノづくりの未来について語り合う。

 

今回のテーマは、農業のオープンソース化を考える。農業からの面白い視点ということで、有限会社ユニーク工業の羽廣保志さんをゲストにお招きした。2年前、enmono(三木・宇都宮)がFacebookで羽廣さんの活動を知ったのがきっかけで、以前も取材にご協力いただいている。

ユニーク工業は群馬県で機械加工を行う製造業だが、代表取締役の羽廣さんがまとめたビジネスモデルが、農業ビジネスプランコンテストでグランプリを獲得。多くのメディアが注目した。その「A-1グランプリ2011」で優勝した「農機具カスタマイズ計画」について伺いながら、ディスカッションした。

 

羽廣さんは農商工連携という言葉が流行になる前から、農機具カスタマイズのサービスをスタートしている。まず、サービスを始めた経緯を伺った。

 

羽廣さん:「2008年に数名で、下請けの底力グループという株式会社をつくりました。リーマン・ショックの時、周りの会社はどこも大幅に仕事がなくなりましたが、そのような状況でも農機具カスタマイズの仕事はなくならなかったと聞きました。それで、本格的に営業をしたらどうなるのだろうと思ったのがきっかけです。調べてみると農機具のメンテナンスサービスは農家さんにとって十分なものではなく、修理や改造のニーズがあると知り、農機具改造のビジネスを始めたのです。そのビジネスモデルをユニーク工業が引き継ぎました」

 

羽廣さん達は、農機具メーカーが対応できない部分にビジネスチャンスを感じたようだ。そして、従来のお客様や知り合いの農家の方に、どんな問題があるのか、どんなことに困っているのか、徹底的にヒアリングをした。ヒアリングは専門的な話になる。羽廣さんは「これでは農家の方に信用していただけない」と感じ、専門学校や大学で農業の実態を勉強したり、実際に農業を経験したそうだ。

 

羽廣さん:「農家さんにお話を聞くと、農機具を改造してくれる農機具屋さんが少ないとのことでした。農機具屋さんも設備がないと、部品の形を変えるだとか違う部品をつくるような、加工が伴うことはできません。図面が必要となる要求などには、まず答えてくれません。農家さんは自分がやりたい農業に合わせて、機械を改造したいのです。溶接機などを持っていて、ちょっとした改造はご自身でされていますし、農機具が好きなカスタマイズマニアの方もいらっしゃいますが、本格的な改造となると私達のところへ駆け込んできます」

 

どのような依頼があるのだろうか? 修理・改造の内容がスクリーンに映し出された。

○小型トラクターの改造

除草作業専用に使っているお客様から、作業をスピードアップさせたいという依頼。プーリーを大きくすることによってスピードアップだけでなく、燃費、騒音も改善した。

 

○ゴボウハーベスタ(ゴボウを掘り上げる機械)の改造

プーリー内部に泥が詰まり、泥抜きのたびに作業を止めなければならないという悩みを抱えるお客様からの依頼。前後にあるリブを互い違いにすることで泥が落ちるようになり、泥詰まりがなくなった。建機で行った事例を農機具に応用。

 

○トラクターの改造

収穫したキャベツをダンボールに詰めてフォークリフトで運んでいるが、フォークリフトは泥道を走りにくいという相談。トラクターにフォークのユニットを取り付け、ダンボールを上げ下ろししたり運搬できるようにした。

 

○コンベアの改造

ネギを運搬するためにコンベアの幅を拡げたいという依頼。モーターなど利用できる部分は活かして、架台やローラーを製作した。新しい機械を買うよりも費用がかからず、コンベアを廃棄する必要がなくなった。

 

その他にも、ロータリートレンチャー(深い溝を掘る機械)の駆動シャフトの製作、フォークリフトのバケットの補強などがある。特に野菜関係の農機具に、カスタマイズのニーズがあるそうだ。

羽廣さん:「農家さんにとって作業中に機械が止まってしまうことは、大きなデメリットなのです。野菜は待ってくれないですから」

 

工作機械の場合、購入後30年はメーカーがメンテナンスしてくれる。それに比べ農機具は15年で保守期限が終了し、交換部品がなくなったりしていて、新しい機械に買い替えるのだそうだ。新しい機械を購入する時には、多額の補助金が出るという。

 

羽廣さん:「農機具屋さんやJAさんに、営業を担当している高垣さんが営業したところ、考え方は千差万別で、歓迎してくださるところもありました。仲良くなった農機具屋さんからは、農家さんから注文があった時に、新品の状態で依頼をいただいています」

営業を担当している、株式会社ロブストスの高垣さん営業を担当している、株式会社ロブストスの高垣さん

時には農業の慣習とぶつかり、お世話になっているJAから「それはやめてほしい」と言われることもあるようだ。

 

来場者:「農家さんの話を聞くと、現状を変えられない、掟のようなものがあるように感じます」

 

最後に、農業のオープンソース化について議論した。

三木:「今後、カスタマイズのある部分を標準化したり、場合によっては一部の図面を公開してもいいという考えはありますか?」

 

羽廣さん:「それは大丈夫です。こちらも(改造する農機具の)図面が欲しいな、と思うことがあります」

 

三木:「これからは、部分的には図面を開示するような農機具屋さんが出てきてもいいのかな、と思います」

 

羽廣さん:「乾田直播といって、乾いた田んぼに直接種をまく方法があります。田植機が不要になるなどコストダウンが可能になり、安くで美味しいお米ができるのです。変わることは難しいことですが、そういう方法を勉強して取り入れる農家さんが増えてきて、評価されていたり、変わってきていると感じる部分もあります」

 

三木:「町工場が農家さんの設備や技術となって、例えばオープンソース農機具のようなモノづくりのインパクトで、農業の影の部分に風穴を開けられないでしょうか? 羽廣さんのやり方を広めて、それぞれの地域で展開するのです」

 

羽廣さん:「既に私の周りで、少しずつ広がりをみせています。農家さんも、近くの町工場がどんなことができるのか分かれば、駆け込む人も出てくるでしょう」

 

三木:「設備コストがかからなくなります。原価が下がれば、農業が儲かるビジネスになり、そこにまた新しい人が育ちますし」

 

羽廣さん:「そのためのFacebookページかな、と思っています。農機具カスタマイズ計画のFacebookページでは、農家さんが抱える問題から改造内容まで掲載しています」

 

今回は羽廣さんのチャレンジ精神を学ばせていただいた。来場者の中に、農業をやってみようと考えている方がいらっしゃったこともあり、羽廣さんは農業の魅力を熱く語ってくださった。羽廣さんと同じようなことをしたいと思う方が、出てくるかも知れない。

禅カフェでは結論を出したりはしないが、次回も対話をしながら、参加した人の中に何か答えが生まれるであろうことを期待したい。

 

 

’11/10/21 第21回MMS放送(ゲスト:有限会社ユニーク工業 羽廣様)

https://www.youtube.com/watch?v=DqsK4bFRVF4

 

農機具カスタマイズ計画

https://www.facebook.com/ennoupj

 

有限会社ユニーク工業

http://www.unique-kogyo.co.jp

 

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