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禅会vol.1「そろそろオープンIPについて語ろうか」レポート

企業知財をオープンソース化するためのオープン座談会!

2013年8月11日(日)、mass×mass関内フューチャーセンターにて、禅会vol.1「そろそろオープンIPについて語ろうか」を行った。

「禅会は、禅問答にインスピレーションを受けた対談の場、zenmonoのリアルな会合です。オープン、シェア、共感、幸せをキーワードに、モノづくりの未来について語り合いたいと考えています。結論を出したりはしません。対話をしながら、参加した人の中に、何か答えが生まれるであろうことを期待しています」

はじめに、enmonoの宇都宮より、禅会について説明させていただく。

今回のゲストは水野さん、田子さん、藤澤さん。

水野さんはシティライツ法律事務所の代表として、主にクリエイティブ、IT、建築不動産分野の法務に関するアドバイス、コンサルティングをされている。また、いくつかのNPO団体でも、法律に関係した活動を行っている。

水野さんが関わられた「初音ミク」のプロジェクトなどを例に、従来の独占的な知財の運用からオープンな知財運用の時代になっていること、その可能性についてお話しいただいた。

この会の開催は、水野さんに出ていただいた第58回MMS放送の、オフレコの会話がきっかけだった。

クラウドファンディンクサイトで、まだ商品化されていないモノを公開すると、知財が守られなかったり、その後生じる価値を失うこともある。今の時代において、知財をどう守り、どう攻めたらよいのか。そのような話をしていた時に、「他の方も興味を持たれるのでは?」となったのだ。

企画を進めることになり、田子さんと我々の共通の知人よりデザイナーの田子さんを紹介していただいた。

田子さんは、東芝デザインセンターで多くの家電、情報機器デザイン開発に携わったご経験があり、現在はMTDOの代表取締役、アートディレクターである。幅広い産業分野で、コンセプトメイキングからプロダクトアウトまでをトータルでディレクションされている。田子さんが手がけられた食器やランドリー商材は、大手企業が持つ技術を活かしつつ、今のライフスタイルにマッチしている。

「グッドデザイン賞」の審査委員(2010年~)でもあり、こぼれ話もあった。

製造業代表としてお話を伺った藤澤さんは、ニットーの代表取締役である。ニットーは設計から量産まで、自社で一貫生産している。藤澤さんは顧客と製品開発をしていくなかで、自社商品も開発してみたいという気持ちが芽生え、iPhoneケース「iPhone Trick Cover」を開発された。クラウドファンディングサイトを利用して、開発と資金集め、販路の構築ができたとのこと。インターネット公開前、弁理士さんに相談しながら、実用新案や意匠権を取得されたそうだ。

宇都宮:「モノづくりをする時、知財についても考えなければなりません。小さな企業を支援する立場から、中小企業の知財戦略についてお聞きしたいのですが」

水野さん:「大企業も中小企業も、知財運用に差異があるとは、あまり考えていません。大切なのはモノの本質を見極め、特性にそって、オープンがいいのか、クローズドがいいのか考えることです。オープンにする場合は、どこまでオープンにするのか」

田子さん:「どういうビジネスにしたいのか、それが見えているかどうかは重要です」

宇都宮:「事業計画のようなものですか? 何のために特許を取るのかということですね」

田子さん:「そうです。ビジョンが描けないまま、たくさんある援護候補からどれをチョイスしようかと悩むのが、よくあるパターンです」

藤澤さん:「一人で最後までビジョンを描ける人は稀で、浮かんだアイデアが何かに使えそうだと、とりあえず特許を取るというのはありがちです。でも、そのアイデアが種になって、別のアイデアに発展していくこともあります。アイデアを誰もが利用できるようにオープンした場合、どのように利益を得て、事業として成り立たせることができるのでしょう?」

水野さん:「世の中は、そういうことが起こり得る流れになっています。初音ミクは、イラストとVOCALOIDというソフトウェアの混合物です。ソフトウェアは権利を守り、販売もしていて、イラストの方はオープンになっています。全てをオープンにする必要はなく、場合によっては一部をオープンにした方が面白くなる、というものが増えてきているのではないかと思います。iPhone Trick Coverのように、フィードバックを得て良いものにするために、製作過程だけオープンにするのが相応しいという場合もあるでしょう。Arduinoのように、設計情報からオープンにするのが相応しい場合もあるかも知れません」

宇都宮:「田子さんは鳴海製陶のOSORO(耐熱食器ブランド)をプロデュースされた時、オープンが当たり前の陶器業界で、特許を取られたそうですね」

田子さん:「今後の展開を考えた時、特許を取るべきだと思いました。陶器は古くからあるプロダクトで歴史があり、業界独自の考え方から、メーカーさんは特許について諦めていましたけれど。知り合いの弁理士さんにも、最初は、商品がシンプルすぎて難しいと言われましたが、プロダクトの視点で“器であり蓋でもある”という特徴に着目したことによって、実用新案と意匠権を取得できました」

水野さん:「特許や意匠、実用新案というのは、クローズドといっても、本来はオープンなものです。『人類のために技術を公開するかわりに、20年は独占権を与えます。その後は皆のものです』というバーターの制度なのです」

宇都宮:「最近は3Dプリンターの業界が盛り上がっているように、特許の期限が切れてオープンになった時、産業が活性化するように感じています。そうなると、何の為に知財を守っているのかという疑問も出てくるのですが、いつ頃からバーター制度の考え方になったのですか?」

水野さん:「特許権が制度化された時点で、そういう考え方になっていました。『人類の進歩の為に知財はある』とした時、発明した人にある期間だけ独占権を与えることによって、皆が頑張って技術開発するだろうと考えたのです。しかし、ビジネスになると企業は、その技術の独占権を1年でも2年でも延命させようとします。企業の論理としては、仕方がないと思いますが」

 

対話のテーマが大きく、ゲストの方々は戸惑われていたようだが、幅広いお話を聞くことができた。

 

参加された方からは、このような質問をいただいた。

「もし、ご自身が携わられた商品が、特許や意匠、実用新案で守られていなかったとします。他の方が同じような商品、改良を加えた商品で事業を展開しようとしているのを目の当たりにした場合、どう思われますか? また、どういうアクションを起こしますか?」

 

藤澤さん:「iPhoneケースに関して言えば、費用面のこともあり、海外では一部しか守っていません。同じような商品が出たら出たで、いいと思っています。iPhone Trick Coverを出したことによって、自社を多くの方に知ってもらうことができました。製品を発売して収益を上げるというよりは、宣伝の役割を果たしてくれたのです。真似されたらそれも上手くネタにして、製品をより多くの方に知ってもらうための広告ツールとして使うことができたらと考えています」

 

なるほど、真似されたことを利用するとは!

 

参加者の方々のお話も、興味深い内容だった。最後に一人ひとり、感想を発表していただいたのだが、皆さん、熱い熱い思いを語ってくださった。

自分の考えや思いを公表することによって、支援を集めたり交流できるのが、zenmonoだ。リアルな場「禅会」も合わせて活用しながら、交流を深めていただきたいと思う。


次回禅会は9月8日(日)に開催します。
コチラからお申込みください。

禅会vol.2「テーマ:未来のモノづくりはアートになる」 〜スペックと機能から離れた新たなモノづくりの未来を探る〜

概要
今や、モノはスペックや機能だけではビジネスにならなくなってきています。作り手の思いが込められた、アートとも言えるモノづくりがこれからの未来になるのではないか、という考え方をもとに議論を進めていきたいと思います。

日本のモノづくりを活性化し、よりワクワクする未来に向けて、タブーなき議論を交わすことができればと思います。

ゲスト
中村さん/オリジナルマインド
http://www.originalmind.co.jp/

 

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