NEWガイアの夜明けで紹介された、クラウドファンディングを活用して新規事業を立ち上げるためのスクール「zenschool(ゼンスクール)」 22期新規募集(残席1名)

第171回MMS(2018/10/8収録)「既存建築を再構築し直して生まれ変わらせるためのあらゆることを手がける」後編 ㈱建築再構企画 佐久間悠さん

前編からの続きです。

●再構祭とenmonoの変化について

 三木:今回こちらの本(『事例と図でわかる建物改修・活用のための建築法規』)を出されましたが、建築から派生して色んなクリエーションというのが今頭打ちのところにあるんじゃないかという危惧を持たれた佐久間さんが再構祭(さいこうさい)というイベントを企画されておりまして、そのお話を伺いたいと思っております。

佐久間:今うちは再構祭というイベントを立ち上げてまして、もうすでに再構祭第一審というのが終わりました。

宇都宮:語感がそういう系なんですね。

佐久間:そうなんです。再構祭って最高裁判所と再構企画の祭という両方をかけてるんですが、1回目は先ほどお話にあった高橋寿太郎さんという創造系不動産の社長さんと対談をさせていただいて、実はこの本の出版のための記念イベントとして始めたので、出版記念イベントって何をしたらいいのか、後ろに金屏風があって大きい垂れ幕がついてというのはちょっと違うなと思って、専門書なのでそういうことをやってもあまり面白くないなと思ったので、僕が今気になっているお仕事をされている方を何人かお招きして対談をさせていただこうというところで、今月(10月)の26日にenmonoのお2人とtsug,LLCというデザイン事務所をやっている久下さんをゲストに招いて対談をしていきたいと。

三木:どの辺で我々のことを気になっていただいてたんですか?

佐久間:実は僕の認識としては、enmonoのお2人というのはモノづくりを支援されてる方で、スクールをやられていることも存じ上げてたんですが、そこからある時期から卒業生の方のアウトプットの方向性がガラッと変わってきて、プロダクトじゃなくてアートで美術館(FACTORY ART MUSEUM TOYAMA)になったり、ちょっと方針転換をされたんじゃないかと思ってたら、マインドフルネスや禅のお話がでてきて。

三木:「何なんだ?この人達は」みたいな(笑)。

佐久間:どういう旋回をされたのかと思ってたんですが、先ほど宇都宮さんから建築の設計の範囲を超えてこられてる感じがするというお話をいただいて、自分もそういう感覚があって、お金の話とかブランディングのことだったり融資が通るかみたいなことだったり、設計ってオーナーさんやテナントさんの要望を叶える1つの手段でしかないなという感覚があって、そしたらもう少し外の領域にも広がっていくべきだし、今私の主要なフィールドとしては法律なんですが、建築基準法だけじゃなくて保育園だったら児童福祉法だったり、ホテルだったら旅館業法みたいな建築の法律以外のところにも広がっていって、サービスとしてはそういったところまで理解していくと、スケジュールがどういう風になっているかとか、審査する側はどういうことを見てるか、みたいなところまで踏み込んでいったほうが、自分の仕事の幅も広がるし、お客さんの満足度も上がるんじゃないかということを考えていた時に、たぶん同じような時期にenmonoさん達も活動のフィールドを広げられたんじゃないかというところですごく興味があって。

三木:我々は最初プロダクトを生み出すということで、新商品開発をやっておりまして。ところが製造業だからと言って、必ずしも新商品を生み出すことだけが、彼らの事業を伸ばすことではないということに気がついて、例えば富山の金型屋さんは、新商品を生み出したいと来たけれども、その方の本質をどんどん探っていったら、モノではなく美しい工場というコンセプトになってきて、美しい工場は美しいだけじゃなくて他の方の美しいモノも展示する、美術館のような工場というコンセプトになって、それがFactory Art Museum Toyamaという、金型屋さん初のミュージアムになりました。そこには様々なクリエーターとか哲学者とかが集まって、そこで生み出されたクリエーションを、その工場が引き受けられる場所を作っていこうみたいな形になったり。今度講演会をある大手ITベンダーのほうでもやるんですが、その方は元々その会社の中で人工知能の研究開発に携わってる方で、単純にシステムを作るということではなく、その方がずっと鍛えてきたエンジニアとしての美意識をシステムに置き換えていくと、実はそれがものすごい人工知能システムになっていったりとかして、人間の本質の部分にあるクリエーションを取り出すと、必ずしもその人の業界の技術に縛られる必要はないということに気がついて、だから製造業が美術館になってもいいし、逆にアートの業界の人が製造業になってもいいですし、様々な業種を超えていくということが、新たな価値を生み出すことだと気がついたので、そういうのをどんどん掘っていくと、最終的には人間の心ということに行き着くわけです。それで2、3年前から取り入れているマインドフルネスとか、あるいは1,000年以上の歴史がある日本の禅というものにそこのヒントがあるということに気がついて、さっき紹介した本(『トゥルー・イノベーション』)の中には、日本の伝統的な禅的なところからどうイノベーションを生み出すのかというところを書いていたり、そういう旋回をさせていただいているということになります。そういうところで注目していただいたのは非常にうれしいですし、今回の再構祭でもそういうモノづくりから発祥したけども、それが別の業界にどんどんシフトしていって、受講生もそういう展開になってきているという話をぜひさせていただければと思います。

 佐久間:今この第二審の再構祭のテーマは、『モノづくりの現在(いま)』というタイトルを考えていまして、まさに今三木さんがおっしゃったように、私は建築もモノづくりの1つだと思っていて、設計なら設計、施工なら施工みたいな職能はこうです、みたいな枠から外れてくる人達が結構出てて、お2人はご存じだと思うんですけど、co-ba(コワーキングスペース)の中村さんは元々彼も建築学科を出られて施設運営のほうに入っている方で、コワーキングスペースを作られたりとか、事業というものを見据えて色々やられてるなと。

三木:すごい(株式会社)ツクルバさんも伸びてますね。

佐久間:そうですよね。

宇都宮:箱という物体よりも、空間とか場というどういう人が集まってどういう風になっていくかというそっちの打ち出し方があって。

佐久間:製造業に関してもAIだったりとかを考えると、単に今ここのデバイスだったりとかインターフェイスとかそういうもののデザインだったり、プロダクトアウトというものを超えて、その製造過程全部もそうですけど外側だったりとか、あるいは自分が本当にこれを使いたいとかを考えるようになっていかないと、モノを生み出すということを考えられなくなる世の中になっていきそうだなと思って。

三木:そうですね。全体の世界観を作れないとものすごい小さい収益しか得られない、小さいデバイスのこの辺の小さい小鉢なので、全体の世界を設計するという世界を持つために、僕らがやっているアプローチは、瞑想していただいて10歳の夏休みの思い出から、その人の本来やりたいことというのを、ダイアローグとして取り出していくというアプローチなんです。

佐久間:ずっとワクワクっておっしゃってましたね。

三木:ワクワク感をいかに具現化させるか、それを大きな世界の中でどう具現化させるかというところを追求してやっておりまして、そうすると全然カテゴリーはモノづくりじゃなくてもいい。最近の受講生は精神科病院の事務長さんとか、アスリートトレーナーとか、障がい者向けの作業所の所長さんとか、当然メーカーの方もいらっしゃいますし、人工知能の研究者、本当に色んな業種の方が受けられてらして、世界をデザインするという意味だと人間であれば誰でも受講していただけるような…

宇都宮:人間じゃないとまだ難しいかもしれない。僕らもまだ。

佐久間さんに仕事を依頼する方って、そういう世界観があったりとかしてこだわってるみたいなところがあったりするんですか?

佐久間:そうですね。ある程度持ってる方のほうが多いし合うのかなとは思います。

宇都宮:そうするとその人の中にある世界観だから建築家さんにこういうことをお願いしようと、バーンとぶつけてこられる感じなんですか?

佐久間:未知な仕事をしているので、法律のほうに寄ってるというのは専門性について職能を発揮してほしいということが多いんですが、最近の再開発を見てると大手デベさんでも昔は自分の建物、敷地の中だけのことを考えてたのが、例えば三菱地所さんは東京駅の丸の内なんてすごく雰囲気が良くなってきてると思うんですが、東京という町をどうすべきかみたいなことを考えてる人が割と増えてきていて…

宇都宮:そうなってきてるんですか?

佐久間:きてるかなと思います。

宇都宮:ゆくゆくは「この地球をどうしたいんですか?銀河系の中で」

佐久間:そうですね。知事も東京だけだったり日本だけということを考えてても、今世界と戦わざるを得ないというか。

宇都宮:情報自体はもう世界中リアルタイムにどんどん入ってきたりするし、それは向こうにも届いたりするのかもしれない。

三木:世界観がある政治家が非常に少ない感じです。どういう都市、どういう県、どういう東京都にしたいか。

 

●建築再構企画の今後の方向性について

 宇都宮:佐久間さんが今現在やっているお仕事というのは、ユニークなほうへ仕事を受けようみたいな方向にきてるんですか?

佐久間:そうですね。

宇都宮:向かってる方向って何かあるんですか?

佐久間:いただく仕事のほうから変わってきてるのがあって、今やってるのは再開発の地権者さんのコンサルをやってたり、設計をしてるんじゃないんです。

宇都宮:施主とかそういうのじゃなく地面のほう?

佐久間:商業床を取得される元々の地主さんから、友人経由のご紹介なんですけど、その商業施設がどうやったら良くなるのかとか…

三木:まさに僕らとも連携すると「どういう世界をあなたは創りたいですか?」そこから入っていかないと。

宇都宮:zenschoolにみんな入っていただいて。

三木:この世界観があってこの土地を取得してこういうものを作ることで世界ができますよみたいな。

宇都宮:土地神様とかそういうところまで入るんですか?

佐久間:そこまではないですけど、規模がでかいと建物って人の流れを変えちゃうので、建物的に良い悪いみたいなところを超えて、町の流れを変えちゃう部分がありますし、町の流れが変わると下手すると例えば新幹線が停まるみたいなことが起きると、町そのものが変わってきたりということがあるので、そのことは少しは意識しないと、とんでもない再開発で失敗した建物を私はいっぱい見てきたので。

宇都宮:それだと都市開発みたいなことを専門的にやってる人もいたりするんですか?

佐久間:もちろんいます。再開発コンサルみたいな会社もありますが、そんなに数は多くないです。

宇都宮:まだまだニーズに応えきれてない感じなんですね。

佐久間:そうですね。そのコンサルそれぞれが色んなところでやるので、北海道と沖縄で同じことをやってうまくいくかというとたぶん違うんです。日本って広いので。

三木:だいたい提案書が全部コピペなんですよ。それで○○様だけつけてその県とかに持って行って…

宇都宮:それはコンサルって言うんですか?

佐久間:そこまではひどくないですが、彼らのノウハウというのは、色んなところで培ってきたノウハウをここで使おうとするので、ここというのは今ここで…

宇都宮:かつてのあれじゃなくて今この先…

三木:未来ではない。

佐久間:そこにフィットさせていくというのは地権者の側が頑張らないと、今までここで頑張ってきた人達の想いと、急に入って来たコンサルとの熱量はギャップができるので…

宇都宮:地域おこしもよく熱量の差があったりしますもんね。

三木:そこはダイアローグしていかないとダメですね。イケてるコンセプトをコンサル会社が持って来て「じゃあこうしますから」みたいな、よく分からないから質問も出ないみたいなので進んじゃって「いや、違う」みたいなことになりがちです。

宇都宮:そこはうまくダイアローグという形で、お互いが意見が出せるような空気づくりをして、専門家は専門家の言葉でしゃべるんだけど伝わるようにするという手法が大事。

佐久間:そうですね。「翻訳」という言葉をよく使うんですけど、色んな人が話したい言葉をうまく咀嚼して、業者さんとかクライアントさんとかの間に立って伝えていく仕事というのがいるんだろうなと思っていて、それは専門家の職能も必要とされるし、想いとか気持ちみたいな部分も必要になってくるなというところがあるので…

三木:ファシリテーターですよね。

佐久間:そうですね。そういう業務に近づいてきてたり、そういう仕事を多くやっていきたいなというところはあります。

宇都宮:今後そういう必要性はどんどん高まりますよね?

佐久間:そう思っているので。

三木:ファシリテーションとかダイアローグのスキルというのが、たぶんこれからますます重要になってくる。要は1対1だけじゃなくて、そこにいらっしゃる住人とか地権者さんとかたくさんの人がいて、それぞれの声を出してもらうみたいな場を作っていくとか、それからどうやってダイアローグしていくとか、ファシリテーションの能力がたぶん必要です。

宇都宮:そういう対話がしやすい空間を作られたりとか。単なる公民館とか体育館に集まるとかじゃなくて、そういう良い感じの場がほしいなという。

三木:場所もそうだけど、ある種のワークをやらないといけないです。ちゃんとお互い喋れる場づくり、そこが結構神業なんです。そこは職人なのでそれができるできないでかなり違ってくるし、みんなで声出したという感じだと納得感があるんです。だから後も進めやすいんですけど、「こういうプランで質問を受け付けます」だとこう(衝突)なっちゃって後で違うみたいな。

宇都宮:お互い闘いに臨む感じじゃないほうがいいですよね。

三木:そういうところがあらゆる業種にたぶん必要とされるかと…

宇都宮:それが再構ですよね。

佐久間:そうです。

三木:その辺専門でやってるので(我々に)お任せいただければ。

佐久間:うれしいですね。

 

●佐久間さんの考える「日本(世界)の○○の未来」に対する想いについて

 三木:佐久間さんの考える「日本の○○のこれから」みたいな、○○というのはご自身で入れていただいて何か語っていただけるところがあれば。

佐久間:建築の法律のこれからなんですが、今建物の法律とか都市の法律って、20年前ぐらいの人が色鉛筆で引いた線がそのまま都市計画のラインとして残っていて、これから統計のデータがどんどん整備されていったりすると、その辺がもっとリアルタイムで、例えば1年に1回都市計画のラインがグネグネ動くとなると町がすごく変わるんじゃないかなと思っています。「人口流入している地域だからちょっと容積率を増やしてみようか」とか、逆に「過疎地域になってるから減らそうか」みたいな操作をもう少し頻繁にやれるように、たぶん技術的なバックアップはもう実現可能にはなってきていると思うので、そういう世の中にちょっとでもなっていけたらいいと思うし、そういうお手伝いができるとすごく幸運なのかなとは思っています。

三木:どんどんフレキシブルにしていかないと環境の変化が激しいので、世の中これから色々なテクノロジーが出てきますから、特に都市計画というと例えば衛星データを使いながら常に人の流れとか車の流れとか見ながら、今の人工衛星データは非常に精密なので、場合によると歩いている人の性別とかも分かるんです。それをAIにかけるとだいたい何%が男性とか細かいところまで分析ができて、最適な建物、商業施設の配置とかもたぶん人工知能と組み合わせていくと色々考えることができると思うので、そういうテクノロジーもたぶん進化していく。だからこれからのキーワードは、1つはダイアローグだと思うんです。人と人をどう対話して新しいモノを生み出すかというのと、それを支える特に人工知能、あとは衛星データとかそういったところのテクノロジーが大きくなってくるんじゃないかなと。たぶんそれはこれからのこの国を考える上でも非常に重要なところになると思います。この本は大企業だけではなく個人で何か中古物件を買ってリノベーションしたいという方にもぜひ必要ですし、あるいは中小企業で最近製造業でも作業所にコンバートする事例もあったりとかして、その時も必ず必要な本になりますので、ぜひ皆さんそういったことを考えてらっしゃる方はこちらAmazonで検索していただいてご購入いただければ。

佐久間:ぜひよろしくお願いします。

三木:8年ぐらいのノウハウがぎっしりと入って、なかなかこの業界のノウハウって開示されませんのでかなり細かい内容になっています。

佐久間:再構祭もぜひよろしくお願いします。

三木:どうもありがとうございます。

佐久間:ありがとうございました。

佐久間悠さん
https://www.facebook.com/yu.sakuma.7

WEBSITE
http://kenchiku-saikou-kikaku.com/

佐久間さん新刊
「事例と図でわかる 建物改修・活用のための建築法規」

https://www.amazon.co.jp/dp/4761526874

再構祭 第二審『ものづくりの現在(いま)』

:⇒https://www.facebook.com/events/2109143252670730/

 

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