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第168回MMS(2018/7/2収録)「マイクロモノづくりと出会い、ホントに作りたい本だけを企画から販売まで手がける編集者」前編 CCCメディアハウス編集 田中里枝さん

●ご挨拶と出演者紹介

 三木:第168回マイクロモノづくりストリーミング本日も始まりました。本日はCCCメディアハウスの田中さんにご出演をいただいております。

田中:よろしくお願いします。

三木:田中さんには、今回6月1日発売の『True Innovation(トゥルー・イノベーション)』、こちらの色々とご迷惑をお掛けしたお話をしていきたいと思います。

 

●enmonoとの出会いと著書『マイクロモノづくりはじめよう』について

三木:田中さんとの出会いのきっかけは、ある編集の方にご紹介いただいて、その時に我々は本を出したいな、ぐらいのちょっと軽い気持ちで思ってたんですけど、具体的にどうやったらいいか分からなかったので、その方に田中さんをご紹介いただいて、その時は今の会社と違う出版社で働いてらっしゃいまして、色々ご指導いただいて。

田中:懐かしいですよね。何年前ぐらいでしたっけ?

三木:6年前?5年前?

田中:そうですね。作ったのは2012年ですね。

三木:その時に出したのが『マイクロモノづくりはじめよう』という本です。(http://www.ten-books.jp/micro.html)テン・ブックスさんという会社に出版いただきました。これ見ていただけると分かると思うんですけどすごい紙質がいいんですよね。ものすごく紙質にこだわったりとか…

宇都宮:穴開けたり凝ってる。

田中:ここにポコッと穴が。コストかかる系の造本で。

三木:中もカラーの写真が使われていたり。本づくりは本だけどモノづくりなんだなっていうのが、一緒にお仕事をさせていただいてすごい感じたものでして、今Amazonでチラッと見たんですけどもまだちょこちょこ売れ続けてる。

田中:そうなんですよ。ずっと売れてます。息長い。

三木:6年売れる本ってなかなかないかもね。

田中:でもおもしろいのが、結構時代が追いついてきてるっていうか、この時に言ってたことが、今割と普通に実現しているなという感覚を持ってて、ちょっと私編集者として早すぎたかな、みたいな感じがあるんですけど。三木さんの言ってることは早すぎたかもなみたいな。

三木:この本の中で言っていることは、本当はモノづくりすごい楽しいお仕事ですということと、その時メーカーズという本がアメリカから出ていて、その日本版だと言えばいいと思うんですけど、ただ日本はアメリカと違って、モノづくりの中小企業がいっぱいあるので、そういう人達を基軸に、新しいモノづくりが展開するんじゃないかっていうことで、ちょうど今墨田区のガレージ墨田とか、大阪のほうでもガレージ系っていうのが出ていて、モノづくりスタートアップと町工場が、いよいよ本格的に連携するのがちょうど今出来てきているので、6年ぐらい時代を先取りしたっていう。

田中:そうそう。言ってましたもんね。この中で盛んに。

三木:たぶん国の経産省はこの本を参考にしたんじゃないかと(笑)

田中:本当それぐらいの先鋭的な話。

三木:「でしょ?経産省の方」っていう感じです。実は日本の町工場っていうのがたくさんあるので、日本のほうがそういったモノづくりのスタートアップが起きやすいですよという論を展開しております。この本を作る中で僕らも非常に参考になったのは、本の作り方で田中さんから色々なご指導をいただきました。どうでした?一緒にこういった本を作って。

 田中:『マイクロモノづくり』って今三木さんが言ったような内容の本なんですけど、ここに書いてあることって、モワーっと編集者をやりながら思ってきてたことに近くて、本づくりってまさにマイクロモノづくりなんです。というのも今出版不況とか色々言われてますが、すごい有名な先生とかでない限り、ましてや初めて著者としてデビューされる本を作る時っていうのは、だいたい初版部数3,000部ぐらいからスタートして、それで増刷かけていって売り伸ばしていくというやり方をするんです。3,000部って超小ロットでしょ?製造業で考えたら。そんな中で1日200タイトル以上の新刊が出てるんです。だから200タイトルとか出てる中で、売り抜いていくっていう、それだけ趣味が多様化しているっていうのももちろんあるし、そういう意味でいうと本当にまさにマイクロモノづくりで、3,000部しかないものを日本国中探せば絶対いるはずの、この本がほしい3,000人の人にどうやってリーチしていくかっていうのが、ものすごい大きな課題としてあってすごい勉強になった。最近もずっとそうなんですけど本を作る時に立ち返るのはここで。

三木:うれしい。

田中:本当です。3,000部をどうやって届けようという。もうすでに持ってる書店に流すための流通経路は、昔から確立されたものはあるんですが、それだけだと今言ったみたいに200タイトルの中で埋もれてしまうから、そうでない活動をどんどんしていかなきゃいけない時に、enmonoさんがこのマイクロモノづくりで推奨されてたのは、例えばクラウドファンディングを使ってみるとか、色んなやり方があったと思いますけど、そうやって本当にほしい人を味方にどんどんつけて巻き込んでいく手法とかすごい参考になってます。

三木:その時に僕らが取った手法は、まずこの本を献本してとりあえずFacebookにあげてくださいみたいな。あとは会った人にこれを持たせて写真を撮ってFacebookでタグ付けをする。あとは出版イベントを僕らとして初めてやって、ここに出てくる著名な人を4、5人集めて、その時はサイバーエージェントベンチャーズさんの場所を借りて、100名ぐらい集めたかな?

田中:すごい豪華なイベントでしたね。

三木:僕らもそういうことをするのは初めてだったんですけど、相当テンパりながらやって。

田中:テンパッてたんですか?全然そういう風に見えなかったですけど。

三木:インパクトがある感じで、この時に企画から作る、そして販売、プロモーションまでかなり地道にやったので、僕らこれ自分で本屋に持ち込んで「これ置いてください」みたいなのをやったりとか、(三木の)地元の鎌倉に持ち込んだりとか企画から売るところまで全部やってみるというので、すごい勉強になりました。

田中:まさにマイクロモノづくりの実践版みたい。

宇都宮:Amazonでもまだ細々とロングセラー中ですよね。

田中:Amazonでもまだずっとロングセラー中なので。これは作る系のモノづくりの話が中心なんですけど、クリエーションに関わってる人は、絶対読んだほうがいいとマジで思ってる1冊なのでぜひ見てもらえれば。(http://amzn.asia/h7fPYZA

 

●田中さんの自己紹介

三木:ちょっと田中さんの人生を振り返ってみましょうか?どういう経緯でこの業界に入って来られて、どういうことに興味を持ってるのか。

田中:『マイクロモノづくり』の中とか『トゥルー・イノベーション』にも出てる、ワクワクトレジャーハンティングチャートの自分バージョンを作ってみたんですけど、こっちの横軸に自分の持ってるスキルとか、使える資源とかを取ります。私の場合だったら編集というスキルがあるので編集。こっちの縦軸に自分がワクワクすることを取ります。そこの交差するところの点にくるものが、自分が本当に作りたいものとして取り出すというそういうチャートなんです。私のワクワクすることって、10歳ぐらいの時に何をしてたんだろうって考えたんです。『トゥルー・イノベーション』の中でも、10歳の時にワクワクしてたことって本質的に人間って変わらないから、今も根底でどこかワクワクするだろうという話があって、私10歳の時にすごい動物とか生物が好きで、虫とか。虫愛づる(めずる)姫だったので好きだったなって。それと本が好きだったんです。その時に子どもだから、児童文学とかファンタジーとかみんな読むんだけど、そこに全然グッとこないで、私は猟奇殺人ものがめっちゃ好きだったと思って。これを言ったらすごい気持ち悪がられるんですけど。

三木:何歳の時に?

田中:小3ぐらいから江戸川乱歩、子ども向けだから少年探偵団シリーズとかなんですけど、めっちゃはまって。私こういうのすごい好きって思って、血が出るとか、ドロドロしたものが好きでした。それって結構今も実は引きずってて、猟奇殺人のニュースとか、ものすごいワーッて、どうなってるんだろうって、関心がかき立てられるっていう感じがあって、だから事件。そういう流れでノンフィクションも好きだし、あとおいしいものとお酒も好きっていうので書いて、こういう軸を取ったんです。そこで交わったところで意外と本を作ってきているなと思ったんです。

三木:編集と事件?

 田中:編集と事件。事件めっちゃ好きなのに、事件ものの本をまだ作ってないから、今後も課題としてやらないとなと思ったところなんです。結構ノンフィクションと編集っていうのは色々やってきてるし、おいしいものと編集が重なったところの本も作ってるし、動物と編集が重なってるので、今作ってる『東西ベルリン動物園大戦争』(http://books.cccmh.co.jp/list/detail/2272/)っていう本も作ってるし、意外とやってきてるなと思いました。人生振り返ると、とにかく小学生の時暗い子だったんです。本の虫でずっと本読んでて、あまり人と喋ったりもせずに本当に引きこもりで、編集者になること以外は考えたことはなかったっていう感じかもしれないです。

三木:小学生はそういう時代で、それからどういう風に今に至るんですか?

田中:それで大学とか行くじゃないですか?

三木:大学は何を勉強してたんですか?

田中:大学は社会学です。

宇都宮:文学とかじゃなくて?

田中:文学にはいかなかったんです。そのぐらいから文学への行き詰まりを感じたというか、フィクション今もすごい好きなんですけど、リアルなほうに惹かれるようになった。

宇都宮:何か研究してたんですか?

田中:雇用問題とか、意外とそういうことをやってました。働き方とかLGBTとかやってましたね。

三木:相当早いですね。LGBTとか。

田中:大学は結構そういうことをやっていて、その後大学を卒業したら今ちょっと話題になっているロスジェネ世代なんです。就職氷河期世代で。

三木:何年ぐらいかな?2000年?

田中:卒業したのが2001年で、みんな頭良い子達も就職とかにすごく困っている時期で、私はすごくふわふわしていたので、就職活動せずにイギリスに行って、ロンドンでしばらくおりまして。

三木:何をしてたんですか?

田中:ロンドンで最初大学で勉強してて。

宇都宮:それは社会学の?

田中:そうです。ちょっと文学とかもやりつつ勉強していて、その後インターンでロンドンの企業にしばらくいて、それから日本に帰って来たっていう感じです。

三木:何年ぐらいイギリスにいたんですか?

田中:4年弱ぐらいです。帰って来て大阪でお金も全然ないし、取りあえずお金を貯めないと話にならないということで、商社に勤めてました。結構お給料も良くてやってたんですけど、私は編集者になりたいし、そういうチャンスがあったら東京に行きたいなって。関西は出版社があまりないので…

宇都宮:編集の仕事に就きたいっていうことは思ってたんですか?

田中:思ってましたね。ずっと。

宇都宮:どの辺で?編集っていう仕事があるっていうことを知ってたわけですか?

田中:そうですね。何でだろう?

宇都宮:知り合いにいたとか?

田中:全然そんなのもなかったんですけど、本を作りたいなと思った時にたぶん作家になるか、裏で…

宇都宮:出版社に入って勤めるとか?

田中:作家というか物書きになるのは自分は違うなと思っていたので、そうすると編集って本当よく分からない仕事に。いまだに色んな人に「編集って何やってるの?」とか。

三木:商社にいてどういうきっかけでこの業界に?

田中:東京の出版社で求人があってひょいと受けたら、「じゃあ引っ越しの資金を出すから東京来ます?」とか言われて、めっちゃ渡りに船で東京に来たっていう感じなんです。

三木:その時の出版社はここじゃなくて別の会社?

田中:ここじゃなくて倒産した会社なんですけど、出版不況もあって何社かを、倒産したり色んな状況があって転々として、今に至ってる感じなんです。

三木:この業界は今何年ぐらいですか?

田中:20年経ってないけど15年ぐらいかな?

 

●編集のお仕事について

 三木:どうですか?自分がこの業界に入る前と入った後では何か印象変わりましたか?

田中:何でもやらないといけない仕事だなと。本が出るまでのことを何でもやる何でも屋みたいなのが編集者なので、何でもやるんだなみたいな感じはあります。

宇都宮:企画から販売までですよね。

田中:そうそう。今はもちろん出版社ってどこも営業さんを持ってて、営業の人が本を売るプロですが、それだけじゃなかなか売れない世界になってきてるので。

三木:こういう撮影に付き合ったりとかね。

田中:そうそう。営業の分野にも進出してガンガン売っていくっていう気持ちにもなってるし。でも意外とそれがおもしろい。

三木:全行程が分かったほうが、1冊の本のありがたみというか感謝も違いますし。

宇都宮:自分で書いてみるのはどうですか?

田中:自分で書くって、自分自身がコンテンツじゃないと厳しいじゃないですか。だからめっちゃおもしろい人に出会って、その人のものを代筆するとかはできるけど、自分自身が何かおもしろい独特のものを持っていて、それを形にするっていうのはちょっと自分では違うかなと。

宇都宮:十分おもしろいと思うんですけど(笑)。

田中:全然ですよ。

三木:第三者から見て相当おもしろいです。

宇都宮:グラスブレーカーですから。

田中:グラスブレーカーではあります。お酒飲みに行った先で必ずグラスを割るっていうようなことですが。

宇都宮:十分おもしろい気がします。

田中:誰かenmonoさんみたいなオリジナルな考えを持っている人に会って、それを分かりやすく皆さんに知っていただく、間を取り持つのがおもしろいなと思います。

後編に続きます。

田中里枝さん
https://www.facebook.com/rie.tanaka.xx

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