NEWガイアの夜明けで紹介された、クラウドファンディングを活用して新規事業を立ち上げるためのスクール「zenschool(ゼンスクール)」 22期新規募集(残席1名)

第167回MMS(2018/6/26収録)「西洋的なマインドフルネスを源流である東洋的叡智との融合でバージョンアップを図る」前編 スタンフォード大学 スティーブン・マーフィー・重松教授

●ご挨拶と出演者紹介

 三木:マイクロモノづくりストリーミング本日も始まりました。本日はスタンフォード大学からスティーブン・マーフィー・重松先生のほうにお越しいただきました。どうもありがとうございます。

重松:ありがとうございます。

三木:先生はスタンフォード大学から今回は鎌倉を色々体験しにいらしてますけども。

重松:6月にちょうど春学期が終わってから来たんです。すぐ最初は中国に深センに行って、会議に参加してから東京に来て、それから昨日鎌倉に。これから2、3週間ぐらいいますので。

三木:ありがとうございます。重松先生は昨年のZen2.0というカンファレンスにも参加していただいたんですけども、マインドフルネスのこととか、スタンドフォード大学の中でどういうことをやってらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

 

●スティーブン・マーフィー・重松先生の自己紹介

三木:先生の簡単なご紹介ですけども、元々東京大学のほうで心理学を教えてらっしゃったんですか?

重松:はい。カウンセリング心理学。

三木:何年ぐらい?

重松:全部で12年ぐらいでしたね。籍は留学生センターにもありまして、そこで留学生のための授業とか、カウンセリングをやりました。あと教育学部の大学院で、カウンセリングの授業もやりました。

三木:その時の東大での経験はどんな感じでしたか?

重松:そうですね(笑)。国立大学で事務官と教官がいて、僕はすごく自由だったんだけど、「何かやりたい」と言ったらすぐ、「いや~先生ちょっと無理ですね。難しいですね」って、なかなか動きづらい堅苦しいこともいっぱいありました。

すごくある面で良かったけど、海外の様々な国から来てる留学生も接触できまして。

三木:東大で?

重松:はい。僕はアメリカ育ちで子供達は東京生まれ育ち。

三木:そうなんですか?

重松:はい。2人の男の子。

三木:何歳ぐらいまでいらっしゃったんですか?

重松:上の子は12歳まで目黒区に住んでたんです。子供達は公立学校に通っていた。2人ともアメリカの生活を知らない状態だったんです。だから最初は9ヶ月の海外研修でしたが、ちょっとだけ体験させたいという気持ちでアメリカに。アメリカの大学で1年ぐらい客員教授で、できればいいなと思ってて、ちょうど僕の大学時代の友達が、スタンフォードの副学長になりまして、良いチャンスだと思ったんです。

三木:相当良いチャンスですね。

重松:はい。最初は9ヶ月だけの海外研修でだんだん延ばして結局3年になりました。スタンフォードも、最初は僕は客員教授で、同じ専門のカウンセリングサイコロジーだったんです。ただそのDepartment(学科)が消えたから僕も仕事がなくて。

三木:その3年の後はどういう?

 重松:客員教授が終わったら自分のビジネスを作ったんです。大学のためのコンサルタントっていうこともやりましたが、ほとんどの大きなクライアントはアメリカの軍、Navy(海軍)とMarines(海兵隊)で、そのために日本の米軍基地で働いてたんです。

三木:どこですか?横須賀?

重松:あちこち。だから横須賀、岩国…

三木:横須賀?初めて聞きました。その米軍の方達のメンタルケアみたいな?

重松:それよりアメリカの国家公務員が米軍基地に務めてて、例えば横須賀の場合は7,000人の日本人がその中で働いてるんです。だから最初は異文化間理解、コミュニケーションのようなワークショップをやりました。日本人の社員と、またアメリカ人と一緒にグループになって、そういう異文化の教育をやりました。

三木:すごいですね。今Zen2.0が目指してるところなんです。色んな分断というか文化的なバリアを超えてconnectionする(つながる)っていうのがZen2.0の目的の1つなので。

重松:その場合は文化はアメリカの文化と日本の文化だけど、このZen2.0の場合は違うんですね。

三木:そうですね。

重松:日本人の職員のためのワークショップもやりました。英語によるコミュニケーションスキルとかアサーティブ(assertive)トレーニング。

三木:アサーティブ(assertive)ってどういうことですか?

重松:アサーティブって積極性かな。アグレッシブとアサーティブを区別したら、相手は全然考えず、ただ自分のことしか考えてないことはアグレッシブ(aggressive=攻撃的)、アサーティブは相手のことを考えながら自分のことも考えるっていう。

三木:そういうことなんですね。

重松:だからアサーティブ(assertive)、同情やempathy(共感)、思いやりを感じながら積極的になるという。

三木:なるほど。そういうワークショップをやったんですね。

重松:それがすごく印象的だった。empathy(共感)のほうはよく分かるから予想ができるけど、自分のためにアピールするとそれがアグレッシブじゃないかとちょっと恐がるという感じだったんです。だからすごく良かったと思ったんです。アサーティブトレーニング。

三木:おもしろいですね。

重松:それを数年間やりました。それからまたスタンフォードに戻って、今は新しいセンター、Center for Transformative Learning(=変形学習センター)を作ってる。Transformativeは本当に深い意味で自分が変わる。人生が変わる教育という新しいプログラムを作ってるんです。

三木:実はZen2.0もさっきのconnection(つながり)もあるんですけど、Transformationも目指しているところが大きいんです。先生もTransformationされてるということだと思うんですけど。

重松:私自身が受けた大学の教育も、不満を持ってたんです。また私が大学の教授として提供している教育は、物足りないという気持ちで、もっと学生の深いところまでいじって、深い意味で変わるのが本当の大学の教育の目的。

三木:先生も学生が変わるのを見るとどういう感じ?

重松:うれしいですね。

三木:うれしい?わくわくする?

重松:そうですね。

三木:僕らも実はzenschoolっていうのは、中小企業の経営者が変わるのを見るのがとてもわくわくするので、同じことでやってます。

重松:同じことですね。僕の場合はもっと長くやってるけど、段々定年退職でいいんじゃないかなという気持ちにはなるんですが、私の授業はスタンフォードはクォーター制度で10週間しかやらないけど、その最後の週は学生達が皆発表する。その発表を見ると、こういうことをやるのはまだ意味があると思って、また来年やろうということになりますね。

三木:僕らのzenschoolでも発表があるんですよ。授業を受けた中小企業の経営者が発表するんですけど、それでも変わってる感じがするので全く同じ感じです。

 

●著書『スタンフォード大学マインドフルネス教室』について

三木:せっかく本がここにあるので本のことについて伺いたいんですが、これが一昨年出版されたんですか?

重松:そうですね。2016年6月。

三木:『スタンフォード大学マインドフルネス教室』を愛読させていただいたんですけども、実は読んではいたんですけど結構(『トゥルー・イノベーション』と)内容が近いんですよ。別にパクッてないですよ(笑)。だけどこのスティーブ・ジョブズのところとかほとんど同じところを言ってるんですね。“Your time is limited.(あなたの時間は限られている)”っていうところとか“あなたの内なる声を聞きなさい”とかそういうところを言っていたり。この本で伝えたかったメッセージはどういうことですか?

重松:最初はただこの出版社に頼まれたんです。「こういう本を書いたらどうですか?」と。僕自身は全然マインドフルネスの世界では有名ではなかったんです。ただスタンフォードブランドとしては売れるんじゃないかなっていうこともあって。僕は実は専門は心理カウンセリングとかダイバーシティ(多様性)とか、だから米軍基地でそういうようなワークショップをやってたんですが、でも実際にはもう15年前からこういうような授業を提供してるんです。よく学生から聞く話ですが、これがスタンフォードでは特別な授業で、こういう授業はめったにない。僕はそれがTransformative Learning(変形学習)だと思います。

三木:あまりないんですか?こういう授業。

重松:ないですね。

三木:どういう授業がメインなんですか?

 重松:メインは普通の大学の教育、あまり心まではいかない、ただ頭だけで認識的だからcognitive、論理的(rationale、logical)、analytical(分析的)。objective(客観的)だと思ってる。例えば僕が、1回スタンフォードの教授達が作ったグループで、これから新しい教育を考えましょうという回で1人ずつ発表しまして、僕はこういうふうな授業をやっていると発表すると、1人の教授が”We don't do that. We don't do that. That’s Stanford with a …We don't…”

三木:それはネガティブな感じですか?ポジティブな感じですか?

重松:怖い感じ。

三木:怖い?

重松:「いや~先生がやってることはちょっと怖いんですよ。やめたほうがいい」あるいは「Anyway you can do it ,but we don't do it.」

三木:どこが怖いんですか?

重松:彼女が言うのは”We leave ourselves after the door.”だから教室に入ったらそのドアで本当の自分をleave outside(外に置いておく)、教室に入るのはただのobjective(客観的)な、いっぱい情報・知識を持ってる人が学生に与える。

三木:そういうふうな授業っていうこと?

重松:「それが大学の先生の役割で、それ以外のことはやめたほうがいいですよ」

三木:その理由はどういうことなんですか?

重松:その理由は複雑だけど1つは怖いんですね。そういう心のところに入ると、先生のために危ないし学生のためにも危ない。どうなるか分かりませんから。

三木:教室を出た後も引きずるみたいなのですか?

重松:本当は人間だけど、先生も人間だし学生達も人間だけど、でも教室は大学の教育は我々は人間ではないというか、人間になると非常にmessy(複雑な)になるから”Let's keep simple and clean.(単純明快にしましょう)”

宇都宮:ドライな感じですか?

重松:ドライです。dryのほうがいい。あまりwettyになると怖いんですね。

三木:普通のスタンフォードの先生はそういう考え方なんですね?

重松:はい。

三木:でも先生の授業は全く違う?

重松:私自身はまず違うところは学校の先生の教育を受けた。僕は最初は学校の先生だったからそういう訓練も受けた。また心理カウンセラーもやったから、グループセラピーとかそういうグループの経験もある。だからそこでは普通の大学の教授と違うんです。普通の大学教授は全然そういうトレーニングを受けない。だから自分の先生がやった方法でしかやらない。それ以外のことはどうなるか分からないから、そういう訓練も受けてないしやめたほうがいいんだけど、みんなこれがそんなに深くないと感じてると思います。

三木:そういうことをこの本に書かれたんですか?

重松:だからここに書いたことはほとんど自分の授業でやってることですね。

後編に続きます。

スティーブン・マーフィー・重松教授
https://www.facebook.com/murphyshigematsu

Amazon「スタンフォード大学 マインドフルネス教室」
http://amzn.asia/1WPPQp7

Amazon「From Mindfulness to Heartfulness」
http://amzn.asia/2k3m64X

 

story一覧