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第166回MMS(2018/6/13収録)「『対話』の未来を創り出す『対話』研究者との対話」後編 Project Design Office 代表 中村一浩さん

前編からの続きです。

●決める時に自分を手放して境界線をなくすこと

 中村:三木さんの苦しみって何の苦しみですか?

三木:思い通りにいかないというか…

中村:僕もそうだと思っていて、自分でコントロールしたいんですよね。思い通りって。逆にそれを手放して必要なことを待ったほうが、僕はいいと思うんだけど、そこにすごく大きな恐れがあると思うし、ビジネスとして逆に言うと非常識、自分の責任を手放すっていう。僕は禅とか東洋の哲学って、自(みずか)らと自(おの)ずからの“あわい”ってよく言うんですけど…

三木:自力と他力本願の混ぜ混ぜのところで区別できないんですね。入れ子構造になっているからって(藤田)一照さん(http://fujitaissho.info/)が言ってました。

中村:本当そうなんだよな。その間に漂うことが僕は大事だと思っていて、自らを手放すわけでもないし、自ずからを信じないわけでもなく、共にいることが大事だと思っていて、その自ずからの力をもっとみんなが扱えるといいなと思っていて、それを僕らはティールって組織のことをよく言ってるんじゃないかなと思うんです。

宇都宮:でも体の感覚がないと頭で考えても成り立たないじゃないですか。

中村:そうですね。だから今の言葉は能の言葉なんですよ。能を舞う時の極意じゃないけど言葉で…

三木:僕はそのトレーニングが瞑想なんです。瞑想の中で体感をしながら、最後は必ず自分を手放す訓練を毎朝毎朝やっていると、そういう状況になった時に、もう自分を溶かしてそこに漂わせちゃえばいいんじゃない、みたいなモードになると割とその流れが。

宇都宮:中村さんはどういう感じなんですか?

中村:やっぱり森なんですよ。僕は森を思い出すんですよ。

宇都宮:森に行くわけじゃなくてもいいんですか?

三木:森のイメージを頭の中で?

中村:イメージというか僕が森になるんですよね。

宇都宮:(笑)もうちょっと具体的におっしゃってほしいんですけど、そこで「僕が森になるんです」って言うと、たぶん三木さんと同じ程度の宙の浮き方なので、もう少し地上にいる方々に伝えていただければ助かります。

中村:森って言うと山の森じゃないですか。でも森の境界線ってないですよね。ここが森かもしれないし、境界はないし全てはつながってるし、その中で生かされてるし生きてるっていう関係でしかないということを、僕は思い出すんです。それこそ森のリトリートに参加した人が、「帰って来ちゃった」って言うんですけど、僕はこっちも自然だと思うんですよ。今普通に人間が言っている森という概念か、町という概念かの違いでしかなくて、自然じゃないですか。っていう一体感の中にいると、自分が自分だけではない、まさに自分の境界がない感じになってきて、その中の一部でしかないから、今もし3人で話してれば、3人の一部でしかないから3人で決めればいい、みたいな感じになってくるんですね。

 

●SDMでの対話の研究と対話学について

宇都宮:森に行ってから徐々にこうなってきたとか、対話をしていく中でそういうのがインプットされてきたっていうことですか?

中村:僕にとって対話は、森で感じたことを、いわゆる都市とか町とか人工的な中でも起こすことが対話であって、原点は森なんです。

宇都宮:自然現象みたいな感じなんですか?

中村:でもそういう意味ではそうかもしれないです。つながり合ってることを確認するとか、全体の一部であることが分かるとか、湧き上がってくるものから作るとか、そういうものの1つの方法論が対話と呼ばれてるものぐらいですね。

三木:分かります。Zen2.0はまさにそんな感じなのでかなり鍛えられますね。ビジネスの世界とは全く違う方法論で動いてる世界だから。

中村:shiawase2.0もそうでした。いわゆる普通のビジネスでいう混乱の極み(笑)。「これどうやって決めるんだ」みたいな。

三木:そうですね。ビジネスとNPO的な活動両方やるとすごい良い。両方のノウハウを行ったり来たりできるといいと思いますね。

中村:感じることを取り戻すことを僕は森でやっていて、それをまさに体現したいからこそ対話っていう場を通じて感じてもらうことをやっています。

宇都宮:感じる能力が高まるみたいなことなんですか?

中村:まさにそうだと思います。

宇都宮:イノベーションにつながってくる文脈が得られる感じなんですか?

中村:それはもう書いてあるじゃないですか。

三木:感じるためのトレーニングってどういうこと?森ですか?ヨガとか瞑想とか?

中村:実はヨガとか瞑想とかそんなにしてなかったんですけど、森に何度も行ってるとヨガとか瞑想に近い状態にすぐなっちゃうんです。前野さん含めて色んな人が「全く一緒だね」って今話をしてて。

三木:そうなんだ。今度森に行ってみよう。どんな森でもいいんですか?

中村:それもさっき前野さんと話してた。自分流で行ってもダメで、最初は僕ら入ってるような者にナビゲートしてもらって入っていく。それを覚えると自分でも入っていける。開き方のコツみたいなのがあるんですよね。

宇都宮:開くっていう表現なんですか?

中村:僕の感覚でそんな感じですね。開くとか境界を滲ませる感覚。

三木:境界を滲ませるね。分かります。

宇都宮:この本(『トゥルー・イノベーション』)にも箱から出るっていう表現を使ってるんですけど。

中村:ありましたよね。たぶん一緒じゃないかな。

三木:箱から出ると少し境界を滲ませるのとたぶん違って、肉体的な感覚を滲ませる感じじゃないですか。

中村:僕それこそ研究し始めて理屈で言えるんだなと思ってるのは、例えば手って言うと手じゃないですか。でも道具を持ったらここまで手かもしれないですよね。そうすると境界って実は曖昧でそこの領域を結構自分が早く区切っててそれを超えていくことが境界を滲ませることなんだろうなと思っていて、僕は三木さんであり三木さんは僕であるみたいな話もそれと一緒じゃないですか。話してるから僕がいるんであってみたいなことを森で学んだ。

宇都宮:こういうことを研究論文にするっていう…

中村:超大変ですよ。

三木:(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科の)博士課程はいつから入ったんですか?

中村:博士課程は去年からですね。今2年生です。

三木:それはどういう意図でSDMに?

中村:シンプルで前野さんが「入れば?」って言うから(笑)。

一同:(笑)

中村:何も考えず「あ、じゃあ入ります」って。本当に別に理由はなくて流れで「入れば?」って。よく森でサインとかいう直感と一緒で「入れば?」って言われたので「入ろう」みたいな。いくらでも後付けできますけど、一番有力なのは知識でも対話について理解してみたいっていう。

三木:僕と同じですね。

中村:今論文をこれから書かれるっていうお話がありますけど。

 三木:書きます(笑)。あともう1個おもしろいのが、ミラノの工科大学の先生が、意味のイノベーションって言ってて、それも内的な自分の中を見てそこから湧き出るものでデザインするっていうのがあって、そこの研究者の方とこの間知り合って、ディスカッションしてみたいなと。

中村:いいですね。そもそも対話自体が意味の流れを変えるっていうのが原型なんですよ。デヴィッド・ボームが言ってるのは、そこに流れる意味を変容させていく、むしろ上書きしていくっていうことが対話の効果であって、解釈とかではなくて意味自体が変わっていく。

三木:そういうことなんだね。意味のイノベーションって。

中村:そうそう。全く同じことを言ってるなっていうのはある。

宇都宮:そのSDMでデザインシンキングとかをしているところと、今やっていることと接合している感じなんですか?

中村:接合しますね。要はシステムデザインマネジメントなので、まさに対話についてもシステムで見る、デザインと見る、マネジメントするっていうことは感じてるし、僕が1年目の博士課程で分かったのは、対話について分からないことだらけなんだなって分かったんです。本当に対話って切り口の研究ってされてないから、教育にも医療にも経営にもあるし、言語にもあるし社会問題にも文化にもいっぱいあって、分からないって思ったんです。それを最後1年後に発表したんだけど。

三木:重要。分からないことが分かる。

中村:みんな苦笑してましたけどね。1年間の発表で。だからやっと少し包括的にやることの難しさを理解して、「経営のこの場面においての対話をいってみよう」とか今ちょっとずつやってて、小さい柱を立てる中で少し土台ができたら次の大きなテーマ、対話学っていうのを作りたいんです。

三木:それぐらいの大きなテーマですね。

中村:今対話学と対話工学を作ろうと思ってて、そのためには色々な方法、手法、考え方を研究したいなってところにいます。

三木:幸福学と対話学か。

中村:いいですよね。一緒にやりましょうよ。

三木:はい、ぜひ。

中村:論文書くんだし(笑)。軽くプレッシャー(笑)。

 

●しあわせホテル、ウェルビーイングデザインセンターと鎌倉学校について

三木:ちょっとしあわせホテルの話を聞きたいんですけどどんな事業なんですか?

中村:しあわせホテルは元々は僕が始める前に4人ぐらいが瀬戸内市の牛窓っていう場所の診療所跡地を使って、「その建物を利活用してほしい」っていう瀬戸内からのコンペがあって、そこの準備をしてたんです。僕がジョインしてからは、しあわせをコンセプトにしようとか、対話っていうことを広めていこうっていう話になっていって、今はウェルビーイングのラボであり、しあわせを体験するホテルを作ろうとなってきていて。一番は前野さんが言ってる幸福学×経営って話をしてますけど、幸福っていうことを考えたり、体験したり学ぶ場を作りたいな。

三木:いいですね。

中村:それを今ウェルビーイングデザインセンターって前野さん言ってますけど、それを研究施設でもあるんだけどより広く色んな人が学んで体験する場を全国に作りたいなと思っていて、そのスタートがたまたま話があったので牛窓で、でも鎌倉があったら鎌倉でってどんどん増やしていけばいいよねって今は思っています。

三木:その中で何かそういうワークショップとかをやるっていう感じですか?

中村:まさに4因子の話だったり禅の話だったり、幸福につながるであろうことを学んだり体験したり気づけたりっていうことのプログラムと、それにあった場というのかな。僕らもリトリートする時とか、対話する時って場を選ぶんですけど、しっくりくる場所が少ない。そういう環境を備えて、プログラムがあって、人がいてコミュニティがあるような場所を作りたいなと思っていて、それを今まずは牛窓っていう場所から始めてみようっていう。

三木:なるほどね。ちょうどZen2.0の先に学びの場を作るっていう。そこに色んな登壇者が来るじゃないですか。鎌倉に毎年1回。その中から気に入っていただいた方に、鎌倉に移住してもらって教えてもらうっていう企画を2年前に考えて、去年Zen2.0をやって、スティーブン・マーフィン先生が実際来ることになって。半年ずつスタンフォードと鎌倉を。

中村:素晴らしいじゃないですか。

三木:その学校を北鎌倉に来年の4月から。

中村:北鎌倉のどの辺ですか?

三木:北鎌倉の駅を降りてすぐに古い図書館みたいなのがあって、そこを中心に他の寺とかも連携しながらやろうという企画があって、妄想だったのが本当にそうなったから妄想は重要だっていうか。それもインスピレーションで、瞑想の時に0.1秒で降りてきた絵をバーッと描いて、彼がスタンフォードに帰る直前、羽田で引き留めてエレベーターピッチをしたんです。「先生、ぜひこれをやりましょう」って言ったら「OK」って。それで実際もう彼は4月から移住の準備をするということで。

中村:すごいですね。

三木:スタンフォードの学生をこっちに送って、お寺とかでコミュニケーション、彼が言うスピリチュアル・ペイブとか、順で鎌倉に住むみたいな西田幾多郎の精神です。それと今のしあわせホテルをまたちょっとコラボすると、色々…彼もしあわせホテルで教えたりとか。

中村:ぜひしてほしいな。まだまだ閉じた世界だし、一部の人しか反応しない世界だから、より大きな流れを作っていきたくて。瀬戸内の場合は今連携しようとしているのは直島含めた福武財団の方達と一緒に連合してやろうとか、あとは鳥取の智頭町とか、西粟倉村とかあの辺の縦の連合、縦と横と四国のほうも含めて色んな地域周りながら、その地域の暮らしを体験するとか色々なしあわせを見つけるとか、そういうこともできるといいなと思って。ある種のウェルビーイングジャーニーというか、その中で自分が見つけて湧き上がるものから生きていく。そういう時に例えばzenschoolみたいなものがあって、具体化するとかそういうふうな流れができてくるといいなと思ってて。

三木:ウェルビーイングネーションみたいなものですか?僕らそれマインドフルネーションジャパンって言ってるんですけど。

中村:すごいな。先行き過ぎじゃないですか。

三木:結構近い。

中村:後追っていっていいですか(笑)。

三木:ほぼ同じことをやってるから何か一緒にやればいい。

中村:一緒にやりましょうよ。

三木:マインドフルシティ鎌倉は、たぶんウェルビーイングシティ鎌倉と同じ意味だと思うので、それを鎌倉だけじゃなくて、京都とか奈良とかあと福井とか、仏教寺院が盛んにあるところを今ベースに考えてるんですけど。

中村:いいですね。僕も奈良でたまたま昨日打ち合わせしてて、仲間が「奈良がいいんじゃないか」って言って。

三木:奈良はやばいですよ。奈良の東大寺の中の二月堂っていう御堂があって、そこの中の仏像が超パワフルなんですよ。その頃の奈良時代の仏像って、それで国を興そうという仏教の超勢いがある時に作られた仏像なので、静かでなくてすごい迫ってくるんです。

中村:会いたい。

三木:超やばいですよ、本当に。

中村:こうやって出会っていくんだな。

 

●今後の方向性について

 宇都宮:ビジネスの世界にいる人からは、すごい宙に浮いた抽象的な話をしてる風に思われてるんですけど、実際僕らこの本でも書いてるように、ビジネスがそっちになっていかざるを得ないよねって話をしていて。既存のビジネスだけでは持続もしないし、どんどん大企業がリストラを始めてる以上、ビジネス自体がシフトしていく。そういう、心をアップデートするような方向というか、マインドフルビジネスって僕ら言ってるんですけど、そっちを生み出すためのイノベーションこそっていうことだしzenschoolだしっていうことにしているので。

中村:間違いないと思います。

 

●中村さんの考える「日本の○○の未来」に対する想いについて

 三木:皆さんに最後に質問してることがあって、中村さんにとっての『対話』の未来っていうのはどんな感じですか?

中村:僕は前野さんに近いかもしれないですけど、前野さんのしあわせっていうものが誰もが理解できて測れて伸ばせて広げていけるっていうある種のしあわせ工学って言ったんですけど、僕も対話を対話工学にしたいなと思っていて。そもそもたぶん人が古くから持っている方法、営みなので絶対できるはずなんですよね。だからそれをより明確に測れたり対処できたり広めていける方法を作りたいなって思ってるし、それは少なくとも僕が生きている間にやることだし、やった上でそれを使ってよりしあわせな社会を作るっていうほうに僕も早く行きたいですね。

三木:素晴らしいです。だから幸福学、対話学、そしてトゥルー・イノベーション学があれば世界が変わるという。

中村:確かにその通りですよね。

三木:結構日本はパワフルになると思うんですよ。その3つの学問が。

中村:かつ僕は日本だからこそ言えることは凝縮してると思うし、僕らのやっていることはそこだと思うのでそれを取り戻したいですよね。

三木:そうそう。皆必ずd.schoolとか行っちゃうけど。

中村:こっち、こっちみたいな。

三木:t.schoolで。

中村:トゥルー・イノベーションスクール。皆さんt.schoolで。

三木:だから対峙するんじゃなくてそこの対話をしたいんですよ。d.schoolの中にトゥルー・イノベーションが入って対話をして新しいものに変化させるとか。

中村:まさに生み出したいですね。

三木:そういう意味でも鎌倉に作ろうとしている学校は、スタンフォードとの連携がありそうなので、そこでまたマインドフルネスの文脈じゃなくて、デザイン思考とかその辺との絡みをどんどん生み出していきたいなと思っています。

中村:いいですね。一緒にしましょう。

三木:今日はどうもありがとうございました。

中村:来てよかった。ありがとうございます。

中村一浩さん
https://www.facebook.com/kazuhiro.nakamura.33
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