NEWガイアの夜明けで紹介された、クラウドファンディングを活用して新規事業を立ち上げるためのスクール「zenschool(ゼンスクール)」 22期新規募集(残席1名)

第161回MMS「東大阪の町工場の女性社長が、町工場経営者を元気にする秘密のバーを開店」前編 (株)エストロラボ 代表取締役 東山香子さん

●ご挨拶と出演者紹介

 三木:マイクロモノづくりストリーミング第161回本日もスタート致します。本日はエストロバーという新しいサービスを始めました東山さんのほうに色々お話を伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

東山:よろしくお願いします。

 

●自己紹介と会社紹介

三木:今本業のほうをどんなことをやっているのかというのを簡単に説明していただければと思います。

東山:本業は細穴放電加工を専門にやっていて、直径3mm以下の穴を金属に開ける仕事をしています。本当に機械4台の町工場です。

三木:それが細穴屋エストロラボ。

東山:はい。屋号が細穴屋でエストロラボは会社名でやってます。

三木:従業員は何名ぐらいいらっしゃるんですか?

東山:今10人です。ちょっとずつ増えて。

三木:以前ガイアの夜明けでも取材されたんでしたっけ?その時はどんな感じの内容だったんですか?

東山:ガイアの夜明けは町工場で女性が活躍するみたいなので、うちも女性ばかりでやっているのでということだったんですけど、その前後から男性もちょっと入れていて今は10人のうち3人が男性で。

三木:でもまだ女性が多いんですね。

東山:そうですね。

三木:東山さんは元々製造業じゃない?どういうバックグラウンドが?

東山:信楽でずっと陶芸をやっていて、一応モノを作るのは製造業ですね。

三木:何年ぐらい?

東山:10年ぐらいはやっています。陶器メーカーに勤めて“絵付け”とかを担当して、自分で作って作品を売ったりもして、元々自分で何かやりたいは思いつつ、20代か30代のうちに海外青年協力隊に行きたいという夢があったので、製陶業も3年以上という受験資格があったので3年勤めて、楽し過ぎて後7年ずっといたんですけど、29の時に合格したので仕事を辞めて行こうとしてました。

三木:行こうとしてた?

東山:合格訓練で3ヵ月ぐらい日本での時に体調を崩して行けなくなった経緯があって、その後この細穴放電加工に出会って、国際貢献じゃなくて日本でも社会貢献できるんだったらと思って起業することにしました。

三木:そんなに細穴が好きだったんですか?

東山:細穴加工はその時初めて出会って。私の祖父が鉄工所をやっていて父親が継いでこじんまりとした町工場が身近にあったので、まさか自分がその会社を作るというのは全然ライフプランはなかったですけどやってみたいという想いはあったのと、やってみようと思った年にはもう父親は会社を畳んで2年経ってたので、もし細々と続けてたらそのまま継いでたとは思います。

三木:細穴放電加工ってどういう…?

東山:放電っていう電気を放って金属を溶かすという機械なんですけど、ドリルでガリガリ削っていくよりは金属が固くてもできるという特徴があって、銅とか真鍮という棒の先からちっちゃい雷を起こして溶かしていくという機械です。

三木:どういうお客さんが多いですか?

東山:お客さんは樹脂の金型屋さんとか部品メーカーです。穴を開けるというのが基本的な作業なのでどんな用途にもなっていくんですけど、下穴であったり空気が抜ける穴とかガスが抜ける穴とか熱電対を入れる穴とか、センサーでここの温度を測りたいとかあるんですけど、それが昔より小型化していって小さい穴がほしいという需要がずっとあって、社内では100μ以上直径3mm以下みたいな領域なんですけど、どんどん0.1よりもっと下もニーズはあって、「うちは穴開けだけします」ということを今はやっています。

三木:ものすごい精密なんですね。

東山:精密です。直径に対して長さ、アスペクト比が切削だと10倍ぐらいが限界なんです。100倍とかいけちゃうので細くて深い穴が得意です。

三木:女性が多いというのは何か理由があるんですか?

東山:女性が多いのは繊細で細かい作業が向いているというのもありますし、起業の理由の1つに社会課題を解決したいという自分の欲望ですけど、問題を解決するのが好きなので、周りの友達に聞いたら働き続けられないとその当時言っていて、結婚・出産で一時期辞めたら戻った時にも働き続けた旦那さんみたいな給料はもらえないしみたいなことがリサーチしてみたら結構あったので、働き続けられる会社にしたいと思って、今女性ばかりでやることでたぶん3年ぐらいは目立つかなと思ったけど、10年経ってもいまだに言われて…

三木:今創業して10年目?

東山:13年目です。

 

●起業で苦労したこと

 三木:全く今まで自分がやってきた仕事と違う業種じゃないですか。リスクみたいなのは考えなかったんですか?

東山:逆にリスクとかを考える意識がなかったのでできたみたいなところがあって、今の知識があったら絶対受けてないです。女の人だけで細穴加工というアイデアを別の社長が持っていて、女の人だけでやったらウケるんじゃないかというビジネスプランに「やらないか?」というところから始まったので、今の経営やお金の計算とか色んな知識があったら怖くてできなくて、その時は出資してくれる人もいるし技術を教えてくれる人もいるし一緒に働く女性もいるので、なかなかそんな機会はないと。

宇都宮:学校とか起業塾みたいなのは?

東山:起業塾は半年経って行きました。もうあまりにも自分の知識がないので。

宇都宮:会社立ち上げてから?

東山:立ち上げてからです。大阪府がやっている起業塾で40人ぐらいのクラスに慌てて行って受講してゾッとするみたいな(笑)。受講したうちの2人だけが起業後に来てて、後の人たちは「起業するのやーめた」みたいになっていくんですよ。行政としては「リスクを分かった上でやってくださいよ」という感じで…

宇都宮:でも分かり過ぎると踏み出せないですよね。

東山:そうです。だから「やっちゃってるし」と2人で言いながら、「人を雇うということはこれだけのコストがかかるんですよ」とか「そんな今更?」みたいな感じで。

三木:創業時は何人でやってたんですか?

東山:3人です。それも2人で始めようというのが、ものを決めれないし3人だったら民主的に3人の意見が分かれるから、「もう一人雇おう」って言って固定費を…

三木:いきなり?

東山:いきなりです。だから最初から3人いて、仕事ないポツン…みたいな感じ(笑)。

三木:それで仕事はどうやって受注してたんですか?

東山:ホームページを取りあえず作って、チラシを作って配ってとか。それで問い合わされて見積もれないから…(笑)。でも修行もしたし前職のアイデアを持ってた社長に「こんなのが来たけど」って言いながら、「ちょっとまだ君たちには難しいからこれは断ったほうがいいよ」とか言われながら一生懸命やってたんですけども、最初は「これぐらいのことができたらお金をください」みたいな見積もりを書いて、成功報酬だったら出しやすいみたいなこともやってましたし。

三木:設備は最初から?

東山:2台ありました。

三木:放電加工機?

東山:はい。今もある機械ですけど新品で買って。加工機は安いので買って、工具とかも全然ないからお客さんが貸してくれたりとかしながらやってました。

宇都宮:電極とかもないの?

東山:電極は買ってましたけど、サイズとかも今みたいに揃ってなくて。

三木:1年経ってどうでしたか?

東山:1年というか3年ぐらい記憶がないぐらい忙しくて寝ないで朝から晩まで働いてたという自分の中の印象と、創業する前に日刊工業新聞とかも取材に来て、日刊工業新聞に載ったら日経に次載って、日経もたまたま関西版で取材を受けたけど全国紙に穴が空いたからそっちに載って、その後ワールドビジネスサテライトからドーって…

三木:すごい流れですね(笑)。

東山:そうなんです。だからそれも訳も分からずずっと取材を受けて、女の人3人しかいなくて機械があってというのを…

宇都宮:それが2006、2007年?

東山:そうです。もう15年までは取材がずっとあって。

三木:最初仕事ゼロの時から取材が増えて仕事が入るみたいな?

東山:でも取材が来て放映されて行列というわけには全然いかないんですけど、でもすごいインパクトがあるらしく、みんな会社名を忘れても東大阪の女の人だけの女性町工場と打ったら挙がるようにはしてたので、それで何年も経ってからというのもあるし、配り歩いたチラシの効果とか、あとは既存のお客様の口コミで徐々にという感じなんです。でもいまだに毎月くれるようなお客さんは存在してなくて、毎月細穴がいる人たちは設備されるので、まだずっと安定なんかどうやったらするんだみたいな感じです。年に何回かというお客さんが上客で必ず出してくださるので、顧客数を増やして広く浅くというのでずっとやっています。

三木:それで何年かやって何とか食べれるようになったかもと思ったのは?

東山:3年前です。

三木:3年前?それまで10年…

東山:10年はかかりました。リーマンショックがなければもっと早かったと思いますけど、リーマンショックがでかくてびっくりする売上でした。

三木:それは何か融資で回してたんですか?

東山:そうですね。資金繰りとかできなくなって「お金を貸して」と言っても貸してくれないし、機械を買ったりして設備投資のお金入れたりとか増資とかもしました。株の分割もして友達でも買いやすいように。

三木:周りの町工場の社長から?

東山:その頃は本当に初期の頃でそんなに知り合いがいないので、友達に売るために1株10万円を1万円に下げて、だからやたら株主がいる。でも同級生はそんなに出さないから親の友達とかに「こんなことやります」とプレゼンしに行って300万ぐらいかき集めました。

宇都宮:すごいご苦労が…

東山:そうですね。でも一生懸命過ぎてあんまり覚えてないですけど。

三木:その後はしばらく会社に行かなくなる体制を作るという?

東山:最初からやってもらってて自分は違うことをやっているというのを理想にしてたので、どうやったら現場を離れられるかをずっと考えていて、一生懸命従業員を育ててきたので徐々に離れていけるようになったので、結局離れて何をするかと言ったら営業活動をしていて、どこかに「こんな穴を開けます」と知ってもらうことが社長の仕事かなと思ってメディアに出たりもするし、メディアに出ると本当に全然関係ない人たちともいっぱい知り合うんですけど、そこでどんどん輪を広げていって、とにかく穴開けで困った時に思い出してもらえるように名刺に穴を開けたり色々しながらやって、現場は離せるようにはしました。

三木:営業活動を色々飛び回って?

東山:そうですね。呼ばれたら行くとか、結局メディア効果とかで講演会とかもすごい頼まれたので、そっちでも売上げ一生懸命たててました。

三木:地方の産業支援団体とかそういうのは来られるんですか?

東山:商工会議所から大学とか色々ですね。

宇都宮:色々ネットワークが広がっていく感じですか?

東山:そうですね。全然覚えれないぐらいの人数と知り合って。でも製造業の人と知り合う機会が多いので、逆にうちの事業形態を理解できる人は、広く浅いお客さんがたくさんいるというのが分かるので、「こんな加工できるところ知らない?」みたいなニーズもあって、そういうこともちょっとずつやったりしているんです。穴開け以外の。

宇都宮:製造業のそういうつながり?コーディネーターみたいな?

東山:コーディネートの仕事はしてて。ただ介護が理由で1人退職したので、その後ぐらいからこのコーディネートの仕事は介護とかとマッチングがいいと思って、そっちをどうにかしていこうかなと。今私ともう一人しかやっていないので。初め紹介しかしてなかったんですけど、「間に入ってくれ」というニーズもあって、納期調整と与信管理も。与信管理はうちとの取引があるので、私たちもお客さんに出すので相手がどういう感じかも分かっているし、モノを見たら精度のこととかも分かるので、広く作ったネットワークを生かしてできることをやったりとかはしてます。それは家でもできるかなと思っていて、それこそ女性の働きをつなぐという方向に持っていけたらいいと思ってるんですけど、図面を読むのが苦手な女性が多いというのは分かったので、好きじゃないと無理かなというのはあります。

三木:従業員の方に現場を任せて外に出かけれるようになったのは何年目ぐらいですか?

東山:黒字化してから3年後ぐらいです。

三木:それまではずっと?

東山:ほぼ会社にいて見積もりして全部やってました。ようやくイメージ通りに。平日の昼間にパソコンを持ってカフェとか行きたかったんですよ(笑)。それはもう実現しました。

 

●zenschool関西を受講したことについて

 三木:zenschoolと出会ったのは何がきっかけですか?

東山:zenschoolは梶川社長の出会いが一番大きくて彼女から聞いたんです。

宇都宮:梶川さん結構古い付き合いなんですか?

東山:梶川社長自体は5年ぐらい前に工場見学に来てくださって。それは河原社長が連れて来たんです。大阪の営業をするのに車を出して梶川社長を乗せているついでにうちに寄ってくださって、その時初めましてで工場見学をしてもらって…

宇都宮:それで5年ぐらいの付き合いなんですか?

東山:そうです。そこからずっとお互い忙しくて、富山の何かの会で「講演して」って梶川社長が呼んでくださったんです。それで初めてフジタを見せてもらってから仲良くなって、zenschoolはその後にたぶん行かれたんだと思います。

三木:発表会にも来られた?

東山:その前に(zenschool受講された)西社長に会ってます。

宇都宮:西さんとはどういうつながりなんですか?

東山:梶川社長が「おもしろい社長がいるから」っていうので、「高野山に行くからアテンドして」みたいな感じで「はい」って言って。

宇都宮:西さんもいたんですか?

東山:西さんもいた。女性4人でそこで過ごして西社長のプレゼンの絵とかを見せられてそれが初めてです。そこから梶川社長の発表会…東京ですよね?聞きに行ってないですよ。

宇都宮:ミュージアムができてからですか?

東山:そうです。

三木:zenschoolを富山のミュージアムのオープニングイベントの時に、申し込まれる検討をされたじゃないですか。

東山:オープニングの時はまだ全然行く気してないです。

三木:何か怪しいなとか?

東山:怪しいなというか宇都宮さんを見て安心して、三木さんだけでは無理で、宇都宮さんとお話しておもしろそうって。何か製造業の匂いがするんです。安心感が。

宇都宮:(三木さんは)製造業の匂いがしない?

東山:しない感じです。製造業なんですよね?

三木:コンピューター。

東山:そんな流れから「すごい良いから行ったほうがいいよ」って言ってずっとお誘いいただいてたんですけどなかなか決心がつかず、大阪校が開校すると聞いて、会社の状態とか3日間空けれるというのが全部重なって「今なら行ける」というので行きました。

宇都宮:ちょうど去年(2017年)の夏ですよね?

東山:そうですね。

宇都宮:どんな感じですか?まだ1年経ってないですけど。

東山:どんな感じ?行った後の感じ?

三木:その時自社商品を生み出したいみたいなのがあったんでしたっけ?

東山:ないです。自社商品はもう生み出してるので、ちっちゃいロボットを。それも本当に仕事がなくてリーマンショックの時にやったんですけど、うちは細穴加工しかないので、ロボが出ててもう1個出るわけないわみたいな感じです。

三木:出るわけない(笑)。

東山:出るわけないというか、まず穴開けにそんなにワクワクしないからどうするんだろうと思って…

宇都宮:zenschoolを受講したのは何か理由というのは?

東山:理由というか掘り出すと書かれてて、何か教えてくれるんじゃなくて自分の中から見つけるみたいなのはすごい気に入って。

宇都宮:掘り出せないものなんですか?

東山:自分で散々掘り出しているというか自分で何がしたいかとか散々考えてきたと思っていたけど、人がやるともっと出てくるのかなと。自分自身でやると考え事をしていて堂々巡りする時があるんです。どうしても好みのほうに行くじゃないですか。客観性で違うのを出してもらったりできるのかなと思って、そういうのは体験したことがないので、1回コーチングとか受けておもしろかったので。

宇都宮:受講してみようと?近くですし。

東山:そうです。「何も教えません」がすごい気に入って、schoolとか書いてて「何も教えません」みたいな(笑)

宇都宮:初日に来て期待外れだとか期待通りだとかどんな雰囲気だったんですか?

三木:モヤモヤしてた感じがある?

東山:モヤモヤというか3日間ぐらいで出るのかなというのと、知り合い2人もいるし嫌だなみたいな感じです。全然知らない人のほうがいいなとちょっと思ったり、それこそ梶川社長に「普段の環境から離れて最後ホテルで考えるのがいいのよ」とか、家(自宅)やし、そういう感じです。すごい日常に戻れるしそれこそ朝行く前に見積もりとかしてから行ったりとかできちゃうので、効果が逆に近いと薄いなというのは思いながら、でもやっているうちに色々一見関係ない今までのこととかはすごい腑に落ちるというかそこからやらないとダメよねというのは思ったので。

三木:結構2日目ぐらいまでモヤモヤしてた感じですか?

東山:モヤモヤしてました。貧乏性で3日間で絶対出したいみたいなのがあるし、でも出るのかなというのがあったので。

宇都宮:「ワクワクしない」とか言ってましたよね?

東山:そうそう。ワクワクはしない感じはあったし、3人ぐらいで食べ物食べながら話をするみたいなのが出たけど、60過ぎたらやろうと思っていたので、斬新じゃないし結局それかみたいな感じでワクワクしなかったけど、でもすぐやるという発想にはたぶん自分では持っていけなかったので、本当に老後1人でやるという感じで…

宇都宮:「今でしょ!」みたいな…(笑)

東山:「今でしょ!」っていうのは、言われてそうだという感じですね。それこそ村上さんには「客が死ぬよ」って言われて「あっ!ほんとうだ」みたいな(笑)、それはすごい「あーっ」って思いました。お客さんは年配の社長のイメージだったので、自分が60になったら何歳になるんだろうというのはちょっと思いました。

後編に続きます。

東山香子さん
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