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第160回MMS「銀行の変革を推進する変な人との対話を通じて未来の金融のあり方を追求する」後編 (株)電通国際情報サービス 江上 広行さん

前編からの続きです。

●『ゼニーとエミー』と新しい金融について

三木:先ほどちょっと鎌倉銀行の話が出たので、僕らのZen2.0というマインドフルネスのイベントをやったんですが、一応これが将来に向けての我々のプランで、来場者がどんどん増えていく中で世界中にマインドフルネスに関心を持った人が鎌倉に来てそこからどんどんつながってネットワークができていくと。その中でマインドフルネスに関連したビジネスを作りたいなと思ったんです。それでビジネスをするためにお金が必要なので、Zen2.0という団体を今度法人化するんです。イベントをやると収益が出るのでそれの半分をMINDFUL CITY KAMAKURAという活動を作ろうとしている宗教法人とかNPO団体とかに支援をしたいなと思っていて、このZen2.0はマインドフルネスの専門家集団なので、マインドフルネスを企業のほうに導入したりとか、あるいはマインドフルネスに関連したデバイスを作りたいとかいうオファーが来るんです。僕らがお仕事の仲介をして、そこでマージンを得るというようなモデルなんですけども、こういったMINDFUL CITY KAMAKURAを作るという想いにもし共感してくれるような金融機関があればいいなと実は思っていて、そういうのが鎌倉銀行にならないかなというのを勝手に妄想しているんです。一緒に街を作るみたいな、その中に地域の金融機関が協力してくれると非常にありがたいなというイメージです。

江上:そうですね。お金を扱うのが金融機関で、お金にどんな意図を込めるかというのがすごくおもしろいなと思っていて、どちらかと言うとお金を蓄積したり増やしたり老後に備えるとか、融資をして儲けるとか、事業をして儲けるという、ある意味資本とか銭儲けのため利益を極大するお金という、僕たちはそれを『ゼニー』という言い方をしているんです。

三木:この(本の)中に出ている『ゼニーとエミー』というゲームの話をしていただいてもいいですか?

江上:お金って今言った二面性があって、儲けを極大するお金、段々その儲けを極大するお金を自分との人格との分断をして、例えばアルゴリズム取引とか高速取引とかで自分じゃなくても、AIとかがどんどんお金儲けをする世界でどんどん増えていくというお金というのもあります。ちょっと極限の状態のお金。もう一つはつながりと感謝、幸福を最大化するお金。例えば「雪下ろししてくれてありがとう」って言ってちょっとお金を渡したり、親が子供に贈与したり、何の見返りもなく渡したりするお金って、同じ1万円でも全く違う二面性があって、今まで扱ってた金融は蓄財を増やすとか老後に備えるとか投資をして儲けるというお金の論理を回してきたと思うんですけど、それが行き過ぎると金融2.0みたいになっちゃったんですけど、もう一個の意図を込めたつながりと感謝…実は貨幣論を最近色々見てるんですけど、元々物々交換が不便だから金や銀や貴金属がお金になったと言われてるんですけど、今実はそれが否定されてて、今新しい貨幣論でどう言われているかというと、人に何かしていただいた時に、借りがあるというのを何かに書いたのがお金の始まりと言われているんです。負債から始まってる。

三木:この人に何かしてもらったみたいなのをノートで言えばノートとか…

江上:それを石に書いたら石のお金とか、それってコミュニティの人と人とのつながりっていうのは何かしていただいた、誰かにして差し上げる、その本人に返すんじゃなくて誰かにしてあげるというのがコミュニティの中で循環をする。それを言葉とか文字を持った時に何かに書いたのがお金の始まりと言われていて、つながりと共同体…貨幣の幣っていう字は『ぬさ』って読むんですけど、意味は貢物という意味なんです。共同体のつながりというのを表していて、そう考えると『エミー』って言ってるつながりと感謝のお金っていうのは、実は歴史上で見ると何千年の中で今の『ゼニー』的なお金ってほんの200年ぐらいしかなくて、『エミー』の世界のお金のほうが実は歴史上長くて、江戸時代の金融機関とか頼母子講とかでも、どちらかと言うとコミュニティのつながりをどう作っていくかということなので、今現代に『ゼニー』の行き過ぎた世界の中に、『エミー』を取り戻すと考えると扱う情報が感謝じゃないですか。今までは金儲けの情報を扱う、こいつは儲かるかとか返せるかという情報ですけど、幸せかという物差しが金融の中に入るじゃないですか。

三木:その情報をブロックチェーンを使えばお金の中に組み込むことができる。

江上:地域通貨とか色んな可能性も出てくるし、実際そういう通貨があったり…

三木:あるんですか?

江上:国分寺の『ぶんじ』という貨幣で、裏書ができて裏側に「ありがとう」って書きながら流通するお金があったりするんですけど、まさにお金にどんな意図を込めてつながり合うかというのが新しい金融が入ってきて、『ゼニー』の世界は必要なんです。『エミー』と『ゼニー』が融合した世界…

三木:そういうことで分けてるんですね。『ゼニー』は『ゼニー』で必要ですか?

江上:『ゼニー』は『ゼニー』で必要だと思います。実際に経済活動をしないといけないので。ただ『ゼニー』だけ行き過ぎちゃったのが今の状態だとしたら、よく右脳と左脳とか論理と感情とかのように両立が必要で、そう考えると金融ってすごいおもしろいなって。

三木:『エミー』と『ゼニー』も一応交換可能なんですね。

江上:そういう意味では尺度を持っているので、ただ同じ1万円でも与えられる幸福度って、どんな風に…

三木:『エミー』のほうがちょっと1.3倍ぐらいになる。交換レートが。

江上:いいですね。

宇都宮:人によるんじゃないですか。この人からもらうとうれしいけどもあの人はちょっと微妙とか…

江上:そう。お金って蓄えじゃなくて交換とか贈与とかそっちのほうに意味があって、蓄えって、誰かにしてあげるための一時預かりなので、トロブリアンド諸島っていう島の民族に「貯蓄とは贈与のための一時預かりです」みたいなことわざもあるんです。でも「貯蓄とは老後のためです」になってるじゃないですか。貯蓄ってそもそもさっきの考え方で人に何かしてあげるための一時預かりという考え方なので、それはすごくいいかなと。それがさっきの「おかげさまお互いさま」という会社名の由来なんですけど。

三木:今日ここに来る前にお坊さんとお話したんですけど、お寺とかがお金を儲けることに、異常にしちゃいけないっていう気持ちがすごいあって、それは要するに『ゼニー』のことしかないから、だから『エミー』と思えば別に儲けてもいいし、それをまた順送りすればいい話ですよね。

江上:お布施ですからね。

三木:お寺さんにこそ『エミー』の概念をつけてってください。

江上:『エミーとゼニー』ってゲームになってるんですけど、3時間ぐらいかけてゲームをやるんですけど、それをお寺でやったこともあって、お坊さんがめちゃくちゃ『ゼニー』が得意っていう(笑)…

一同:(笑)

三木:得意というのは儲けるのが得意?

江上:得意ですね。駆け引きとかもすごい上手ですし。

三木:そうなんだ。他の人より上手いんですか?

江上:そういう方もいらっしゃいますね。地方とかでやるとむしろ循環経済が回っているので別にお金がなくても隣にちょっと野菜が余ったから届けるとか日々発生しているので、『ゼニー』がむしろ盛り上がらないんです。

宇都宮:モノとか関係性ですよね。

江上:モノとか関係性がすごくあるので、むしろ『ゼニー』的なあまり金儲けにあくせくしない感じでゲームが回っちゃったりするのでおもしろいです。ただ両方味わい切るという、自分はどの世界を生きるかという選択をちゃんと持つという、『ゼニー』しか知らなかったけど、こっちの世界と両方味わってお金にどんな意図を込めるかというのは、最後は本人の生き方を…

三木:ゲームの勝敗ってどのような形なんですか?

江上:勝敗は前半と後半になってるんですけど、前半は『ゼニー』で商店街をイメージして競わせるんです。売上とか利益を。そこには独占、騙し、駆け引きみたいなのをやり尽して、そうするとあるところが勝つ。「勝った!」とか「やったー!」みたいなのができるんですけど、それですごく幸福度が上がるんです。銭儲けできたから。でも「これがずっと続くとどうなりますか?」という話をして、今度は『エミー』をやると1つの会社が勝つとかではなくてコミュニティ全体が幸せになるという風に変わるので、お互いの共同作業とか肩もみが始まったりとか、助け合ったりするというのがそのゲームの中で再現されてきて、一応それは慶應SDMの前野先生が作ってる幸福度の測定をやるんです。そうするとちゃんとゲームの前からゲームの後に対して幸福度が上がっていくというのがあって、ただそれはゲームの世界であって、リアルの世界で『ゼニー』の循環と『エミー』の循環がバランス良くなると地域の幸福度が上がるというのを、実社会で実現したいなというのが…その中の金融って何だろうという問いを今ずっとかけてる感じです。

三木:実際の銀行でもそういう2つの通貨を発行したらどうでしょう。

江上:いいかもしれないですね。

三木:『ゼニー』も扱えるけど『エミー』という別のお金も発行できますと。そういう仮想通貨。

江上:でも実際そういうのが出てくるかもしれないですね。今ICOとかトークンを発行してて、実際の別のコインが流通し始めたりしてますので。

 

●マインドフルネスと金融について

三木:マインドフルネスと金融という無茶ぶりな感じなんですけど…

江上:さっきお金に意図を込めるという話をしたので、基本お金ってただのお金なので、お金にどんな位置づけをするとか、それをどんな風に人生のための1つの道具として扱うとか、自分自身の内面にお金が例えば汚いものだとか…お金は別に汚くないわけです。お金様は超フラットなので。

三木:お金に何の罪もないです。

江上:お金って人と人との関係性をつなぐものと考えると言葉と同じで、言葉っていうのは自分の内面をどう表現して世界にどう伝えるかということだとすると、お金をどんな風に自分の人生の道具として、自分の人生もしくは人々に位置づけるかというのは、最終的には自分の自己定義とか自分の内面に辿り着くと思うので、そうすると最終的には自分のあり方とか、何のために何をなすかというところにつながってくるので、マインドフルネスという三木さんがモノづくりの中でやっていることと…それも三木さんは製品なりサービスなりを、自分の内面とつなげるというのをずっとやっているのと同じで、それがモノとかサービスになると三木さんのやっている取り組みだし、お金もそのお金っていうのは人とのつながりの中で社会を変えていくという、誰かにお金をあげる時そのお金にどんな旅をしていただいて、その人にどんな幸せを届けるか、銀行だとどこに融資をすると、どんな社会が創られるか、例えば消費者ローンに貧困を生み出すような貸し方をするのも銀行だし、例えば同じ貧困層に対してもカナダにバーンシティ銀行という銀行があって、そこは貧困層とか多重債務者に対して、自立をするサポートをする融資をしているんですけど、そうすると同じ相手に対しても、どんな意図を持ってこのお金を届けるか、その銀行は地域の色んな仕事とかというのをつなげながら最終的には起業支援をしたりしながら自立していくのをサポートするんです。同じ相手に対してお金というのをどんな意図を持って届けるかによって創られる世界が違うので、どんな社会とかどんな世界を創りたいかという意図を貸す。それは融資でもそうだし贈与でもそうだし。

三木:金融に携わってた方がそういうのを実践すること、瞑想とかマインドフルネスとかでそういうサービスが生まれやすくなる可能性はあるんですか?

江上:あると思います。それを広げていきたいなって。

三木:実際日本でもそういう銀行はないんですか?先ほどのカナダの銀行のような特徴を持ったような銀行は。

江上:最近すごく仲良くさせていただいているのは、東京に第一勧業信用組合さんというところがあるんですけど、そこはコミュニティを育てるという意図を持ってて、例えば芸者さんに融資をするんです。東京って芸者さんが200人ぐらいしかいなくて、芸者さんの専用ローンとかあるんです。芸者さんって別に何か担保があるわけでもないし、何か財務的な実績があるわけでもないけれども、ただ人の信頼とか置屋の女将さんがすごく信頼しているということだったら、その人が例えば料亭を作って何かお店を出したいというんだったら、人の信頼を得て芸者というコミュニティを支えるために意図を持って融資をする。そういうローンが300種類あるんです。勝手に作っちゃうんです。「三木さんの友達ローン」とかできちゃうんです(笑)。

三木:いいな、それ(笑)。そういうところがもっと増えるといいですね。

宇都宮:今日午前中Facebookを見てたらスルガ銀行がオタクの方が同人誌を自社出版するための費用を出すという、融資というかファンドみたいな感じかもしれないです。ファンドと融資はまた違うんですよね?

江上:ファンドは直接金融、直接お金を出したい人と借りたい人をつなぐというやり方もありますけど、銀行って間接金融って言って、とりあえず預かって銀行が判断して自分たちでも貸し倒れも起きないかどうかという間を持つみたいな、間を持つ人がどんな意図を持つか、間接金融でそれをやるということがすごく大事なことで、それがすごく社会のレバレッジが効くというか新しい信用創造が生まれるというか…

宇都宮:そうすると結局貯金する人も「この銀行は良い銀行だからこっちにしよう」とか、今は金利がどこに預けても差がないので、扱いやすいところとか営業が熱心なところに預けるとか、預ける側がもしかしたら気分が変わるかもしれないですよね。お金をどう使ってもらいたいかみたいな。

江上:そうです。ドイツのGLS銀行は“人間のための銀行”というコンセプトを持っていて、社会課題を解決する、再生エネルギーとか環境とか有機農業とかそういう領域に特化した融資をしている銀行さんなんですけど、預金者に対して「同じお金を預けるんだったら自分の子供や孫に責任を持てるところに預けてください」ということを説いて回って、どうせ預けるんだったらそっちに預けると。東日本大震災があって、脱原発とかドイツですごく動きが出てきて、再生エネルギーとかに関心が生まれたのでどんどん預金が集まって、人も倫理観を持った人、大きな銀行で『ゼニー』の世界に疲れ果てた人がやってきて、意図を持って仕事をして、そうするとその銀行がどんどんそれを循環させると地域社会とかコミュニティが広がっていくという、まさに意図を持っている銀行が世界に実はネットワークを作っていて…

三木:マインドフルネス銀行…

江上:そうそう。マイクロファイナンスとか聞いたことあると思うんですけど、それが先進国にも結構あって、確か46ぐらいの銀行が集まってオランダに本部があって、意図を持つ銀行ネットワークみたいなのがあるんです。グローバル・アライアンス・フォー・バンキング・オン・バリューズという言い方をするんですけど、バリューなので価値ベースの銀行というのがあって、実は日本は1つもそこに加盟していないです。中国も韓国もなくて。なので鎌倉銀行さん…(笑)

三木:鎌倉銀行=マインドフルネス銀行、勝手にそういうことにしましょうか(笑)。

宇都宮:銀行って勝手に作れるんですか?

江上:金融庁の認可が必要です。それなりのガバナンスとか体制を整えたところに認可を出す仕組みなので。

三木:鎌倉の中でやろうとしている人がいますので。

江上:はい、ぜひ(笑)。

 

●江上さんの考える「日本の○○の未来」に対する想いについて

三木:最後に皆さんにしている質問で江上さんの考える「日本の○○の未来」、○○はご自身で決めていただければと。

江上:コミュニティ、つながりの未来というか、コミュニティが今分断しちゃってると思うんです。それはお金は関係性をつなぐものでもあるけど、分断するものでもあるので、今までは人に頼んだりしてたのが全部お金で処理、それこそ教育も介護も買い物も全部お金で、コンビニがあれば全て成り立つという、どんどん孤立化、分断が起きているので…

三木:お金で分断が生まれちゃってるってことですか?

江上:お金がつながり、コミュニティを作っていくという、これって金融だけじゃなくて、マーケティングとかでも同じだと思うんですけど、B to CとかB to Bとか、あれって消費者と私みたいな、じゃなくてB toコミュニティというか、もっと言うとBがコミュニティの中にいて、人体で言うと心臓と体みたいなもので、どんな企業も金融も全てがつながりの中で1つのエコシステムが回っていて、その中で全体性と自分のあり方というのを…最近NHKスペシャルで人体の特集があって、今までは人間は脳が全てを支配して、体をコントロールしているという考え方だったけど、今は実は骨の中とか体中が考えてる。体というものがあって機能分担して、脳とか何かになって全員が全体性を持っていて、その中で部分としてそれぞれが存在しているという社会が、心臓が腎臓には融資するけど肝臓には融資しないとかじゃなくて、全てが全体性を持つということです。

宇都宮:全部つながっていますもんね。本当は。

江上:そうそう。つながっているとみんなが思う社会とか、思う日本とかが増えてくるんじゃないかなと。そういう風なことを意図して、僕はお金という領域、三木さんはモノづくり、それかZen2.0という動きでやっていけたらいいなって。

三木:そういうもののベースにあるのが、マインドフルネスみたいなOS、金融の人とモノづくりの人をそういったところでつなげれば、その上でのレイヤーは簡単につながるじゃないですか。

江上:そうですね。

宇都宮:OSを共通化するとプラットフォームが共通になって、アプリケーションは色々その上で生み出せるので、根っこではつながっているということに気づけば、そこに目を向けるというか…

江上:本当そう思います。

三木:本日はどうもありがとうございました。

江上:ありがとうございました。

江上広行さん
https://www.facebook.com/hiroyuki.egami.94

WEBSITE
http://vcf-info.com/

WEBSITE(著書)「対話する銀行」
https://www.amazon.co.jp/dp/4322130879

 

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