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第160回MMS「銀行の変革を推進する変な人との対話を通じて未来の金融のあり方を追求する」前編 (株)電通国際情報サービス 江上 広行さん

●ご挨拶と出演者紹介

三木:本日もマイクロモノづくりストリーミング始まりました。司会は株式会社enmonoの三木でございます。本日は電通国際情報サービスの江上さんにお越しいただきまして、金融業界でこれほどおもしろい人物に会ったことがないということで、新しいお金のあり方で色々活動されているというお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

江上:よろしくお願いします。

 

●三木さんとの出会いについて

三木:まず最初に江上さんと私の出会いというところで、あれは昨年(2016年)の春ぐらいですか?

江上:春ですかね。第2期のエキスパートのキックオフ会があって、自己紹介がレジェンドさんだったので三木さんって名前を知ったのはちょっと後だったんですけど、その佇まいが初回からかなりインパクトがあって。

三木:鎌倉にカマコンという鎌倉を盛り上がる団体がありまして、そこのメンバーがその地域を盛り上げるファシリテーター育成学校のグローカルコーチングというのがあって、グローカルコーチングはどういう経緯で来たんですか?

江上:植嶋さんの紹介で。

三木:同じメンバーの植嶋さんという方のご紹介で来られて、この佇まいって別にインパクトはないと思うんですけど(笑)。

江上:いや、あるんですよ(笑)。オーラみたいなものですか。静かであまり喋らないんですけど、いるだけで何か起きそうな雰囲気、実際起きちゃうみたいな(笑)。三木さんってそこにいるだけで場に何か浸み出てますよね。

三木:そうなんですか。

江上:僕は人生でなかなか会ったことがないタイプなのでうれしいです(笑)。

三木:そんなことを言われたことはあまりなかったので意外とうれしいです(笑)。そこはお互いの体験をシェアしながら場づくりをする学校だったんです。そこで仲良くなって、その後に江上さんのネットワークで大室(悦賀)先生という方をご紹介いただいて。

江上:スルガ銀行のANA支店というのが日本橋にあって、そこで大室さんと三木さんに来ていただいて、『マインドフルネスと企業経営』という…

三木:謎の講演会を(笑)。でも意外と来た方の反応は良かったですよ。

江上:良かったですね。PDCAとかKPIとか元々の企業の論理を全て破壊して混乱を招いて終わったという(笑)…個別にはかなりインパクトを与えて、何十年もビジネスで大切にしてきたものを見事に破壊していただいたという感じで(笑)…

三木:あの場で色々つながった方ともずっとFacebookでつながっていて、時々「いいね」をしてくれたりとか、おもしろい体験をさせていただいてありがとうございます。

江上:良い機会でした。

 

●江上さんの自己紹介と活動紹介

三木:江上さんのバックグラウンドをご紹介していただいてもいいですか?

江上:今50歳なんですけど、40歳まで18年間地方銀行で働いてまして、40歳の時に今の電通国際情報サービスという会社に転職をしたんですが、その後全国の地方銀行さんとか信用金庫さん、地域にいる金融機関さんの変革のお手伝いをずっとやってて、最初仕組みとかITとかやってたんですけど、途中でシステムを変えても変わらないなということで、4、5年前ぐらいに急に関心が人間とか組織とかに移って…

宇都宮:オーダーがあったんですか?変革したいというのは…

江上:いや、気がついたらやってたという感じでしたね。

宇都宮:「変革したほうがいいですよ」って提案していく感じなんですか?

江上:そうそう。話していると結局人間とか組織の話になって、同じ頃に自分という人間にも関心ができてきて、自分は何者かということを、45歳から急に考え始めて自分の探求をしていて自分が自分で設定している限界とか固定概念とかに気づき始めて、U理論と出会って、そういう探求をし始めたのがきっかけです。

三木:U理論がきっかけだったんですか?

江上:きっかけでしたね。たまたま読んだ本だったんですけど、U理論のコミュニティに参加して色んな研修を受けたりしている間に、気がついたら今副業もやってて、グロービスというビジネススクールでクラスを持たせていただいたり。

三木:それって何年ぐらい前ですか?

江上:3年前です。知り合いがグロービスのOBの吉田さんという人がいて、「何かやってみる?」って言われて、僕は金融の領域だったのでファイナンスが専門なのでファイナンスのクラスを持つのかなと思ったら、「江上さんって人の話をしてたほうが目が輝いてるね。人のリーダーシップとかやってみる?」って言われて、えーっと思ったんですけど、やってみたら結構楽しくて今もずっと続けてます。

三木:今何期生目ですか?

江上:もう何期もやってて色んなクラスを持っているので、もう300人ぐらいです。

三木:すごい。電通国際情報サービスでは副業はOKなんですか?

江上:例外的に目をつぶってもらってる感じですね。

三木:本業につながることであればOKみたいな感じなんですか?

江上:本業につながればOKです。でもやってることって自分の中では人の可能性を開くとか、お金の可能性を開くという意味では自分の中ではそんなに違和感なくて、去年から一緒にやっている仲間たちと『おかげさまお互いさま』という会社を…

三木:おかげさまお互いさま合同会社でしたっけ?

江上:そうそう。それは地域の信頼とか健康経営とかをテーマに地方創生の枠組み作りみたいなものもやり始めたところです。

三木:この本は江上さんが書かれた『対話する銀行』(https://www.amazon.co.jp/dp/4322130879)という本なんですけど、この本の中で地方銀行に行った時に、リレーションシップ・バンキングというので議論する中で仕組みを変えても難しいことを感じられたとおっしゃってまして、ちょうど私もリレーションシップ・バンキングという時に、中小企業側から何かサービスが提供できないかということで、前職時代に、銀行に対して企業間マッチングを提供することができないかを調べた時期があったんです。だからリレーションシップ・バンキングが出てきて懐かしいなと思って。15年ぐらい前ですか?

江上:2003年か2004年ぐらいですかね。金融庁が今までの地域金融のビジネスモデルはもう限界だと。今すごくそういうことが言われてて、当時からずっと言われてるんだけど、実はその間ってあまり変わっていなくて、古くて新しい問題なんですけど、いよいよのっぴきならない状態になってきたということです。

 

●現在の金融業界について

三木:金融に関して私は専門じゃないので、どういう変化が日本の金融業界に起きているかを教えていただいてもいいですか?

江上:よく言われていることは、日本経済自体がデフレになってしまって、銀行で言うと貸出が売上みたいなものなんですけど、預金を預かって貸し出しをするというところで、日本人って年寄りも貯蓄・貯金が好きなので、預金は集まるんですけれども貸すところがないっていう状態。貸すことがないのは、事業自体を借りてまで何かやろうという起業家が少ないという問題もあるし、バリューチェーンの構造ってモノを仕入れて在庫して販売して売掛金が発生してというその間に設備を作ったりして、何かお金になるまでの時間を蓄えながら借入って発生するじゃないですか。それがない経済構造みたいになっちゃって、ソフトなもので経済が動いているので、仕入れて在庫して販売するもしくは設備を持つとかがどんどんなくなってきていて、全体の経済とか人口減少、特に地方とかそういう状態になっていく中で貸し出し先がないと。そうすると貸せない。でもお客さんとか中小企業の状況も段々悪くなってくると銀行も貸し倒れが嫌なので、特に金融庁とか不良債権問題が大きくなった時に銀行も保守的なスタンスをここ20年ぐらい続けてきているので、その中で貸したいけど貸せない、借りたい人がいない…

三木:担保がないと貸せないということですか?

江上:担保がある人はそもそもお金がいらないという状態なので、どうしようかなというのが今の現状で、あとよく言われるのはマイナス金利、そもそも銀行で言うと仕入れて販売する貸出というのがマイナス金利になっちゃってるので、0%でも貸すという時代になっちゃってるので。

三木:そうなんですか?そんなことをやってるんですか?

江上:そんな時代になっちゃってるので、マイナス金利なので日銀に預けておくと逆にお金を払わなきゃいけない。0%で貸してもまだ貸せるという状態になっちゃってるので、そうすると粗利がないビジネスになっちゃってる。さて、どうしたものかという状態。

三木:今銀行とかどうやって稼いでいる感じなんですか?

江上:色々投資信託とかの手数料だったり、色んなM&Aの仲介とか、銀行って地域にいると特にお客さんとの関係性になるから、お客さんとの関係性の中で個人の場合は投資信託とか保険とかの販売をやったり、本業の中で決済手数料とか振込とかいわゆる貸出じゃないところもあるんですけど、根幹はやっぱり貸出なので、そうすると企業が借りないと今度どこにいくかというと最初住宅ローンだったんですけど、住宅ローンがワーッと競争になって取り合いになったんですけど、住宅ローンももう借り換えで競争になっちゃって、今割と伸びてるのはアパートローンですね。アパートを建てて不動産経営をしようという人に提案をしたり、そういうのをデベロッパーと組んでやったりとか、あとはカードローンが実はこの数年すごく伸びていて、あれって結構金利が取れるじゃないですか。消費者金融はそんなにもう貸せない時代になっちゃってるので、そこを銀行が引き受けてるんですけど、結果的に何が起きてるかというと…

三木:カードローン破産みたいな…

江上:そうそう。来店不要即日融資みたいなのがどんどん増えていくと借りやすくなっているから、どんどん多重債務者を増やしちゃってるのを銀行が片棒を担いじゃってるような非常に難しい社会的な問題があります。

三木:それで新しい銀行の方向性をみんな模索している感じなんですか?

江上:答えを探していたというか、そもそも金融業界って元々そんなことを考えなくても回るビジネスだったんですけど、ルールは金融庁がしっかりルールを決めてくれて、そのルールに従ってよっぽどまずい商売をしなければ地域で儲けてたので、どうあるべきとかビジョンとかそんなに考えなくてもいけてたんですけど、今はこの期に及んで答えがないので、金融庁も「答えがない」ってもう言っちゃったんです。

enmono(笑)

 

●著書『対話する銀行』について

江上:2、3年前ぐらいから森さん(森信親金融庁長官)が長官になって、「答えを言い続けてルールで縛ってきた僕たちが悪かった。ごめん。その代わり自分で考えろ」って言われて、今色々考え始めてるんですけど。

三木:でも今まで同じような定型業務をやっていた人に、いきなり「勝手にやって」って言っても何も生み出せないしなかなか難しいじゃないですか。

江上:でも別に銀行員に限らず変な人っていて、変えたいとか自分の意図に従って地域のためとか自分自身のためとか組織のために尖った人がいて、自分自身も銀行員時代そうだったんですけど、ユニークとか変なことをやろうとすると居場所がなくなって、やり方も随分悪かったんですけど(笑)、銀行を辞めてコンサルの側にいると俺みたいなやつ結構いるなと思って、みんな孤独で場合によっては苦しんでて、出る杭を叩かれてたりそのまま日の目を見なかったりする人とか、それでも戦っている人たちがいて、この本を書いたのは、そういう方々を集めたらおもしろいだろうなと思って。中で苦しんでいる人が愚痴を言い合いながら…

三木:金融業界の変な人を集めたっていういわゆるイノベーターですね。

江上:そういう方々が集まって、最初3、4人ぐらい集まれば何かやってもいいかなと思ったら一応10人ぐらい全国から集まっていただいて。

三木:呼んで取材をしていった感じですか?

江上:2ヵ月に1回とか東京に来てもらって。

三木:こちらから連絡する感じですか?

江上:「今度こういう会をやるので」と。だいたい30代、40代ぐらいの尖った銀行員の方で、組織の中で色々苦労されているだろうという方を集めて東京に呼んで、最近は地方でもやるんですけど、未来を一緒に考えるという会をやり始めたのがきっかけです。色々なゲスト、それこそ大室さんとかお医者さんとか、なるべく金融以外の方とか混ぜこぜにしながら対話をしていて、すごいおもしろかったのでこれを本にしたいなと思って、差し支えない範囲で書けることを書いた本です(笑)。

宇都宮:本当は言えないこともいっぱい…

江上:ここに書いてないこともいっぱいあるんですけど、書くとまずいので多少僕が脚色して書いたというのがこの本で、苦悩している中で対話をする中で発見をしたりするというプロセスを描きたくて、何の答えも書いてないんです。

三木:みんな答えを求めようとするけど答えは自分で考えてねという…

江上:そんな感じです。

三木:でも今まさにこういう、ちょっと変わった人が求められている時代じゃないですか。特に金融業界というか、あらゆる世界でそうだと思うんですけど、意外とその中に出てらっしゃる方が本当に数年後頭取になってたりとか、銀行業界を引っ張っていくみたいな。

江上:金融業界ってフィンテックという言葉、テクノロジーと金融をつなげるみたいな、そこで活躍している方って、だいたい銀行の外にいるベンチャー企業の方とかIT系の方が多いんですけど、外に出て外から変革をしていくという役割はあると思うんですけど、自分ができることって元々銀行員だったというのもあるので、すごく難しい業界なんだけど、中にいる人に火をつけて中から起こしていくことがすごく大事だなと思って、それでこういう人たちを呼んで、折れないように勇気づける役割を果たしたいなと。ここに参加した人は自分で色々始めたりする方がいて、ブレーキかけたくなるぐらいやらかす銀行員の方が時々現れて、それを見てるとすごくやってよかったなと。

三木:活動している中で「本当はこういう風な道がいいんじゃないの?」みたいなのは何となく見えてきましたか?

江上:そうですね。今の金融って元々銀行決済機能とか金融仲介機能とか信用創造とかベースがあるんですけど、リーマンショックに代表されるように、実態経済と離れたお金がどんどん膨らんじゃって破綻したというカジノ金融みたいな、これは元々の金融を1.0という言い方をしている人がいて、カジノ金融が金融2.0…

三木:カジノ金融ってどういう意味ですか?

江上:カジノ金融って実態経済と離れたところで、実態経済じゃない金融が膨らんじゃって破綻したというのが、リーマンショックが代表してあったと思うんですけど、行き過ぎた金融みたいな、今揺り戻しが来ていて、金融庁が言っていた世界的に動いている規制の動向というのは、行き過ぎた金融に対して安全性とか共通価値、地域のことを考えましょうとかお客さんの立場に立って考えましょうとかそういう動きに一回揺り戻してるんですけど、それだとおもしろくないなと思っていて。そこには反応的なんです。「社会がこうだから金融機関はちゃんとしないといけません」というところなんですけど、そこを突き抜けた世界、それを金融3.0という社会的な責任金融みたいな言い方をしていて、金融4.0というのは人のために役立つんじゃなくて、自分たちがクリエイティブに意図を持ってこんな未来を創りたいというところに、お金という手段を通して社会を変えようという選択をしないと、エコシステムとか、反応的ではなくて自分のあり方につながったところが起こし始める金融を広げていきたい。反応的な金融ではなくて、自分たちの意図を実現する金融というのがすごく必要だなと思っていて。グローバルに見ると、例えばドイツに再生エネルギーとか環境とか貧困とかに特化した金融機関ってあるんです。銀行が意図を持ってこんな社会を創りたいって宣言をして、それに共感をする人が預金をし、それをクラウドファンディングじゃなくて間接金融として実現している銀行が世界に結構あって、そういう金融機関が日本にあまりないので。

三木:それが鎌倉銀行ですか?

江上:そうそう。鎌倉銀行とかぜひできたらいいなと思ってるんですけど。銀行員さんと話していると、金融って付加価値を生んでないので黒子、裏方でみたいな話をしている方が多いんですけど、何か意図を持ってもいいんじゃないかなって。

後編に続きます。

江上広行さん
https://www.facebook.com/hiroyuki.egami.94

WEBSITE
http://vcf-info.com/

WEBSITE(著書)「対話する銀行」
https://www.amazon.co.jp/dp/4322130879

 

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