NEWガイアの夜明けで紹介された、クラウドファンディングを活用して新規事業を立ち上げるためのスクール「zenschool(ゼンスクール)」 22期新規募集(残席1名)

第159回MMS「3D技術を駆使するメタル仏師が生み出した新感覚仏像『Polygonアシュラ』」前編 (株)アイサク 今井 祐二さん

●ご挨拶と出演者紹介

 三木:皆さんこんにちは。本日は株式会社アイサクの業務運営室長の今井さんにご登場いただきまして、メタル仏師ということでこちらの阿修羅像を、2016年12月に受講したzenschool豊田市で企画構想されて、それから約1年かけて作られたということで、そのお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

今井:お願いします。

 

●株式会社アイサクの紹介

三木:それではアイサクさんの事業のほうからご説明していただいてもよろしいですか?

今井:はい。改めまして株式会社アイサクの今井と申します。まず弊社の会社概要ということで、会社名は株式会社アイサク、場所は豊田市広久手町という所にあります。社員数は62名で、弊社の事業内容、主力商品ということで2つあります。大型プレスの自動化装置(ディスタックフィーダー)というものを作っております。これがプレスのラインとなってまして、その前にあるブランク材(同じ大きさにカットされた鉄板の束)を1枚ずつ分離し、プレスへ投入する装置です。こういった

ブランク材、鉄板の束を1枚1枚分離して大型プレスに流し込むといった全体はものすごく大きな設備となっております。もう1点がナックルリンクプレス、ちょっと小さなプレス自体も作っておりまして、リンクモーション・剛性構造により、高精度・低騒音/低振動を実現したこういったプレスも作っております。

三木:元々は井戸を掘る…

今井:そうですね。アイサクという名前なんですが、元々愛知鑿泉工業という名前でして、その鑿泉というのが井戸掘りの意味を持っておりまして…

三木:井戸堀り装置を開発されてたんですか?

今井:井戸はたぶん手堀りから始めて、それでトヨタさんに入っているうちに「こういうものを作ってみないか?」という話があって、それからこういった設備関係をやるようになったと聞いております。

三木:今創業…?

今井:創業50年を超えましたね。

三木:そうなんですね。井戸堀りからフィーダーにいった…すごいですね。

宇都宮:プレス機も作るしプレスの周辺の自動化装置みたいな感じですよね。

今井:そうですね。そのディスタックフィーダーというのはもっと大きなプレスに対応しているものですけど…

宇都宮:人が投入してたら間に合わないという…

今井:そうですね。サイドメンバー(自動車の構造部品)といってすごい大きなのを打つ材料を送り込んだりしますので、到底人で送り込んでたら全然間に合わないですね。

 

●zenschool豊田市を受講したこと

 三木:そういう装置を作ってらっしゃる会社さんがなぜ自社商品開発というのにご興味を持たれてzenschoolに来られたのかというのをちょっと…

今井:私はこれまでに個人的な趣味の延長で薪ストーブとかペレタイザーというペレット材を作る木材に興味がありまして、自分の空いた時間で会社に時間をいただいてお金の面でも協力していただいて、開発というのを進めてたんです。元々キャンプとかが好きで、モノは見よう見まねで色々試行錯誤してできてくるんですが、それをどう商品化までつなげるかという部分でノウハウが全くなくて、そういった時にタイミングよくzenschoolの話を社長のほうから、「こういうセミナーがあるので出てみるか?」と言われまして…

宇都宮:2016年ぐらいですか?

今井:その話は2016年の春ぐらいだったと思います。

三木:豊田市さんのほうからご連絡があったんですよね?

今井:そうですね。社長のほうに入って社長は出れないので「出てみないか?」と。もう本当に僕でよければ全然受けたい内容でしたので、ちょうどいいタイミングでいい話をいただけました。

三木:受講したご感想はいかがでしたか?期待していたものと同じでしたか?

今井:5名募集のところ6名応募しまして、まず面接がありまして、久しぶりに面接を受けてすごく緊張したのを覚えています。事前に資料をいただいて企画から販売まで教えていただけるという内容に目を通したんですが、いまいちパッとしない、イメージができないというのですごい不安があったのと、思い出すと三木さんが面接官としていらっしゃったんですが、ただならぬオーラを放っていた(笑)…何者なんだろうこの人はみたいなちょっと掴みどころがないような(笑)…

一同:(笑)

今井:そういったのをちょっと覚えておりまして、実際受ける5人に入りまして。

三木: zenschoolではワクワクトレジャーハンティングチャートというのを作っていくんですけども、その前に瞑想を10分ぐらいして10歳の頃を思い出すというところでそのワクワクと持ってらっしゃる技術で新しい商品を考えるんですけども、その時にどういうワクワクが出てきたんですか?

今井:僕の場合は10歳の頃を瞑想の最中に考えまして、パッと出てきたのが確か小学校高学年と中学校ぐらいまですごい仏像が好きな時期が…それも瞑想するまで自分の中でも忘れちゃってたことなんですけど、思い出してみると友だちと京都とか奈良に2人で行ってお寺を回って…

三木:その時のことがすごいワクワクしてた?

今井:そうですね。それがパッと出てきまして、まずそれを書きました。10歳の頃の好きだったことの思い出ということで、自社の強みとか得意な分野は大きな設備を組み立てますので、色んな組立の技術を持っているというのを組み合わせて、まずは廃材で仏像を作ってみたらどうかという話にまとまって。廃材というと鉄の板からビニールのチューブやら色々あるんですが、色々社内に持ち帰ってやってたんですがどうもイメージと違いまして、色々調べてみるとペーパークラフトって立体にできるよなとか、それも実際僕が好きだったのでつながって、しかもアルミで作れば強度も出て大きなものが作れるんじゃないか、アルミで作れば表面が光ってますのでカクカクにすることでミラーボールのように反射したりということがイメージに湧きまして、まず探したところちょうどこの阿修羅像のペーパークラフトが市販されてるものがありましたので、ちょっとそちらを借りて一回作ってみたというのが最初のステップです。仏像の中でも何で阿修羅像を選んだかなんですが、それも小学校の時に行ってた時に一番好きだったのが興福寺の阿修羅像というのが頭の中にありましたので、一番好きなやつを一番最初にやりたいなと思ってこれになりました。

●Polygonアシュラについて


三木:ちょっとこちら映していただきたいんですけども、非常にカクカクしておりまして、ポリゴン調な感じなんですが、本来のペーパークラフトはこういうカクカクはしてないんですけど、どういうところからカクカクさせるっていうのが?

今井:まず面と面を組み合わせると光が乱反射してキレイで美しいというのもありますし、ペーパークラフトは紙で本当は作るんですが、紙で作る時はねじったり丸めたりとかそういった部分もあるんですが、それをアルミでやろうとすると変にねじれてしまったり変形してしまったりするという意味もありまして、2つの特性、良い面と悪い面を反映した結果このようなカクカクのポリゴン形状をやるようになりました。

三木:zenschoolの場合は全部プログラム(集中講義)を終わって約1ヵ月の間に試作品ができるところまで作ってくるというルールになっているんですが、本当にここまで作ってくると思ってなかったので、それが出てきた時の(発表会)会場の驚きが結構すごかったんですけども、バージョン1ではどういったとこに苦労して作られたんですか?

今井:こちらはもう完全なオリジナルなんですが、市販されている阿修羅像のペーパークラフトをほぼこれと同じ大きさで作ったんですが、作ること自体はちょうどタイミングよく正月休みがあったので必死になってオリジナルでやって作りました。

三木:Facebookに所々出てくるんですよ。足のところだけとか右の足だとか「今手を作ってます」とか「頭ができました」みたいな…

今井:発表会には間に合って結構好評で、これからどう展開していこうとなったんですが、そこで問題で市販の図面を使ってましたので、表に出したり後々には販売したいので、ペーパークラフトのメーカーに許可を取らないとまずいなということで、実際問い合わせをして「後々販売まで考えてるんですが」という話をしたんですが、やはり向こうとしてはNGだと。

三木:お電話でお話されたんですか?

今井:メールでやり取りです。「商業利用は控えてくれ」ということでしたので、もうそこで頭を切り替えて全部図面からやり直さないと商品化できないなということになりまして、実際図面から全部作ってできたのがこちらになります。

三木:大変でしたね。1年間ね。半年ぐらいかかったんですけど。

宇都宮:実際3月、4月ぐらいに切り替えたんですか?

今井:そうですね。それでもう必死になってまずは図面を自分では描けないので、そういったノウハウを持っている企業を探して、運よく名古屋に近いところにそういう協力していただけるところがありまして、そこもペーパークラフトは作ってるんですが、このような細かくて大型のものは作ったことがないということでいろいろと苦労されましたが、

、結果的にはすばらしいものができました。

三木:これを作るために市の助成金も取得できたって?

今井:そうですね。ちょうど6月ぐらいだったと思うんですが、色々調べているとそういった新規開発の商品に対して補助金が出るということを知りまして、半額出るということで、今まででしたらそんなこと挑戦もしたこともないですし、ストーブの時も考えたこともなかったんですが、zenschoolで企画から販売、色んなノウハウを学んでいたというのがたぶん大きいんだと思うんですが、補助金を申請する時もそういった事業計画とか学んだことを何のストレスもなく書けて、市の関係の方に協力をしてもらえば今までやれなかったことも全然すんなりできちゃいまして。

三木:すごいですね。zenschool。

宇都宮:色々活用できた。ノウハウを。

今井:そうですね。一番不安だったのは豊田市というとモノづくりで有名だと思うんですが、仏像となると何の実用性も…暮らしが楽になるとか、使ってて楽しいとかそんなのがないので…

三木:飾って楽しいっていう…

今井:これって認めてもらえるのかなというのがあったんですが、非常におもしろいと感じていただけたのかなと。他の何社かは技術的なもので、これだけ『アルミで作った阿修羅像』とかって…

宇都宮:異彩を放ってたんですね(笑)。

今井:それを見た色んなうちの関係の業者さんとかがなにをしてるんですかとか(笑)。逆にそういう反応がおもしろいかなと。

三木:今井さんこのバージョンの前のバージョンの時に興福寺までわざわざ本物を見に行かれて、それで精神を注入してから取り組んだという逸話があるんですが、それは本当ですか?

今井:そうですね。ちょうど大阪のほうに出張があった時に会社に頼んで「1泊させてください」と。小学校中学校の時は行ってたんですが、それ以来全然仏像というのを忘れちゃってまして、思い出してみるとまだ心の中で興味が全然ありますので、もう1回作る前に見て自分のモチベーションを上げてということで行ってきました。

宇都宮: 2017年の夏頃ですか?

今井:いや、2017年の2月頃ですよ。オリジナルじゃなくて前の市販のやつを使わせていただいたものを作る前に1回行っています。

宇都宮:どんな感じでした?興福寺の実物は。

今井:実物を見るとすごい有名ですので何回見ても飽きないと言いますか、その前に立ち尽くして10分でも1時間でもいれるぐらいの…

宇都宮:撮影とかできないんですか?

今井:撮影は一切ダメですね。

三木:自分に染み込ませて組み立てる時に…

宇都宮:染み込みましたか?

今井:ええ。

三木:驚いたのは本物を写した写真というのがあって、バージョン1の写真をほぼ同じ角度から撮ったら手の位置とか全部ぴったりなんですよ。それってペーパークラフトの設計図も良かったのかもしれないし、自分の中に染み込んだ感覚があったからぴったり同じようにできたんじゃないですか?

今井:実際見に行きまして、「作らせてください。お願いします」と、そのご利益があったのかなと。

宇都宮:お顔の表情とか目のところとかすごい。

三木:バージョン2も今日は初めて拝見したんですが、これなりに表情が出てますよね。正面と左と右でちょっと違う。手の表情が非常に豊かで、バージョン1はここまで手が表情が出てなかったんですけど、バージョン2の心掛けたところを説明してもらっていいですか?

今井:実際バージョン1の時は調整している部分が見ててありまして…

三木:ペーパークラフト用に調整してる?

今井:そうですね。組みやすいようにとか顔とかもすごい削っちゃったりとか…

三木:こっちのほうがリアル、本物に近い感じですか?

今井:それも色々本物と見比べたり資料を見たりとかやっていくと気づくんですが、その辺はなるべく本物に近い形でやりたいなと。もちろん大きさもそうですし、この手の感じとかもバージョン1だとただの筒だったんです。


三木:これはちゃんと腕輪のところの表現もされてますね。あと衣の表現がこっちのほうが豊かですね。

今井:そうですね。パーツベース的にもこちらのほうが多くなってますので、よりバージョン1よりはリアルになっていると思います。

三木:なるほど。バージョン1は正面と右の顔の大きさがそんなに違わなかったんですが、これは本物に近い形だと大きさも変えてあるんですか?

今井:これもたぶん実際のものと比べて同じアングルで撮っていただければかなり重なると思います。

宇都宮:これはアルミだから照明によって全然表情が変わりますよね。夜見た時と昼見た時と。見るごとに表情が違うっていうのがすごい。

今井:かっこいい言い方をすれば生き物のように…

三木:僕らが見てておもしろかったのが、今井さんがどんどん仏師みたいになっていって、顔つきとかも仏師の表情になって…(笑)

宇都宮:エンジニアじゃなくなってきてて(笑)。

今井:怒られちゃいますね。

宇都宮:でもエンジニアの根底にある職人気質と仏師というのとは近いので…

今井:何をするにもこだわりたいというのがあるので、適当にやったりというのが気にくわないからごまかすのが嫌なので。

宇都宮:それも職人気質ですね。

今井:そうですね。

宇都宮:アウトプットとしてCADを使ってっていうのは今度手の技のほうですからね。

今井:元々細かいことを黙々とやるというのは好きなほうです。社内で空き時間に作っていて、みんな空き時間なのでたぶん何も言わないだろうなとは思ってたんですが、逆にやって積み重ねていくうちに「何ができるの?」って楽しみにしてくれる方もいて。その辺もクリアできてやることができました。

三木:これは腕の表情もたぶんこっちのほうがリアリティ上がっていますね。この3本に分かれるあたりの腕の表情がいい感じですね。

今井:業者さんと協力してやったんですが、やっぱり最初なので実際組んでみると辻褄が合わなかったりとか手の角度が違ったりとか、そういった面は直し直しやっていたので時間がかかったというのも実際あります。

宇都宮:2017年ようやく12月に展示会に出展されて、クリエーターズマーケット。

今井:そうですね。ポートメッセなごやというところで毎年2回6月12月に開催されているんですが…

宇都宮:こちらを出展されたんですか?

今井:これを出展しまして、それが12月の頭にあったんですが、もう本当ギリギリでポートメッセの搬入する前日の昼に完成しました。

三木:反応はどんな感じでした?

今井:反応は最初全然想像がつかなくて、そういう展示会に出ること自体も僕は初めてでしたので…

宇都宮:お客さんとしても行ったことはなかったんですか?

今井:なかったですね。実際行ってみると人数的にものすごい方が見えて。予想外だったのは、年配の方に受けるかなと予想してたんですが、男女関係なしで年齢も問わず前を通り過ぎる時に絶対これを見てパッと止まって、顔がちょっと笑顔になりつつ「わっ、すご!」って口でボソッと…

三木:何か寄って来る感じですか?ジロジロと…

今井:そうですね。

宇都宮:笑顔になるんですか?

今井:不思議と口が緩んで「すごっ!」とか「うわっ!」っていう反応をしていただけて、最初のうちは何も表示してなかったので途中から『写真・カメラOKですよ』というのを出しましたら結構の方に撮っていただいて。

宇都宮:全身を見るような感じですか?

今井:三方囲まれたブースでして、それにこのような黒い布を全面に張りまして、後ろにちょっと照明を当てる感じですね。初めてにしては結構インパクトのある展示会ができたかなと思います。

後編に続きます。

今井祐二さん
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