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第152回MMS「モビリティを通じて次世代の人達に夢(=能力の拡張)を提供する」後編Cartivator代表 中村翼さん

前編からの続きです。

●競合他社の空飛ぶクルマの開発とskydriveの開発

中村:この空飛ぶクルマは2年前ぐらいはまだ少し競合がいるかなぐらいだったんですけど、今かなり世界中に色んなところで出てきていて、有名なところでも20社以上やっています。赤いのは垂直離着陸するタイプ、青いのは滑走路を使うタイプなんですけど、

垂直離着陸タイプは我々が作ってるのと近くて、特にシリコンバレーで最近盛んになっていて、ITの大手のお金が入っていたりします。今シリコンバレーに行く渋滞がすごいというのが背景にあって、4、50kmぐらいのところを2時間かけて行く人たちもたくさんいるので、去年の秋ぐらいからUBERというタクシー配車アプリの会社が、電動の垂直離着陸機を使ってエアタクシーをやろうという構想を出したり。具体的には今地上から飛び立つことはできないので、垂直離着陸できるヘリパッドまで、地上のタクシーで行って乗り換えて上がって飛んで行き、また降りて再度地上のタクシーを使うというので、これで先ほどの2時間を15分にしようみたいな計画が進んでます。毎年アメリカで2014年から学会の中でワークショップが開かれてて、NASAとかMITとか研究機関とかも入ってディスカッションがされているような状況で、あながち夢じゃなくてかなりリアルな時間軸です。2025年にはサービスインをするということも言われています。

宇都宮:国としても支援したりしてるんですか?

中村:アメリカは航空局も入ったり、NASAもやってたりというので…

宇都宮:法整備とか……

中村:本当にそこをディスカッションして新しい産業を創っていこうという動きなんです。そういう中で我々も今やらないとどんどん遅れをとるなと。なかなか顕在化はしてないというところです。

三木:日本として取り組まないといけないことですよね。

宇都宮:水面下で有志同士では話したりもしているんですか?

中村:そうですね。他のところで会うと話したりするんですが、しっかりと企業規模で顕在化しているところはまだあまりないです。

宇都宮:でもそこを押さえないと技術的なものだけでは完成しないですよね。

中村:そうなんです。そういった仲間づくりをやっていかないといけないなと思ってます。

宇都宮:ぜひ国の方も有志に参加いただけると。

中村:本当そうです。

三木:今そういう省庁の方とかも参加されてるんですか?

中村:この活動自体には省庁の方は参加していなくて、個人的にネットワークを今作り始めているところです。我々が作っているモノには競合がいくつかあり、アメリカのベンチャーでJOBYという会社はNASAと一緒にやっていて、飛行機の形でちっちゃいプロペラをたくさん付けて垂直に上がってプロペラを倒して飛んで行くというタイプのものだったり、エアバスもシリコンバレーにスピンアウトした会社を作って、同じように垂直離着陸できるタイプのモノを作ってたり、さらにZEE.AEROという会社はGoogleの創業者ラリー・ペイジさんが、数十億円規模で出資している会社で一応プロトタイプも飛ばしてます。

三木:本当に?

宇都宮:CGじゃなく、1分の1サイズでプロトタイプを飛ばしてるんですね。

中村:そうですね。NASAの滑走路を買い取ってやってます。

宇都宮:それは有人飛行を?

中村:まだテストとしては無人ですが、有人も間もないとは思います。アメリカでやっているので結構サイズが大きくてセスナぐらいのサイズで、どうしても都市部で使おうとした時に場所が狭いところでは制約もあるな、というところから、我々はこの世界最小の空飛ぶクルマを作ろうと。

三木:世界最小なんですね。

中村:はい。“skydrive”と呼んでいますが、垂直に離着陸できて、サイズも軽自動車と同じぐらいのサイズで、操作もハンドルとペダルという車と同じような操作でできたり、将来的には自動運転にしようと思って、原理的にはドローンと同じようにプロペラで垂直に上がって、タイヤで走るというようなモノです。動き方は走ることもできて飛ぶこともできるというので、災害時に使えたりとか、海の上みたいな道がなくても移動ができたりとか、そういった自由自在に移動できるモビリティというのを考えています。

中村:、空飛ぶクルマ“skydrive”の実現に向けた歩みですが、2014年に5分の1を作って、まさにこれができてzenmonoさんでクラウドファンディングさせていただいて、ちゃんと飛ぶことを確認した上で「じゃあ1分の1サイズをやろう」というので、これ自体は全部自分たちで作ったとかではなく、個人で元々空飛ぶ乗り物を作られていた方の、機体をお借りしながらという形でやっています。

三木:何か大学の研究室と作る…?徳島大学でしたっけ?

中村:そうです。真ん中の先生が徳島大学の先生なんですけど、ドローンの姿勢制御を研究されている方で、左の方が元々この機体を作られてる方で、「じゃあ一緒にやりましょう」というのでやらせていただいて、我々はzenmonoさんで集めさせていただいたお金を、実験費などに使わせていただきました。これはなかなか簡単に安定浮上しなくて、大きくなると難しいところがいくつか出てきて、一番顕著なところは、ドローンって基本的にプロペラの回転数で姿勢制御をしてるんですけど、大きくなると回転数を速くしたくても、モーターが重くすぐに動かないので応答性の遅れが出てきて、その結果安定しないという。最初の頃は本当にフラフラ暴れ回るようなところで、中身の制御のチューニングをしていくことで、少しずつ安定していき、今現在5秒ぐらいの安定浮上までは、持っていけてるところです。これが2015年に向けたロードマップですが、まず2020年東京オリンピックでデビューさせようというのが我々の第一目標で、2025年には発売を開始し、その後30年に先進国、40年に新興国というステップを刻んでいきたいなと思ってます。東京オリンピックのシーンがこちらで我々の妄想ムービーなんですが、新国立競技場にこのskydriveが入って行って、観衆の目の前で飛んで行って最後聖火台に向かって行って…

宇都宮:これは中村さんが乗ってるんですか?

中村:いや、日本を代表するパイロットに乗ってもらおうと思ってます。最後聖火を付けて飛び去って行くと。子供たちに夢を与えるのと、こういう世界が来るんだという…

宇都宮:オリンピック関係者もチームにいたりするんですか?

中村:今関係者はいないです。ただ、今何とかつながろうとやってるところです。このプロジェクトは本当に自由にやっているので、時間は限られてるんですけど、逆につながりという意味ではオープンにできるな、というので色んな方に入っていただこうと。今ヒト・モノ・カネのリソースを何とか集めようというので、ヒトに関しては有志チームで今50名ぐらい学生さんも含めているんですが、各チームに分かれて主に技術と事業という形でやっていたり、アドバイザーという形で大学の先生方に、技術的なところのアドバイスをいただいたりしています。カネに関しては豊田市役所からサポートいただいたり、zenmonoさんを通して皆様にご支援いただいたり、5月にトヨタグループ15社から、4,250万円のご支援をもらえることになりまして、若手のモノづくりを支援するという位置づけで…

宇都宮:それはCartivatorに入れていただけるっていう?

中村:その受け皿として一般社団法人というのを構えて、しっかり法人で受けられるようにもしました。

三木:この反響はいかがでしたか?

中村:これはもうすごくて、メンバーがこれによって160人ぐらい応募いただいたり、メディアも200社ぐらい取り上げていただいて。

中村:海外からも問い合わせいただいたり、アメリカの航空学会や空飛ぶクルマ関連のワークショップでも名前を知ってもらっていたりしたので、これの効果はすごく大きかったなと思います。

三木:それだけ今何かモヤモヤしている若手のエンジニアがいっぱいいるということですか?

中村:そうですね。これを見て入ってくださる方は、「こういうことを日本でもやってるんだ」とか、「企業に勤めながらでもできるところが意外で勇気をもらった」、というコメントをいただいたりして、「じゃあ入ってください」みたいなので入ってもらったり。

宇都宮:平日の夜とか土日とか有休とかありますからね。

中村:そうですね。別に「毎週必ず来てください」ではなくて、来れるタイミングとか関われる関わり方でやっていただいてるので。

宇都宮:情報共有はITツールがあるからいつでもアクセスできるし。

三木:参加されたい方はホームページか何かで?

中村:そうですね。ホームページでメンバー募集のフォーム(http://cartivator.com/contact)もありますし、月に1回説明会もやってますのでそこに来ていただいて。

宇都宮:東京と豊田市以外の方はアクセスしづらい?

中村:基本的にはオンラインになるんですが、静岡に一部メンバーがチームとしています。拠点を作ろうとすると何人か集まってないといけなくて、一人ではどうしても拠点にならないので、何人か仲間がという方がいらっしゃれば、ボンボン作っていけると思います。

宇都宮:ぜひ町工場とか応援していただければ。

中村:そうですね。

三木:そういうモノづくりの支援をしたい場合はどうすればいいんですか?

中村:まさにこれから今そういう面でのスポンサーを募集していて、9月までに先ほどの1分の1機の2号機を作るんです。それはまだ無人機なんですが9月中旬までに設計FIXさせて、それから春に向けてガーッと作っていこうと。

宇都宮:実機を作るには当然プロトタイピングが。

中村:そうなんです。そこで我々いくらお金をいただいたとはいえまだまだ足りなくて、そういうところで加工のお手伝いをいただいたりとか、材料提供とか部品提供とかいただけたらすごくありがたいなと思っています。

三木:zenschoolで今100社卒業生がおります。様々な技術を持っている製造業さんなので、もしご興味があるあなたはこちらへ。

中村:ぜひよろしくお願いします。

宇都宮:たぶん福澤さんが元購買なので、色々調達していただけると思います。

中村:彼がまさにスポンサー募集の窓口になってるので、福澤とつながっていれば一番早いですし、ホームページからという形でも。モノに関してはもう今1分の1機があるのでこれを使いながら実験を進めてというのを考えてます。直近の困りごとでまだまだエンジニアの方を募集していて、例えば機体設計が出来る方とか、ドローンの制御に詳しい方とか、鳥人間をやられてた方とかすごく募集しています。あと実際飛ぶとなると航空法をしっかりやらなきゃいけなくて、最近航空機開発の会社の方からスポンサードいただいて、年間1,200時間社員の方のお時間をいただけることになったんです。

三木:年間1,200時間はすごいですね。

中村:それで航空法の調査とか国交省との交渉をやろうとしていて、まだまだ必要だなというところです。あとは広報関係で言うと、色んなメディアの方へのアピールとか、オリンピックに向けてオリンピックの関係者への渉外とかも必要ですし、先ほどの動画のようにクリエイティブのほうも作っていきたいと思いますので、そういった面でご協力いただけたらすごくうれしいです。

宇都宮:メディア自身がスポンサーとして関わっていただくといいですよね。

中村:そうですね。ずっと追ってくださってるメディアの方とかもいらっしゃって、そういう方はほぼスポンサーみたいな形で応援していただいてます。もしご興味があれば活動説明会をやってますのでホームページから申し込みをしてください。

三木:この話を聞いて思い出したのが、HAKUTOというプロジェクトをやっている袴田さんという方もMMSの初期2012年1月(https://www.youtube.com/watch?v=3666XtUUl-o)にご出演いただいて、我々と知り合った時は「お金いくらいるんですか?」「数百万円貯金があります」と、「ロケット飛ばすのにいくらかかるんですか?」「50~70億です」みたいなところだったのが、今では色んなスポンサーがついて、実際Googleのある程度のステージにも上がっているということで、段々本格的になっていると。

中村:私もサポーターに入ってます。今年末には飛ばしますよね。

三木:そうですね。彼も最初は夢でしかなかったんですが言い続けることで仲間が集まってきて、言い続けることがすごい重要だなと思っていて、中村さんの熱く色んな所で言い続けてきた結果が徐々に形になって。

宇都宮:でも自信がなくなる時もあるじゃないですか。

中村:そうですね。現実に近づくと色んな課題とか出てきますけど、そこでやめるんだったら本当にやりたいことではないと思うんです。本当にやりたいんだったら、それをどう乗り越えるかを。

宇都宮:言い聞かせてるところもあるんですかね。

中村:そうですね。たぶん言ってるともうできるような感覚とか、やらなきゃいけない感覚になってくるので。

宇都宮:奇跡が起きるとそういうのが循環してくれるじゃないですか。

中村:そうです。先ほどのトヨタグループからのご支援とかほぼ奇跡で、この有志団体というわけの分からないところにお金をつけてもらえて、みんなモチベーションや責任感みたいなのが全然変わってきますし。

三木:奇跡の話をもうちょっと聞きたいんですが、そのご支援以外にこんな奇跡があったみたいな…

中村:メンバーの加入も、すごくプロフェッショナルなスキルを持ってる人が入ってくれて、まさに日本の旅客機の設計をされてる人で、航空法の交渉でやってる人が入ってくれたりとか、有名広告代理店でプロモーションをやられてる方が、我々の広報戦略を今作ろうしてくださったりとか。

宇都宮:クオリティが高いですもんね。

中村:そういう人の面というのが一番奇跡が起きる時にびっくりするところです。

三木:そういう優秀な方が増えれば増えるほど逆に自分も責任が発生するというか…

中村:やれることが増えるもしくはレベルが上がるというのはすごくうれしいですし、同時にその人たちに、十分に発揮してもらえるだけの、環境やビジョンもしっかり作っていかないといけないなと思うようになりました。

三木:自分の心とどうやって対峙しているのかなと。毎朝瞑想してるとか?

中村:常に携帯に自分の夢というか先ほどのミッション、“子供たちに夢を”というのを書いてるんですけど、それを毎朝起きたらパッと見て、「自分は本当にこれをやりたいか」みたいなところをやりますし、こういうプレゼンテーションの機会のたびに、考えを整理して色んなインプットをさらにブラッシュアップさせる中で、どんどんアップデートしていくという感じです。

三木:なるほど。このプロジェクトを始められて、新しいご家族ができたりとか色々流れがあったと思うんですが、ご家族の方の反応はどんな感じですか?

中村:基本的に「自由に勝手にやって」というスタンスで応援してもらっていて、特にうちの妻とかは元々、「やりたいことをやりなさい」と言ってもらってるので、すごくあれなんですけど、例えば親ってどうしても心配するというか、「そもそも空飛ぶクルマって何だよ」という話もあり、「会社の仕事もあるのにどうなの?」みたいなのがあるんですが、例えばメディアに取り上げていただくと、社会的に認知してもらってるというのが、一つの安心材料になって、今は逆に親戚含めてかなり応援してもらっています。zenmonoさんのクラウドファンディングの時も、家族に応援してもらったんですが、そういう対外的な力というか協力を、上手く活用することで味方が増えていくというのをすごく感じています。

三木:なるほど。周囲の方のサポートも重要ですよね。

中村:そうですね。

 

●中村さんの考える「日本のモノづくりの未来」に対する想いについて

三木:日本のモノづくりの将来ということで中村さんに何か考えてらっしゃることがあれば大上段に…

宇都宮:大上段にぶった切る感じで(笑)。

中村:私の今の感覚で言いますと、日本というところに、こだわり過ぎないほうがいいのかなと思っています。特にこの空飛ぶクルマの分野に関しては、まだ日本では顕在化していませんが、一方でアメリカ、中国、ヨーロッパとか世界ではかなり行われていて、「その都市でどうやって入れていくか」みたいな話をしている中で、「じゃあ日本でまずやろう」みたいなところから始めちゃうと、「本当にそこニーズあるの?」とか「日本で全部やらないといけないのか?」とかもあるので、世界とのパートナーシップを前提に、日本がどういう役割を果たしていくべきかと考えたほうがいいのかなと。例えば日本のバッテリーの技術とか、モーターの技術とか、そういう固有の技術ですごく強いものがありますし、そういったところで海外の人たちと、うまく長所を生かし合って、短所を補えるような枠組みで貢献し合うのがいいかなと思っています。

宇都宮:海外でも拠点を持ってとか

中村:そうですね。ビジネスとかやっていこうとするとまずは海外だと思っているので、そういう捉え方をしています。

三木:そういうお考えの時に、今度日本の強みというのはどの辺にあると思いますか?

中村:例えば部品だったりユニットを磨き上げるというところはすごく強くて、一方で海外の特にアメリカは概念とかルールとかそういう枠組み作りみたいなのがすごく上手くて、そこでうまく組んでいけるといいんだろうなと思います。

三木:実際に今コミュニケーションをしている海外のパートナーはあるんですか?

中村:ありますね。国の機関の元研究者も含めて、先ほどのワークショップに関わってる人とかも話はしていて、どれだけ海外が進んでいるかというのを肌で感じているので、そういう意味で今のタイミングでは、日本だけにこだわるよりパートナーとしてやったほうがいいと思っています。

三木:ご自身の中ではこのプロジェクトは世界的にどういう位置にあると思いますか?

中村:我々はまだ遅れているので、先ほどの日本の強みというのを上手く海外の人たちにPRできるように、日本でまず横でつながって世界に魅せられるような、仲間づくりをしたいなと思っています。これはあくまで時間外でやってるので、規模自体は小さいんですけど、その奥につながって総体として、大きなパートナーとして見てもらえるようにできたらなと思っています。

三木:ということで、この動画を見ているあなた!あなたが主役です!!あなたが主役になって、日本の強みを生かしながら世界とつながって、世界をぜひ一緒に変えていきましょう。本日はCartivatorの中村さんにお越しいただきました。どうもありがとうございました。

中村:ありがとうございました。


中村翼さん
https://www.facebook.com/tsubasa.nakamura.374

WEBSITE
http://cartivator.com/

前回ご出演(2015/1/5)
https://zenmono.jp/story/179

 

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