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第132回MMS放送 「マインドフルネスに基づくリーダーシップ開発、人材開発手法を企業、組織に提供する」中編 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート 代表理事 荻野淳也さん

前編からの続きです。

 https://zenmono.jp/story/287

●MiLI起ちあげに至るまでの経緯
enmono三木    そのヨガスタジオを経て今のマインドフルリーダーシップインスティテュートを起ちあげるまでの経緯はどんな感じだったんでしょうか?

荻野    ヨガスタジオに転職をし、私はマネージメントとかスタジオの責任者とかをやっていて、併せてヨガと瞑想と人材研修プログラムを組み合わせて。

三木    ヨガスタジオの時代からそういうことを……。

荻野    やってたんです。ストレス軽減、メタボ対策という形で法人の人事部とか健康保険組合とかにヨガや瞑想のプログラムを売り込んでいたんですね。外資系の企業や金融機関、何社も採用されていました。で、「これはやっぱり大事だな」と。特に私はコンサル出身だったので、法人向けというところはどんどんやっていきたいなと思ったんですけども、自分が思った以上に広がっていかないなと。絶対これは自分自身の直感として大事なのにあんまり広がっていかないなと。

三木    それは何年くらいの話ですか?

荻野    2006年~2007年ですね。

三木    かなり前ですね。こういうマインドフルネスとかが言われる前の話ですね。

荻野    そうですね。

enmono宇都宮    リーマンショックの前ですよね。まだ上り調子の。

荻野    イケイケな感じで。

三木    その広まっていかない理由は……。

荻野    ひとつはやっぱりまだまだ法人の年配の方でいうと、ヨガとか瞑想っていうのはちょっと怪しいんじゃないかというイメージがあったのでは、と思います。

三木    オウム事件とかもありましたしね。

荻野    それはとても大きくて、理由の一つだったのかなと思います。あとはロジックですね。科学的な検証とかロジックが必要だなと。実際にお医者さんと組んでヨガと瞑想による変化のビフォーアフターをとって、どういう風にストレスが軽減されるかエビデンスを取るということをやっています。
荻野    直感的にわかってくれる経営者や事業部長はいるんですが、なかなか広がっていかないなと。そうこうする内に自分自身でやりたいことが明確になっていたので、2008年に独立起業しました。

荻野    今までやっていた組織作り、人材育成、理念経営のコンサルティングを始めていって、その中で以前の会社の友人と一緒にヨガのインストラクターを派遣する事業も実はその会社と自分の会社でやっていたんです。まぁ今もやっているんですけど。

三木    それが今のマインドフルリーダーシップインスティテュートの?

荻野    その前の私個人の会社でライフスタイルプロデュースというコンサルティング会社を、まぁ今もやってるんですけど、そこでヨガ事業/瞑想事業をやってたんですね。禅のお坊さんと組んで禅のワークショップを企業向けにやったりとか。そういう活動をしていたら色んな情報が逆に集まってきて、ジョブズがAppleを作って根底には学生時代に禅を学んでいたということも色々見聞きをして、色んな人に僕は禅とマネージメントを融合するんだということを言っていたんです。

三木    素晴らしいですね。我々が気づく遙か前の。

荻野    2009年くらいの時にNLPというメソッドを西海岸に受けに行った時の話です。世界中から色んな人が集まっていて、みんな禅とか合気道に興味があるんですね。もしくは結構実践をしていたり。

三木    日本人だから「禅とはなんですか?」って聞かれるんじゃないですか?

荻野    そうなんです。聞かれて「こういうものなんだ」という話をすることも。そういうことがあって、禅の中にマネージメントのヒントがあると言っていたところ、以前からの友人で、今の我々のパートナーである木蔵君子――彼女は西海岸に住んでるんですけども――。

三木    こちらの方ですね。
※本を提示。『世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方 ハーバード、Google、Facebookが取りくむマインドフルネス入門』

荻野    それはマインドフルリーダーシップインスティテュート「MiLI」で去年出した本なんですけど、3人(荻野淳也/木蔵シャフェ君子/吉田典生)の共著になっています。僕らがまだMiLIを作る前ですね。禅とマネージメントを組み合わせてエグゼクティブコーチングとかをしている禅の坊さん兼コンサルタントのアメリカ人がいると彼女が教えてくれたんです。本も出してそこそこベストセラーにもなっている。その本が『ZBA』という。MBAをもじって、Zen of Business Administration。その本を書いていたのが、このマーク・レサーさんです。

荻野    ああ、そうなんですか。

荻野    『Search Inside Yourself Leadership Institute』このプログラムを広めている組織の今のCEOがマークさん。この方は曹洞宗の禅のお坊さんでもあり、エグゼクティブコーチもして、自分で起業もして成功した人なんですね。今はそれも手放して、その当時で言うとGoogleでマインドフルネスを教えていたということで。

三木    じゃあこちらの方(『Search Inside Yourself Leadership Institute』の主著者Chade-Meng Tan)の師匠さんという形ですかね。

荻野    メンさん(Chade-Meng Tan)のパートナーですね。彼がファウンダーで、マークさんがCEOということで。この中にも出てきますね。マークさんが。

三木    そういう歴史を聴けて、今日は色々楽しいですね。その辺はどうなってるんだろうと思っていたので。

荻野    僕らはマークさんの本『ZBA』を日本で訳そうと思ったんです。そういうやり取りを半年くらいして、僕的には時機が熟したと思ったので、本とマークさんが持っているプログラムを日本でやらせてくれと直談判するためにアメリカに渡ったんです。
荻野    サンフランシスコ禅センターを開いた鈴木俊隆(しゅんりゅう)老師がカリフォルニアの山(サンフランシスコの南東。車で2時間半ほど。約140マイル)に開いた、そこも禅センターであり、お寺というか修道所なんですけど、そこで(マークさんが)ワークショップしてますというので会いに行ったんです。


荻野    そしたら「僕の本を出してくれるのはすごく嬉しいんだけども、最近僕は『Search Inside Yourself Leadership Institute』のCEOに就任したんだ。自分はこのSIYLI(シリー)の活動を100%コミットして広げていきたいと思っているので、こっちもやっていきたいんだ」と。むしろそっちの方が日本的にはいいんですけどと(笑)。

三木    渡りに船だと。

荻野    もちろんマークさんの本も出したいと思ってます。でもこの本(『Search Inside Yourself』)とかコンテンツも我々はやりたいと実は思っていたんですということを色んな話をしながらお伝えをして。

三木    それは何年くらい?

荻野    2013年5月です。で、マークさんはほかのボードメンバーもいるから、日本でやるかどうかはちょっと相談するけど、僕としてはもちろんウェルカムだよと言ってくれたので、じゃあ来年の秋の日程をくださいと日程をもらって、この『Search Inside Yourself』のオープンコースを日本でやるということをその場で確約をしてもらって、帰ってくる道すがら「じゃあ、もう組織を作ろう」と。

三木    そこから始まったわけですね。

荻野    もう一人僕の友人で誰か考えてみます。そんなことをしゃべりながら車で帰っていって、そんなやり取りをしながら飛行機に乗って成田について。そしたら僕の友人でエグゼクティブコーチングの仲間である、この吉田典生からFacebookのイベントのメッセージが来て、「『Search Inside Yourself』という本があります。この本を使ってワークショップをするので、ちょっと仲間内だけでやりませんか?」と来たんです。

宇都宮    偶然ですか?(笑)

荻野    なんだこの偶然は、と。

三木    偶然ではない、必然です。

●受け入れられるか不安があった
荻野    吉田はエグゼクティブコーチングを日本に持ってきた立役者でもあるんですけど、一緒になにかやりたいなと以前から思っていたので、もう彼しかいないということで、その1ヶ月後か2ヶ月後くらいですかね。私と木蔵と吉田の3人でやってこうと。

三木    会社ではなくて社団法人という形なんですね?

荻野    正直なところなにも考えてなかったんです。

三木    社団法人だからなのか公益性のある感じがします。

荻野    あ、それは確かにあって、真面目な話をすると、大本のSIYLIはNPOなんです。

三木    そうなんですね。

荻野    NPOとして公益的な活動として広めていこうというのが趣旨としてあるわけですね。なので我々も最初はSIYLI JAPANを作ろうと勝手に思いこんでいて、であればそういう先を考えたらNPOなのか……でもNPOって日本で取るとやっぱり1年近くかかってくるので、手っ取り早く資本金も必要ない社団法人で作ろうかと。
荻野    社団法人であれば公益性っていうのも出せるのではないかという話で社団法人で作ったということです。で、2013年9月に第1回マインドフルリーダーシップセミナー、ワークショップをさせていただいて、たまたま知り合いがパソナに勤めていたので、パソナの新丸の内ビル12階を貸していただいて、告知をしたら90人くらい集まって。

三木    すごいですね。90人も。

荻野    僕たちもびっくりしました。新丸ビル、インテリジェントビルですよね。お借りしたんですけど結構私個人としては内心少しビビっていたところもあって。

三木    その時にはもうコーチというかSIYの認定はされて……。

荻野    まだですね。とはいえ、マークさんを呼んで『Search Inside Yourself』のパブリックプログラムをやるという方向性は決まってます。我々としても、これだけではなくて我々独自のプログラムを開発をしてやっていこうということで第1回のマインドフルリーダーシップセミナーをやることになりました。
荻野    ビビっていたというのはなにかというと、やっぱりまだどこかでビジネスにおける瞑想の導入ということに対して自分自身引っかかっていたというかですね、確信はあるんですけど、なんか言われたらどうしようというか言われるんじゃないかという恐怖心ですね。

三木    わかります。

宇都宮    初めてですもんね。

荻野    「変なことをやり始めたぞあいつは」とか「宗教とかそっちの世界に行っちゃったんじゃないか」とか、そういう批判もあるんじゃないかなというのがどこかにあって。MiLIを起ちあげる時に、それも絶対あるだろう、セミナーをやる時もあるだろうということは思いつつ、ちょっとビビっていました。
荻野    でも、それ以上にもうやんなきゃいけないという思いが勝(まさ)ったからできたんじゃないかなと思います。蓋を開けてみたら90人も集まってくれて。

三木    受けられた方の反響というか反応はどうでしたか?

荻野    「こういうことを起ちあげてくれてありがとう」「やってみてすっきりした」「こういうものを取り入れるのは画期的ですね」といった反応やご意見をいただきました。

宇都宮    それは講演だったんですか?

荻野    ワークショップですね。講義とワーク(実践)と。

宇都宮    瞑想してみましょう、みたいな。

荻野    そうですね。

●enmonoが模索してきたメソッド
三木    我々もzenschoolというのをやっているんですけど、最初はzenschoolという名前ではなかったんです。マイクロモノづくり経営革新講座というちょっと堅い名前で。その講座の中で、あまりにも経営者の頭がフィックスしちゃってアイデアが出てこなかったので、リラックスさせる意味で私が趣味でやっている座禅の瞑想法をちょっとやってみました。
三木    すると、割と皆さん頭が柔軟になって、表情も明るくなって、いいアイデアが出るようになりました。「あ、もしかしたらこれ、そういう風に使えるかもしれない」という感じで何回かやっている内に瞑想も入れているし、名前もちょっと変えてみようかということで、zenschoolとなりました。

荻野    とてもいいと思います。

宇都宮    趣味というか三木さんが自己流で座禅を。三木さんは色々あって禅を始めたので。

三木    前の会社をリストラされたんです。起業の前ですね、かなり会社の売上を一人で作っている感じで、鼻がこんなに(天狗に)なっちゃってたんで、「もうあなた辞めなさい」みたいな感じでリストラされちゃったんですけど、その時にまず最初に襲ってきたのはお金の心配でして。

荻野    そうですね。

三木    給料は出ないし、家のローンどうしようとか、家族になんと言えばいいのか。そういう恐怖が襲ってきたんです。その時に一所懸命Googleで心の落ち着く方法を検索したら、誰かの座禅のティーチングの動画があがってきて、それを見て自分でやっている内に段々気持ちが楽になってきて、それを起業の時からずっとやっていたんです。
三木    それは今も毎朝続けてるんですけど、どっちかというと恐怖を取り除く方向に座禅をしていたのを、毎朝自分でやっているとポンとアイデアが浮かぶ時があって、手元にメモを置いてそれを書き連ねていく内に意外と発想法にも使えるかもしれないということで。

宇都宮    zenmonoってクラウドファンディングも三木さんが座禅中にポンと。

三木    そうですね。瞑想とか座禅をしていると、前日一日動いていた情報が頭の中で整理されるんですよね。あの時この人が言った、こういう人と会った、毎朝やっていると前の日の情報が整理されてきて、それがクリアに見える状態になった時に結合して新しいアイデアになって。
三木    それが同じように日々お金の心配をしている、資金繰りの心配をしている経営者も多分同じような雑念がいっぱいあって、それが混乱しているから、クリエイティブの方に発想が向かない。でも座禅とか瞑想をしていただいて、僕らのアプローチは「10歳の夏休みにどういう思いをしていましたか?」ということちょっと思い出してください。
三木    そこから抽出したカブトムシ採りとか、秘密基地を作るとか、川で遊んだみたいなキーワードを抽出して、それを自社の――例えば金属のバネを作る技術と結びつけることで自分がワクワクするモノづくりに繋げるっていう。

荻野    へぇぇ……おんなじこと私もやってます。

三木    あ、そうなんですか!?(笑)

荻野    それはモノづくりではないですけども、自分自身の価値観発見の枠として7歳から10歳までのことを思い出して、そういうキーワードを出しましょうということで。

三木    おお~。

宇都宮    やっていく中で僕らも気づいたんですけど、「こんなこと言っちゃいけないんじゃないか?」っていう恐怖感をなくすことが結構重要なんじゃないかと。そういう関係性ができると、なんでも言えるようになる。アイデアないって言っていた人が、逆にすごい企画を持ってたりとか。企画得意っていう人の方が逆につまんないというか、表層的なんだということに気づいて。

三木    よかったなと思うのは、そういうことを実践として講座でやっていく前は、全然こっちの方(マインドフルネス等)の本は読まなかったんですね。まったくわからなくてとにかく自分たちの講座をよくしようとやっていて、その形ができた後に初めてこういうのがあるんだと知って、読んだらすごく近い感覚のことをやっていると思って、最初にこちらの方に引っ張られなかったから、自分たちのポジションが取りやすかったのかなと。

荻野    いいですね。

三木    でも多分向かっているゴールはみんな同じで、いろんな山の登る角度(ルート)が違っているだけだと思うので。

宇都宮    ここ最近は前野先生(慶應義塾大学 前野隆司教授)と知り合ったこともあって、幸福度と創造性というものを関連づけてやっています。

三木    特に我々の講座に入ってくる方は中小製造業で、モノを作るとすごいフロー状態に入る、結構楽しい作業なんですね。そういったモノづくりと心の関係、モノを作ることとマインドフルを組み合わせていくと、また新しい世界が見えてくるんじゃないかということで、仮説としては楽しい環境でモノを作っていくと、どんどんクリエイティビティが上がってきて、相乗効果で常にイノベイティブなモノが生み出せるんじゃないかということで。
三木    今、我々と前野先生の研究室で共同研究しているのは、瞑想とかを通じて幸福度が上がると、よりクリエイティビティが上がる。それを今、データで可視化しようとしています。まだサンプルは少ないですけど、結構データとしては整合性があるようなデータが採れてきています。

宇都宮    モノづくりってハードウェアだけじゃなくて、ビジネスもそうでしょうし。感覚的には僕らも元から持っていたんじゃないかと思うんです。もっと楽しくすればアイデアがもっと出やすくなるよねと、感覚的には持ってたのが、もう少しエビデンスをとって。

三木    人間の直感というものをデータやロジックではなく直感を信じるということが、宇都宮さんはモノづくりの現場に18年以上いて、大量生産のモノづくりでラインを見て行く仕事だったんですね。工場に入った瞬間にこの辺おかしいなという直感が働くことがよくあると。よくよく調べてみるとやっぱりおかしいところがそこにあるといったことがあって。

宇都宮    「現場行け」ってよくいうんですけど。

荻野    結構それは工場長い人がよくおっしゃる話ですよね。やっぱり入って、なんとなく違和感があったりするという。

宇都宮    直感ってどこから来ているのかというのは、長年の経験もあるんでしょうけど

三木    多分会社でも同じで、オフィスの中へ入っていった瞬間に「なんかこの会社、違和感あるかも」みたいな。

宇都宮    コンサル的なコーチングしているとあるじゃないですか。「あ、この会社は……」という。

荻野    明らかにあります。

宇都宮    ここがヤバイよね、と直感で響くじゃないですか。

荻野    それはありますね。受付だけじゃなくて、オフィスの執務室を見せてもらったりとか。

宇都宮    オーラが出てますよね。

荻野    具体的なのはトイレですね。

宇都宮    見るポイントは一緒ですよね。業界違いなだけで。

三木    ヨガとか瞑想をしているとその辺の嗅覚が鋭くなりますよね。

後編へ続きます。 https://zenmono.jp/story/289



▼荻野淳也さん
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▼website
http://mindful-leadership.jp/

 

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