NEW「幸福学×イノベーション」トークイベント~『トゥルー・イノベーション』6/13刊行 幸福学の前野教授等を迎え、出版記念イベントも6/8開催~

第132回MMS放送 「マインドフルネスに基づくリーダーシップ開発、人材開発手法を企業、組織に提供する」前編 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート 代表理事 荻野淳也さん

●enmonoとの出会い
enmono三木    はい、第132回マイクロモノづくりストリーミング、本日も始まりました。司会は株式会社enmono三木でございます。本日はマインドフルリーダーシップインスティテュートにお邪魔して、荻野さんに色々とお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

荻野    はい、お願いします。

三木    あといつもの声の出演で――。

enmono宇都宮    宇都宮です。よろしくお願いします。

三木    我々と荻野さんとの最初の出会いは鎌倉の宍戸さんの家で開かれたピザパーティでしたね。

荻野    本当はその前に鎌倉でトレランをしようということで、その最後にピザパーティをしようとしたんですね。前日に台風だか大雨だかが降って、トレランの方は中止になって……。

三木    そこにマインドフルネスを実践されている方が何名か集って、宍戸さんからも「荻野さんは禅に興味を持っているのでぜひ会った方がいいですよ」と伺いまして。

宇都宮    共通の知人・友人が多いんですね。前野さんとか清水さんとか。

荻野    僕は一番はじめ、清水さんか、それか前野先生から紹介してもらったんですね。Facebook上で。

三木    僕は僕なりに鎌倉を中心に中小企業の中で色々と塾みたいなことをやっていて、前野先生のところへお話に行ったら、「荻野さんという方がいらっしゃる」と聞いてはいたんですが、初めてお会いした時も今も非常に柔らかい印象の方で。
三木    荻野さんの会社の監修で刊行された『Search Inside Yourself』、こちらの売上が非常に好調だそうですね。

荻野    今現在で2万部を超えたとのことです。

三木    こういう関連の本でそれだけ出るというのは、最近ではなかなかないんじゃないかと思うんですが。

荻野    組織開発やリーダーシップの本で定評のある英治出版さんが出してくれているんですけど、今年一番のベストセラーだと言っていただいてます。

三木    おお、素晴らしい。私も1年くらい前に原書で読んだんですけど、非常にわかりやすい英語で、あまり英語が得意でない私でもすらすら読めました。

荻野    アメリカでは2012年に出されて、ベストセラーになりました。マインドフルネスがビジネスの世界で広まっていったきっかけになった本だと思っています。

三木    荻野さんがメディテーションやマインドフルネスに初めて気がつかれた経緯を簡単にお話いただければと思います。

荻野    経緯としては10数年前に遡るんですけど。

三木    はい。

荻野    私のキャリアを簡単にご説明させてもらうと、10数年前に外資系のコンサルティング会社で会計のコンサルティングとか組織作りとか戦略推進のコンサルティングとかをしていました。その後、2003年~2004年くらいに未上場の会社に転職をして、上場の担当者/リーダーとしてやってくれということで転職をして、1年くらいで上場したんですね。その会社は創業から3年以内に上場したということですごい注目を浴びたんです。

三木    相当な仕事量があったんじゃないですか? 殺人的というか。

荻野    仰るとおりです。上場した後も私は経営企画室長ということでIRとかPRとか、それからなぜか社内の研修とか。あとIT部門ですね。サーバどうするのとか、システムどう作るのとか。あとはその会社はコンサルティングみたいなこともやっていたので――コンサルティング部は別にあったんですけど――そのメンバーができない案件が僕のところへ降ってくると……なにからなにまでやってたんです。

三木    総務部長……というか総務担当としてもやるというか。

荻野    もうそんな感じですね。なんでもかんでもやっていました。数字も稼ぎ、社内の内部監査をし、内部体制を作り、外部に対する情報を発信する。

三木    家に帰れなかったんじゃないですか?

荻野    上場する前もした後も、入社してから1年はほぼ休んでないですね。土日も出勤してなにかをしていました。上場した後も四半期開示というものがありますから、どんどん忙しくなるわけです。当時でいうと1日18時間~20時間働いたと思います。

三木    寝てる時間が4時間しかない。

荻野    そうですね。始発で出社して、終電で帰る。もしくは終電を逃し、始発で帰ってシャワー浴びて戻ってくる。

三木    身体壊しますよね。

荻野    上場するまでは大きな目標があって、社員一丸となってそれに向けてなんとかやってやろうという感じだったので、やっぱりモチベーション続くんですね。大きな目標を達成した後に、まさに燃え尽きな状態になってしまって。
荻野    とはいえマネージメントメンバーの一人として、社内を鼓舞しないといけない。次はこういう風に、外部にはこういう計画でこうやっていきますよと話をしてる張本人だったりするわけです。その計画をドライブするために、自分自身がモチベーションを高めなきゃいけない。こうならなきゃいけないという風に自分をどんどん追いこんでいって……でもモチベーションが上がってこない。

三木    やらなきゃいけないタスクと、自分の内側の冷える感じが逆回転なんですね。

荻野    心も身体も疲弊していきました。その会社は毎日朝礼があってなにか発表をしなければいけないんですけど、ある日自分の担当の時に、疲れなのか自信がなくなってきたのかよくわかんないんですけど、言葉が出なくなってしまったんです。何度も何度も吃(ども)って、言葉が出なくなってしまった。
荻野    社員からは「荻野さんどうしたんですか?」と。多分それはその時点でお医者さん行ったら、「あなた鬱状態だから明日から出社しちゃダメです」と言われるような状態だったんです。そういうのもわかっていたので、敢えて医者に行かず仕事を続けました。

三木    どのくらい続けられたんですか?

荻野    多分半年~1年続けたんでしょうね。

●追いこまれていた頃に体験した初めてのマインドフルネス
荻野    ちょうどロハスというのが流行っていた時期だったんですけど、その時期に外部の友人から週末農業に誘ってもらったり、その友人のやっていたロハスクラブネットワークに参加させてもらったり。
荻野    それがきっかけで、週末にあるヨガスタジオでヨガと瞑想の会があるから行ってみようよと誘ってくれたんですね。若い女性の間で流行っているらしいので、そういう人がいっぱいいるかもしれないという下心もあり、行ってみようかと。で、午前中仕事をして、午後そのスタジオに行ったんです。
荻野    それが90分のクラスで前半の60分がいわゆるヨガのマーサナという運動ですね。残り30分ちょっと長めに瞑想の時間があったんですね。人生で初めてヨガと瞑想をしたんですけど、90分のクラスが終わったあとに、僕は衝撃的な体験をしたんですよ。

三木    どのような?

荻野    多分それが今で言うマインドフルネスの状態を味わったということだったんです。頭とか心がクリアになって、なんかスッキリしちゃったんですよね。

三木    スッキリしちゃった(笑)。

荻野    パーって晴れて。鎌倉の、雲一つない快晴の朝みたいな、そんな晴れやかな感じになって、逆にびっくりしたんですよ。「この状態はなんだ!?」と。今までずっとハードワークしていて、身体は疲弊しきっていますので、頭の中もスッキリした状態を味わって、相対的に今までどれくらい自分が頭の中で思考していたのか、どうでもいい感情とかに詰まってたのかということに気づかされたんです。

宇都宮    それまでは気づいていなかったということですか?

荻野    気づいていなかった。なぜならば、そういうなにもしない時間をとるとか瞑想するとかヨガをするとかって今までなかったので、ここまではっきりクリアな状態ってなかったんです。その時も会社のビルの地下にジムがあったのでそこで通って走ったりとかフルマラソンをやったりしていてスッキリ感はあったので、もしかしたら近いような状態はあったのかもしれないですけど。そこまでクリアな状態を味わったのは初めてだったんですよね。

宇都宮    クリアというのはどういうイメージでしょうか? 脳が晴れるということですか? それとも視界が広がる?

荻野    心も身体もすっきりするっていう状態ですね。我々がよくマインドフルネスの状態を説明する時に、スノードームを出して説明するんですけど、出してもいいですか?

三木    どうぞどうぞ。

荻野    こういう風に置いておくとスノードームの中が晴れてきますよね。でも、こうなるとどうでしょうか?(ドームを振る) もうなにが中にいるのかよくわからない状態ですね。これがマインドフルネスの対極にある状態。多くのビジネスパーソンがそういう状態にあるのではないかと思います。

三木    雑念だらけの。

荻野    雑念だらけで、色んな感情、怒りとか悲しみとか緊張感とかに溢れている状態。「あれやらなきゃ、これやらなきゃ」とタスクに追われている。メールが来て「このメールも返さなきゃ」こんな状態ですよね。

宇都宮    第三者は結構気づいているじゃないですか。その人がそうだよねということに。その人自身の自覚が……このギャップを埋めるっていうのが……。

荻野    多くの方々がそういう状態で仕事をし続けているっていうことじゃないかなぁということですね。

宇都宮    言葉で言われてもなかなか伝わらなかったり。

荻野    でもこれは本当に体感的なもので、思考の部分ではないということです。

宇都宮    ご友人が誘ってくれて荻野さんも行く気になったというのは、なにかあったんですか?

荻野    なんかあったんでしょうねぇ。

宇都宮    忙しくて行かないという選択肢もあるじゃないですか。

荻野    若い女性がいっぱい集まっているっていう。

宇都宮    それが重要なんですか?(笑)

荻野    重要だと思いますね。

宇都宮    ついそっちで行ったら実はもっと深いものがあった。

荻野    そうですね。で、そういう体験をしたので「なんだろうこれは」と。でも、これをちゃんと定期的に毎週でもやってれば、もっとパフォーマンス出せるなと思ったんですよ。

宇都宮    そっち(笑)。

荻野    そっちなんですよ(笑)。もう20時間働いてるのに、もっとパフォーマンス出せるかもと。精度もあがるだろうし、クリエイティビティも上がるだろうし、疲れもちゃんとマネージメントできると。まだ働くのかって感じですけど、その当時は本当に頭おかしかったので

宇都宮    10数年前はそういう……。

荻野    10数年前はですね。でも、パフォーマンスもあがっていくなと思うし、自分のリーダーシップ――部下がどんな状態なのか、どういうヴィジョンを発信しないといけないのか――ということも頭がクリアな状態だからこそ出せるわけですね。パフォーマンス/リーダーシップに必要だという直感があったので、「これ広めていかなきゃ」と思ったんですね。で、実はその後、私はそのヨガスタジオに転職してしまうんです。

宇都宮    (笑)。ヨガスタジオの方へ?

三木    すごい飛躍ですね。上場企業の部長から。

荻野    たまたまですね、そのサークルの中にヨガスタジオの社長も入っていて、いろいろ仲良くなって、当時その会社も上場というか成長を目指していきたいということで、もしそういう経験があるんだったら来てくれないかとヘッドハントされたわけですね。あとは真面目な話で僕はヨガを男性とかリーダー層に伝えていきたいという思いがあったので、そういったこともできるのかなと思って移ったということです。

三木    私ちょっとヨガを経験したのですが、通常の瞑想とヨガをやっている時の気持ちの変化みたいなものはなにかありますか? 肉体感覚のようなものがヨガにはありますか?

荻野    結局これはマインドフルネスの中でも言っている話ですけど、セルフアウェアネス、自己認識を高めているということでいうと、その中に自分の感情をよく知っていくということもあるんですけど、感情と身体感覚って密接に繋がっているわけですね。

三木    そうですね。

荻野    胃がムカムカするとか胸がムカムカするとかいう言葉があります通り感情が湧いてきている時っていうのは身体反応があるんです。その身体の感覚を研ぎ澄ましていくとか、身体に対する自己認識力を上げていくにはヨガのポーズは有効な手段だと思います。

三木    ヴィパッサナー、ボディ・スキャン瞑想の感覚に近いですね。

荻野    そうですね。ボディ・スキャンもそうですし。あとはご存じかもしれませんけど、ヨガのアーサナというポーズの話ですね。これは漢字で書くと坐法って書くんです。いわゆる日本人が認識しているヨガは、瞑想するための準備運動ってことなんですね。なのでそこも繋がってくるという話だと思います。

中編へ続きます。

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▼荻野淳也さん
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▼website
http://mindful-leadership.jp/

 

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