NEWガイアの夜明けで紹介された、クラウドファンディングを活用して新規事業を立ち上げるためのスクール「zenschool(ゼンスクール)」 23期新規募集(残席3名)

第130回MMS放送 「『チームビルディングプログラム』を展開し、結果を出せるチーム 作りのノウハウを広げる」中編 楽天株式会社 楽天大学学長 仲山考材株式会社 代表取締役 仲山進也さん

前編からの続きです。

 https://zenmono.jp/story/275

●最初はわからないことだらけだった

enmono(三木)   楽天に入った時のお仕事はどんなことをしていたんですか?

仲山         一番最初は朝会(あさかい)っていうのが毎週月曜日8時から、9時半始業なんですけど、月曜8時からあって、全社ミーティングがあるんです。僕、入社日が月曜日だったので、いきなり最初が朝会だったんですけど、ちょうどこのくらいのテーブルの大きさに20人くらい丸く並んで朝礼みたいのをやるんですけど、1時間話聞いてて日本語なのに8割方意味がわからなくて。

enmono   インターネット用語みたいな?

仲山         はい。カタカナはほとんどわからないし、言ってることもなんかわからないし、終わったあと友達に「8割方わからなかったんだけど」「うん大丈夫、そのうち慣れるから」って突き放されて、みたいなスタートだったんですけど。
仲山         で、営業部っていうのがありまして、楽天に出店する新規の出店営業をする部署が営業部。その申し込みをしたあとに、オープンするまでの作り込みをサポートするというのが営業部の仕事で、最初はそれです。

enmono   そこから始まったわけですね。そのあとはすごい勢いで成長していく感じですよね。

仲山         そうですね。僕が入社した時に出展数がだいたい500~600くらいだったんですけど……。

enmono   ああ、充分すごいです。

仲山         それが6月なんですけど、10月に1,000店舗超えて、年末に1,500店舗くらいになって、そのあとすぐ2,500店舗くらいになるんですけど。僕が入社した翌月にECコンサルタントっていう職種ができまして、新規の出店営業からオープンしたあとのサポートも全部、一気通貫で――それまでは分かれてたんですけど一気通貫で――やるという仕事ができて、入社したのが6月21日で、7月から始まったんですけど、それの一人として仕事を始めてみたいな感じで。
仲山         その頃はまだアナログ、ダイアルアップの時代で……。

enmono   ああ、懐かしい。

仲山         電話代かかるから出店してる人たちみんな夜の23時から、テレホーダイっていう定額制のサービスがあって、それをみんな利用するので、夜の23時を過ぎると電話がガンガン鳴り始めるという、それが一段落つくのが24時とか1時くらいで。だいたい2時か2時半くらいに定時として家に帰る。

enmono   朝は何時から?

仲山         朝は9時半から。

enmono   なるほど。

仲山         家では6時間は寝たいので、家にいて意識があるのは、寝る前と起きた時の20分ずつ計40分みたいなのが家で意識のある時間で、あとはずっと会社にいるという感じでしたね。

enmono(宇都宮)   カタカナ用語が全然わからなかった仲山さん的には、そういう仕事はスッと入れたんですか?

仲山         いや、全然スッと入れないです。毎日まわりの人のしゃべってる内容に聞き耳を立てたりして、「ブラウザってなんだ?」っていうところから始まるんで。「ブラウザっていうのはこの『ネットスケープ』って書いてあるヤツのことなんだな」とか。

enmono(宇都宮)   パソコン自体は使えたんですか?

仲山         パソコンは会社に入って、メールとかワードとかは使うようになる、という感じです。

enmono(宇都宮)   お客さんとの会話とかはどんな感じなんですか?

仲山         思いっきり手探りでわからないことだらけで、みんなに毎日のように怒られながらちょっとずつ覚えて。ちょっとずつっていうかものすごい勢いで。電話かかってきまくるので、全員で電話を取りまくるっていう全員コールセンターみたいな感じなんですよ。みんな出店したばかりで右も左もわからないみたいな人たちばかりなので、すごいんですよ。

enmono(宇都宮)   それが500、1,000、1,500……。

仲山         そのスピードなんで。

enmono(宇都宮)   社員もその勢いで増えていったんですか?

仲山         全然増えなかったですね。だから最初ECコンサルタントは一人80店舗くらい担当だったんですよ。その時点で。それが半年後には200店舗に増えて。

enmono(宇都宮)   すごいペースですね。じゃあ「電話繋がんねーぞ」という感じなんですかね。

仲山         はい。これはサポートできていないなという感じが段々精神的に負担になってくる中で、三木谷さんが楽天大学を作るっていう話をし始めて、その話を聞いて、出店してる人たちが講座を受けに来て、いつもこっちが電話口で一から説明しなきゃいけないヤツをまとめて聞いてもらえるっていうのはすごい画期的だなと思って、すごい喜んだんですよね。

 

●楽天大学の登場
仲山         で、その起ちあげ役が自分に回ってくることになり。

enmono   「キミやって」って?

仲山         はい。お正月に副社長から電話かかってきて、「仲山君やんない?」って言われて「はい、やります」と。本当は違う人がやることになってたんですけど、その人が年末に会社を辞めたので。正月明けに「1月20日から始まります」って言われて、「わかりました。どこまで進んでるんですか?」って言ったら「6講座で始まるんだけど、1講座1万5千円で」「中身はどこまでできてるんですか?」「まだ1個もできてないんだよね。じゃあよろしく!」って。

enmono   そこから作り始めたんですか?

仲山         そこからです。

enmono   第1回目の楽天大学はどんな感じでした?

仲山         6個の講座が「インターネットショップ成功の秘訣」という総論的なヤツと、「お店のコンセプトを考える」トップページという切り口で、それこそポジショニング。3C分析みたいな話とか、自分のお店・会社の強みはなんだろうとか。そういうものを考えるヤツと。
仲山         あと「商品ページの欲しくなるような価値の伝え方」みたいな話と「メールの講座」と、オークションの機能があったんですけど「オークションみたいな動きのある企画をどう活用するか」と、6つめがなかなか決まりませんでした。

仲山         副社長と色々ブレストをしながら、「なにを伝えたい?」って聞かれて、楽天のコンセプトっていうのは「Shopping is Entertainment」です。そのエンターテインメントっていうのは売り手と買い手のコミュニケーションが楽しいものとして価値があるっていうのが日本の中にはあるので、人はモノを買う時におしゃべりをして、「この人から買いたい」という形でモノを買うというのが一つあるから。

仲山         要は自動販売機じゃなくて――商品をネットにupするんじゃなくて――店をupするっていうコンセプトが楽天市場なので、売り手がお客さんとネット上でおしゃべりをする、コミュニケーションを取りながら商品の価値を伝えて距離感を段々縮めていって、商売を大きくしていく、「Shopping is Entertainment」のそういう意味合いを伝えたいなと。

仲山         その時に「魅力=コミュニケーション量の2乗」というフレーズを三木谷さんが使っていて、要はコミュニケーションを取れば取るほど指数関数的に魅力っていうのは伝わる、共有できている状態になる、そういう発想だったのでコミュニケーション量増大の秘訣というテーマで講座を作りっていう感じで始まって、僕まだその時に入社半年で箔がなさすぎるので会社の講座は創業メンバーが三人――社長は出てこなかったんですけど――やってました。

enmono   全体としてうまく回った感じがありましたか?

仲山         結局うまく回るというか、その頃はなんの仕事をやるにしても全員が必死というか。

enmono   そうでしょうね。

仲山         膨大な業務量に押し流されながらも、その中で電話かかってきたり、メールやり取りしたり……それこそ夜中にメールやり取りすると、チャットもない時代ですけど、チャット状態で何往復もおしゃべりをするという関係の店舗さんもいて、「仲山君、月商100万というのはどうやったらできるのかね。今ウチ30万だから想像もつかないんだけど」みたいな話を。

仲山         で、僕らも「どうしたら売れるんですかね。100万も。売れてるお店はこんなことやってますけど」みたいな話を紹介したり。そういうおしゃべりをしてたところが、今はもう月に1億とか2億とか売れるようになってたりというのが、この10何年の間にあって、ずっと僕はそうやって現場で出店してる人たちと一緒にどうやったらもっといい商売ができるようになるのかねっていうのをずっとやってきているので。

enmono   現場で考えながらここまで来たということですね。

仲山         そうです。そこはあんまり変わってないんですけど。なので逆に言うと、仕事してる相手が社内の人よりは常に社外の人のことが多くて。
仲山         あとは僕が今なんでこういうスタイルになっているかっていう話でいうと、最初のスタートの時っていうのはネットショップっていうのは胡散臭いものとか、そういうスタートライン。世の中の認知度的にもそういう感じだったので、いかに安心して信頼してもらえるかっていうところがものすごく重要だったり、きっちり対応しないと相手にしてもらえないというところが大事だったりということだったんですけど。

仲山         段々eコマース自体が軌道に乗ってくると、みんなが欲しそうなものを持ってきて大量に仕入れてきて安く売ってセールかけてという風にするとボンと伸びるみたいな時代になってくると、僕がそれまでやってきた丁寧に売るみたいなノウハウというかやり方みたいなのって効率が悪いとなりますよね。だからもっと効率的に売上を伸ばす手法として、こんな風に売れるものを引っ張ってきて安売りすれば、広告すればいいんです。っていう売り方をするという人たちが成功という流れができて。

enmono   楽天の中でそういう流れができたんですね。

仲山         はい。で、それに乗っていく人とか、あとは新しく入ってきた人はそれが楽天の成功のやり方だっていう風に思うので、そういう人たちが引っ張っていくというか、走っていっちゃうみたいなのを、ちょっとついていけないなと思いながら見てるっていう感じになってきて。

 

●なにをやっているかよくわからない人に……
仲山         「なんか最近やることなくなってきたな」みたいな時に、テレビで「三木谷浩史さんがヴィッセル神戸のオーナーになりました」というニュースを見て、その時にたまたま社内の合宿があって晩ご飯の時に三木谷さんが僕の目の前だったんで、「はい、サッカー好き(挙手)。神戸、神戸行きたいです」って言ったんですけど、あれは三木谷さん個人でやってる会社のお買い上げで、楽天とはまったく資本関係がない。

仲山         ただ社長が一緒なだけなので。楽天からは誰もやらないよと言われて、「なんだ……」って思ったんですけど、2週間後くらいに秘書から内線がかかってきて「三木谷さんがお呼びです」。で行ったらめっちゃニヤニヤしながら「キミの願いを叶えてあげよう。明日から神戸行ってきて」と言われて。

enmono   それはどういう仕事で?

仲山         って聞いたら「なんか開幕準備で忙しそうだから手伝ってきて。2ヶ月かな?」って言われて「わかりました」と次の日から本当に行き、結局1~2ヶ月じゃなくて、なんにもわからないし業界のことがわからないので、みんな忙しそうにバタバタしてるし、なんかできることないかなと思って見回したらオフィシャルグッズとかユニフォームがあったので、売るモノあるんだったらネットで売れるところ知ってるなと、楽天市場に普通に出店申し込みを入力をして。

enmono   社員なのに(笑)。

仲山         届いた申込書に書いてクリムゾンフットボールクラブ代表取締役三木谷浩史っていうハンコを押して。

enmono   (笑)。

仲山         で、楽天の三木谷浩史さんに出店申込のFAXを送るっていう。三木谷to三木谷とか思いながら。向こうのグッズ担当の方を店長にして、一緒に結局2004年のシーズン1年間ネットショップを自分でやってみるという体験をして、結構売れてですね。

仲山         ヴィッセルの役員の人がほかのクラブの人の経営者とかで集まる会とかで「ウチ楽天始めたけど、これくらい売れてるよ」って言ったら「なんであのファンの少ないヴィッセルが? ネットでそんなに売れるのはおかしい。ちょっとやってること聞かせて」ということになり、色んなところに呼ばれて話をするみたいなことをやってました。
仲山         それをやっているうちになにが起こったかというとホームとアウェイの感じで東京と神戸を1週間ごとに行ったり来たりするみたいな感じになったんですけど、「会社にいることは期待できない人」という立ち位置が確立して、いなくても誰もなにも困らないという。
仲山         逆に言うとマネージメントでもないし、部下もいなければ、なにをやっているかもよくわからない、そういう状態になって。ヴィッセルの仕事は楽天の人事発令には一切出てこない非公式お手伝いなので、僕のことをちゃんと評価できる人が誰もいなくなるわけですね。三木谷さんしかいなくなる。

enmono(宇都宮)   人事じゃ評価できない。

仲山         部署のマネージャーっていうのはいるんですけど、その人は「自分のコントロール下にはないし」ということなので。そこでなんかサラリーマンとしてはおかしな立ち位置になってしまいまして。

enmono   今も同じ状態・状況なんですか? 評価者は社長なんですか?

仲山         違います。誰も評価はしない。

enmono   誰も評価しない(笑)。

enmono(宇都宮)   自己申告なんですか?

仲山         自己申告もしないです。

 

●兼業フリー、勤怠フリー、でも正社員
仲山         その後会社に戻ることになるんですけど、2004年のシーズンがちょうど終わったくらいのタイミングで会社へ出社したら役員が来て、「来月から出店者さん向けの月刊誌を創刊することになったの聞いた?」「いや、聞いてないです。めっちゃ大変じゃないですか。紙の媒体作るの」って。「でしょ?」「誰がやるんですか?」「でしょ? みんな忙しいじゃん。年末とかみんな書き入れ時だから、忙しいから仲山やって」って言われて、12月から1月の創刊に向けて。

enmono   1ヶ月?

仲山         はい。というのをやるために会社に毎日行くことになり2005年の1年間は月刊誌をずっと作るという。

enmono   月刊誌って大変ですね。1ヶ月しかない。

enmono(宇都宮)   編集者はいるんですか?

仲山         編集は僕です。制作協力はいます。レイアウトをしてくれたりとか。

enmono(宇都宮)   DTPとか。

仲山         そういうのはやってくれる。印刷とかもお任せですけど、みたいなのを1年やって、それを誰かに引き継ぐことになり、あんまりやることがなくなったんです。その時に新卒の採用数がうなぎ登りに増えてて、3人、3人、3人、30人、70人、150人みたいな感じで増えていくんですけど、グループ全社で150人採用する中で楽天市場に60人来ますみたいな。

仲山         「これどうしよう?」みたいなのが、また「やって」っていう。で、1ヶ月まるまる教育係をやるというのもやり始め、それが終わるとまたやることがなくなってきて、新しいことを始めようと考えるんですけど、その頃にはだいぶ組織が大きくなってきて、なにか新しいことを始めようと思ったら「こんなことしたい」「こんな講座を開きたい」といっても話を通さなきゃならない人が10人くらい増えてるんですけど、みんな忙しいからそんな新しい講座とかどうでもいいんですよね。

仲山         それをやったら流通総額はナンボ伸びるのか、くらいしか興味がなくて、「チームビルディングやったからって何パーセント伸びるかなんてまったくわかりません」みたいなことになってくると、どうにもなんにもできない感じになってきて、この感覚って前の会社でモヤモヤしてた時の感じ「また来たな!」ってことがわかって。

仲山         僕、そういうのが合わないなと思ってちっちゃい会社に入ったのに、いつの間にか大きくなってしまう。「そろそろ、かな?」ちっちゃくするのももう無理だし。「そろそろ……(お別れ)」という話をしてみたところ、辞めずに済む方法を考えようみたいなことになって。
仲山         普段出店している人っていうのは全国中小企業の経営者の人が多いんですけど、そういう人たちとチームを作るとか、そのためには理念が大事だよねとかいうのを日々やってるんですけど、なんでみんな社長なのに僕だけサラリーマンなんだろう? というのがまた違和感としてあって、社長視座っていうのは1回社長をやってみないとわかんないなと思って「社長……やってみたいんですよね。でもこの会社で社長って当分無理ですよね」。グループ会社の社長になっても結局上司がいるし、みたいな。そんな感じで話をしてて。
仲山         だからここにいても本当の社長視座は味わえないみたいな話をしたら、「じゃあ兼業フリーで勤怠フリーで、でもまぁ正社員。そういうことにしよう!」ということになって。それだと辞めなきゃいけない理由がなくなったので「わかりました」と言って2007年からその感じに。

enmono(宇都宮)   起業されたんですか?

仲山         そうですね。その次の年にとりあえず会社を作ってみるという作業をやってみた。起業というか「会社を作ってみた」だけなんですよね。

enmono(宇都宮)   え、でも資本とか……。

仲山         資本は1万円で。

後編へ続きます。

 https://zenmono.jp/story/277 



▼仲山進也さん
https://www.facebook.com/shinya.nakayama

▼WEBSITE
http://university.rakuten.co.jp/about_us

 

story一覧