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第114回MMS放送 「香道とイノベーション 創造する伝統」 香道研究家  伊達晟聴さま

●いい加減に生きる
enmono   はい、ということで第114回マイクロモノづくりストリーミング本日も始まりました。本日は私も学ばせていただいておりいます香道研究家の伊達先生にお越しいただきまして、日本の香道とイノベーションについて。香りというものは様々な人間の発想や文化に影響しているということを中心にお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

伊達         よろしくお願いします。まずこの伊達晟聴(せいちょう)という名前なんですけども、こちらは香道名で高野山のお坊さんにつけていただきました。晟っていうのがちょっと難しい字で「日」に「成る」と書きます。その意味を和尚に伺ったら、「太陽が昇っていく、その日の香りを焚いて徳を積みなさい」という意味で。なんだかすごい名前じゃないですか。
伊達         「じゃあどのようにして生きていけば……」と伺ったら、「深香如意」ということを仰ったんですね。で、まだ難しいなと思って、その心はと伺ったら「ええ加減に生きよ」と(笑)。ええ~、どういうことですかと。「みんな普通はええ湯加減って言うじゃろ? 熱かったら火傷するし、冷たかったら風邪を引く。仏教の修行にはものすごく激しい修行から怠けるものまで幅があるけれども、その真ん中の中道を堂々と歩みなさい。そういう意味で「いい加減であなたは人生を過ごしなさいよ」ということだったんです。

enmono   素晴らしいですね。

伊達         そういう名前をいただいて、それ以来、香道に励んでおります。

enmono   なるほど。先生との出会いが三年前くらいになりますか。とある社長さんからご紹介いただきました。私も最初は香道というのがよくわからなくて、香りを聞いて当てるっていうイメージしかなくて、それを全部覚えるのって大変そうだなというイメージがありました。

伊達         香道というのは香に聞いて(嗅いで)その香りの趣を想像したり、組み合わされた香を当てたり、その印象を歌に詠んだりして楽しむものです。香りと文学が結びついたのは日本独特の文化で、世界中探してもないんですね。歌の心を香りで楽しんでみましょうっていうのがあって、組香といって様々な香りを組み合わせて歌の心を表現するというのがあるんですね。


伊達         三夕香(さんせきこう)というのがありまして、新古今和歌集の「三夕の歌」――以下の三つ。

「心なき身にもあはれはしられけり 鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮」(西行法師)
「見渡せば花ももみちもなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮」(藤原定家)
「さひしさは其の色としもなかりけり槙立山(まきたつやま)の秋の夕暮」(寂蓮法師)

伊達         秋の夕暮れの趣を味わいましょうという香りが出るんですが、西行がいつどのような状況で歌ったのか、彼の人生はどうだったのかというのを知らないと面白くもなんともない。

enmono   僕も実際にやってみて香道というのが非常に刺激的だったのは、毎回異なるテーマで先生が書いてきてくださるテキストです。こないだやっていただいたのは「スティーブ・ジョブズ」という題で、まず彼の人生をテキストから読み解いて、スティーブ・ジョブズの人生と、聞いた香の香りでどういう歌が詠めるかという、かなりチャレンジングなお願いをしたんですけど。

伊達         三木さんのリクエストで(笑)。それでまた歌が上手なんですよ。どんどんどんどん歌を詠まれるので、素晴らしいなと思いますね。

●カメラマン・企画・編集者時代
enmono   先生は香道の道に入る前は、実はカメラマンとしてご活動されていたということで、その辺のお話も。

伊達         カメラマンと企画や編集をやってましたね。


伊達         大阪の大学で、四年間写真部に在籍していました。大阪の大学のクラブ活動ってレベルが高くて、すごく優秀なんです。僕もそこでうまく撮れたもんですから、大学を出てプロのカメラマンを目指したわけですね。東京写真専門学校で写真を学びました。写真学校で先生に君は自分(先生)の陣営に入れと言われたんだけども、先生陣営ってなんですかと。「代々木だよ、代々木」と仰って。というのは共産系の新聞を出しているところのことで。
伊達         いやぁ、あまりよく知らないなぁ。政治のことも歴史のこともわかってないなと思って、大阪に帰って、親に「ごめん、もう一度図書館へ行かせてくれ」と。で、図書館生活を二年間やりました。毎日昼飯のうどん代だけもらってね。歴史の本をずーっと古代から現代まで読んでいくんですね。その時のことが今でもすごく役立っています。

伊達         友達が写真のグループをやっていたので、そこへもういっぺん入りました。東京オリンピックのポスターを撮影された早崎治先生のところでその友達がアシスタントをやってたんですが、それを辞めたんですね。で、代わりに誰かを送りこまなければならない。で、僕がそこに入ってアシスタントをやりました。スタジオの雑巾がけが初めての仕事で……。どうもスタジオワークは向いてないなと、そこはすぐ辞めてしまって。だけど時々、遊びに行くわけですね。

enmono   あ、辞めても遊びに行ってたんですね。

伊達         ええ、そういう関係の辞め方ですから。そうしたら先生が「この日空いてないか?」って言うんで「空いてますよ」って言ったら、「私はスケジュールが詰まっていてできない。だからおまえ行け」って電通に行かされたんです。自分は最初報道をやってたんで報道写真の総合誌を持って電通に行ったんですね。それを見てもらったら、「じゃあやってくれませんか?」って。日立のポンパ列車が全国を回るんです。ディスカバー・ジャパンの。その新聞の見開きが最初の仕事です。

※日立ポンパ列車……1970年、カラーテレビ「ポンパ」のプロモーションのために電通が企画した列車キャラバン。

enmono   最初の仕事でそんなデカイ仕事を……。

伊達         そうなんです。そこから始まってカネボウ「ダンディMkⅢ」という化粧品、TOYOTA、資生堂とかね、あとCanonもやりました。当時、週刊誌がありまして、週刊誌を開いて最初のところに出てくるキャンペーンの仕事を担当していました。カネボウの場合はすごいエピソードがあって……。

※カネボウは当時(1972~73年頃)、自社商品の名を冠した「カネボウダンディMkⅢ」というレーシングカーをF2000クラスのレースに出場させていた。

伊達         そのレース本番の日が土砂降りなんですね。ダーッと雨が降って、当時はデジタルカメラじゃないですよ。露出計の針が振れまくって、レンズは1000mm以上で、向こうは250~300kmで最後ターッと走ってくる。どうしたものか……追っかけたら全部ピントがズレてる可能性があるわけです。ハッと気づいて地面はそのまま動かない。咄嗟に地面にピッとピントを合わせたんです。スーッと来て、ボケてる間からシャッターをパッパッパッパッと切っていったんです。

enmono   モータードライブだったんですか?

伊達         ええ。6,7枚撮れたんですね。で、次に(2周目のダンディMkⅢが)来るかと思ってたら来ないんですよ。慌てて連絡したら「クラッシュ!」「撮れました!?」って聞かれても(フィルムだから現像してみないと)そんなのわからないでしょ。昔は切現(きりげん)って言って36枚撮りのフィルムの最初の方を少し切ってテスト現像するんですが、その時はテスト現像ができなくて本チャン現像にすぐ入れなければならなかった。だから露出が狂ってたら終わりなんです。それで2時間半から3時間、現像が上がってくるのをもう祈りながら待って……「撮れた!」と。

enmono   そういう中をくぐり抜けて、香に出会ったのはどういうきっかけがあったんですか?

伊達         編集の仕事で、香道の本を作ってほしいという依頼があったんです。それを始めましたら編集者を二人行かせてもなかなか上がってこないんです。「どうしたの?」って言ったら「先生が雑談ばっかりで中身を言ってくれない」。「じゃあ仕方ない僕たちが作らなきゃいけないじゃないか」って言って僕が香道の勉強を始めた。そうしたらクライアントのプロデューサーみたいな人が、「どうもあなたは香道に向いてる。香道やってくれ」という流れで香道を研鑽するようになったんです。

●香道具
enmono   香道をご存じない方のために、どういう道具を使っているか解説していただけますか?

伊達         こういうものですが、これが乱箱(みだればこ)といいます。ここにだいたい香道の道具が入っています。ここに(乱箱の真ん中に)重香合(じゅうこうごう)というものがあって、これが本香盤(ほんこうばん)。この本香盤の貝の上に――。

enmono   あ、それ貝なんですね。

伊達         貝なんです。この上に、こういう銀葉を乗せるわけですね。これは雲母でできています。この上に香木を乗せます。これを香炉にかけるわけですが、その前に銀葉を置いておいたり、炊き終わった後に置くのが本香盤です。これは隔火(へだてび)といって香木と火が直接当たらないようにするわけですね。直接当たると煙が出たり燃えたりするので、スーッといい香りが長く続くように。

enmono   香炉に灰が入っていて、その上に香炭団(こうたどん)――炭を熱したものを入れて、先ほどの銀葉を置いて、さらにその上に香木を置いて、香りを聞くという形になります。

伊達         これが香袋。

enmono   非常に一つ一つが高価な物でして、香袋の中には細かい香木が入っています。

伊達         これをお見せしたらいいと思います。これは六十一種名香の一つで枯木(こぼく)といいます。馬尾蚊足(ばびぶんそく)といいまして、馬のしっぽか蚊の足かというくらい細片を焚くんですが、こういうものです。これは室町時代から伝わる香木ですね。これは大倉集古館の方からいただいて、大切にしているものです。

enmono   室町時代からですか。すごいですね。

伊達         婆娑羅大名佐々木導誉という人物がいまして、名香を集めるんですね。それが足利義政とかその後の人たちに伝わっていくわけです。

●心の旅
伊達         主題となるもの――先ほども出ましたけど西行の歌であれば西行のことを知っていないと本当に味わえないということで、物語る香りといって「主題となる人物の人生を語っていって、皆様がその人生に共感していって、だいたいわかったなというところで香りが出ていく」と。

enmono   そのスタイルは先生独自のものなんですよね? ほかの方は多分やられていない。

伊達         ええ、そうなんです。

enmono   毎回すごい分厚いレジュメを渡されまして、それをまず先生と一緒に読んでその人の人生を想いながら香を聞くという。

伊達         今、2年間でやっているのが、縄文時代の富士山の噴火から始まって、現代の寺山修司まで。宮沢賢治とか織田信長とか一休さんとかもありますけど。今月の終わりには西行と源平の世をテーマにやっております。昨日もお香をやってきたんですけども、結局はこういうことなのかなと。「聞香(もんこう)心の旅」。

enmono   なるほど。旅しますもんね。

伊達         心でもって様々なところへ行ったりして、様々な人の心と共感をする。心っていうのはものすごく難しいんですね。すぐに固まってしまうし。

enmono   先生は香道を伝統的にやるだけではなく、様々な文化の人たちとか、様々なところとコラボレーションというか一緒にやられていて、フランスの化粧品(香水)会社の方々に対して香道をやられた。

伊達         アジア地区のセールスマネージャーが40人ほど集まられて、6カ国語くらいかな。中国の方もいれば韓国の方もいればフランスの方もおられて、なにをテーマにしようかとフランスがメインの会社ですから『星の王子さま』をテーマにしたんです。僕が日本語で話すと通訳の方が英語にしてくれる。その通訳の方がすごく慣れていて、普通のスピードで話しても結構ですよと。で、英語にしてもらうと各テーブルでは英語のできる各国の方が即座に母国語にという流れで、2時間くらいかな楽しんで。

enmono   まず『星の王子さま』の教本を。

伊達         ええ、それを作って、説明するわけです。

enmono   それで基本的な香道のやり方も教えて、香りを聞いて、それを……?

伊達         コメントするんです。いろんな国々の個性があって意見が出てきましたね。

enmono   香水ってすごく香りが強い気がするので、そういう香りに慣れていらっしゃる方が、香道の儚いような香を聞けるのかなとちょっと疑問があるんですけど。

伊達         すごく興味を持って、即座に香道具一式買って帰られました。香の香りってすごく微妙だけども、香水を作る人たちってのは香りが命なんです。これはディオールの調香師が本に書かれていたんですけど、「香りってなんですか?」と聞かれたら「香りは命です」自分の命と一緒だと。参加された皆さんのコメントも素晴らしかった。すぐに「ファンタスティック」って。

伊達         海外の方とは何度かやりましたけども、涙を流された方もいらした。やっている最中に(香を聞きながら)ダーッと泣かれるんですね。どうしたものかと思ってお聞きしたんです。こういう素晴らしい文化、遊び方を日本人が守り継いでいる、そのことが本当に嬉しい。

enmono   その方は何人だったんですか?

伊達         アメリカ人。その人は香りのセラピーの人かな。なんでそこまで泣かれるんですかって聞いたら、「昨日大統領選挙だった」それで「アメリカの将来にとってよくない人がまた選ばれてしまった」と。それで「これは地球はどうなってしまうのか……」と思っていたところ「こういうことを楽しんでいる日本という国があるではないか。日本の人々がいるではないか。まだ大丈夫だ」と。それで涙が出てきたっていうんですから感動的ですよね。

●常に攻めの姿勢――創造する伝統
enmono   そういうご活動の中心になっている先生のコンセプトが「創造する伝統」創造とはクリエイションであると。

伊達         クリエイションですね。生みだす方の創造。伝統っていうのは常に攻めていかないと廃れてしまう。これは私が関係している財団のコンセプトも、「創造する伝統」。

伊達         これは芳賀徹先生が「創造的進化」というアンリ・ベルクソンの概念から引き出されたんですけども、伝統というものは常に新しく変革して、命をキラキラさせないと次へ続かない。だからといって今までの伝統をポンとやめて、なにか新しいことに目移りしてやるのかというとそれは全然違う。

伊達         伝統を、一つのことをずっと突き詰めて突き詰めて突き詰めていくと、コップに溜まった水がツツツと溢れ出てくる。この溢れ出てくるのが新しい創造性だと。ここまでその伝統を突き詰めなさい。ですから香道も徹底的に今までの香道を突き詰めていくことによって、新しい息吹がそこから出てくると。ですから最初香りと主題を組み合わせた。ところが残念なことに僕たちは歌の教育を子どもの頃からやってないわけです。

enmono   僕も香道をやり始めてから歌も少し書くようになりました。

伊達         ほとんどの組香でやってるのは昔の歌のことで、だからもう一度その主題を徹底的に突き詰めなきゃいけない。ということを思って、主題を突き詰めることによって香りも変わってくる――という風に考えたんですね。ですから人の人生をもう一度味わう、体験する。

enmono   追体験するんですね。

伊達         ええ。だからある会社の社長が「伊達さんのやっている香道はセミナーより面白いよ!」と。

enmono   ちょうど経営者という言葉がキーワードとして出たので、香道が経営者や経営に非常によい影響を与えるのではないかという気がしておりまして、実際行動を始めてから感覚が鋭くなったんですね。香りを聞くという非常に微妙なところを聞き分けるという部分が、経営をしていると色々な事象が起きる、その時の判断が結構正しい方向へ向いてきたような気がしています。微妙な違いをすぐ判断できるようになったといいますか。

伊達         香りは脳の辺縁系というところにダイレクトに入るんですね。これが感情を司っています。怒りとか喜びとか。そこに入りますから、自分の人生と香りが一緒になって、コメントできるわけですね。たとえば織田信長をテーマにすると、セミナーだったら織田信長の話を聞いてそのまま帰りますよね。ところが香席では織田信長の話を聞いて、もう一度香りでもって織田信長を体験するわけです。これが一番いいところなんです。

enmono   学習にもすごくプラスになりますよね。その香りを聞いて、そのことを思うと、情報がそのまま身体の中に取り込まれるという。

伊達         そういうことですね。新しくモノを生みだすという時には徹底的にいろんなことを知って、探求していかないといけない。そのためにもいろんな主題を体験していくということは、とてもいいことだと思います。

enmono   僕らもzenmonoで「禅と経営」というのをやりまして、その時はまず尺八を演奏していただいて、その後でセミナーをやったんですけど、尺八の音色にみんな集中するのでとても集中力が高まって、そこでみんなでブレストしたらものすごくそこに生き物がいるような感じがあって、アイデアが膨らんだんですけど。

伊達         香りに聞いていく時っていうのは禅の精神と同じですね。呼吸がスーッと整っていって、脳が活性化してくる。藤本義一さんっていうもう亡くなられた作家さんが仰ってるのは、香道が今もう少し盛んになったら日本の文化は5%アップするって。

enmono   あらゆるところに影響を及ぼすということですね。

伊達         脳が活性化していくわけですね。今僕たちが日本の文化って呼んでいるのは、だいたい東山文化で生まれたものなんですね。足利義政が銀閣寺を造った時に、儚さとか左右均等じゃない不均衡、そういうコンセプトが4つくらいあって、ああいう銀閣寺を造ったんですが、考えてみればこれはドナルド・キーンさんが言ってるんですね。

伊達         あの時代、応仁の乱が10年も続いた後、中国から建築技術も入って石でできる建築も造れたはずだと。なぜ義政は木と紙とで造ったのか。これは儚さなんですね。今の建物はコンクリート。もう建物はコンクリートを選んでしまった。道だってアスファルト。そうすると東山文化で培われてきて今まで来た日本の文化って、それに太刀打ちできるのかって。このコンクリートの中に住んでしまっている僕たちは今もう一度日本の文化を見直さなければいけない。そうしないと逆にこのコンクリートのジャングルの中で自分が痩せ細ってしまうんじゃないかと。

●日本の文化・芸術の未来
enmono   香っていうのは非常に人間の脳を刺激して人間をクリエイティブにしていくと思うので、そういった香の文化と、最近のIoTですとかインターネットというものでなにが生み出せるのかというのは僕らの課題なんですけど、香をベースにした僕らは今後生み出していきたいなと思っております。

伊達         はい。

enmono   最後に伊達さんがお考えになる日本の文化・芸術の未来について、コメントをいただければと思います。

伊達         これは辻邦生氏の歴史小説『西行花伝』に書かれていることですが、西行は奥州を旅して帰ってきて、再会した友人が西行の変わりように驚いたそうです。呼吸がふわぁっと静かで、岩のような男になっていて、友人がどうしたのか尋ねると、「旅であらゆる悲劇を全部見てきた。悪党に犯される娘さんもいれば、人に刺されてる人、路辺で骸骨になっている野ざらしの人々まで。そういう人を見てきた時に、自分はそれを全部受け入れよう」と。今自分にグサッと短刀が突き刺さった瞬間でも俺は良しと言えるような……なんでしょうね、これ……胆力。

enmono   覚悟?

伊達         覚悟。それを持つんだと思った瞬間に、すぅぅっと心が落ち着いたと言ったそうです。
大いなる笑いっていうかね。高らかな笑いっていうのがとても重要なんじゃないかと思います。つまり、最後に残っているのは想像力と心なんですね。心のエネルギーっていうのは常に生みだしていかなければいけない。心って(放っておくと)エネルギーがなくなってしまう。そうすると世の中もシリアの問題があったり、不幸なことが地球上にあるけれども、これにめげてはいけない。

伊達         それを高らかに自分のものとして引き受けなければいけない。引き受けた上で、新しい哲学的なことを作っていかなければならない。人類哲学の創造というのを梅原猛先生が今京都で考えられて作っておられると思います。それに協力して、人類がもう一度使えるような哲学、そういうものに向かえたら。というのは日本には山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)、つまりあらゆるところに草や木、川、石、そういうものに仏の魂が宿ってるよっていうような発想があるわけですね。

enmono   八百万の……。

伊達         はい。そういうものを使いながら本当に心から高らかに笑えるような、そういう思想を生みだすべきじゃないかなと。

enmono   今日は貴重な時間をありがとうございました。

伊達         こちらこそありがとうございました。



 

 

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