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「MC工作機械を3台も持つデザイナー」(有)ファクタスデザイン ハチロブンシュウさま

2013_9_20 第65回MMS放送「MC工作機械を3台も持つデザイナー」

(有)ファクタスデザイン ハチロブンシュウさま

MMS本編

 

●削りたい!

enmono 第65回MMSは、こちらファクタスデザインさんからお届けいたします。本日のゲストは鉢呂文秀さんです。よろしくお願いします。鉢呂さんはファクタスデザイン(自社ブランド名:ファクトロン)という会社の代表で、プロダクトデザイナー、クリエイター、加工職人でもあります。

 

鉢呂       いろんなことをやっているんですけど、基本的にはインダストリアルデザインで、あとはモデリング、オリジナル商品の企画、OEM、コンテンツデザイン、切削加工による小ロット生産といったことをやっています。1988年に工業デザイン事務所に勤めて、翌年から5年くらいオリエント時計という時計メーカーに勤務をして、そのあとまたデザイン事務所に行って2年くらいやって独立して。2007年からは自分でモノを作って売ろうという発想で、製造物販を開始しました。「商品企画、デザイン、設計、試作、開発、販売」をワンパッケージでやります。

 

enmono まさにマイクロモノづくりの先駆者ということで。

 

鉢呂       インダストリアルデザインとは何かというと、例えば産業機器の筐体や携帯電話、いろいろな民生品が多いんですけど、そのほかにモデリングといって二次元の絵等から三次元のデータを作成するという仕事もやっています。ほかのデザイン事務所とちょっと違うのは社内に切削加工機があるので――。

 

enmono ちょっとじゃないですよ、かなり違うんじゃないですか? 三次元プリンタは最近置いているところもありますけど、工作機械ってまずないですし。200Vの電源でクーラントもあってフィルターもあって本格的な工場じゃないですか。上は普通のマンションですけどクレームとか来ません?

3台の工作機械が並ぶ工房の様子

 

鉢呂       入居する時にアトリエ・工房みたいに使いたい、ちっちゃい工作機械を入れるっていう話をしてOKもらったので問題ないです。

 

enmono でも今はガチの……。

 

鉢呂       今は思い切った戦略で。

 

enmono 戦略(笑)。趣味じゃないんですか?

 

鉢呂       趣味ですね(笑)。ほとんど趣味なんですけど。

 

enmono ここまで本格的とは……夢ですよね。その筋の人からすると……(カメラに向かって)だって削りたいじゃないですか。削りたくないんですか!?

 

一同       (笑)

 

●デザインで心がけていること

 

鉢呂       デザイン事務所なのでデザインに対する心得というか、ウチとしては「ゆとりとトキメキ」を与えられますみたいな、アレがほしいコレがほしいという風にドキドキ感を感じる商品を作りたいなと思っています。「かっこいい」だけだとデザインしたものが浮いちゃう場合があって、「ちょうどいい案配」のデザインが一番理想なんじゃないかなと。あと「心地よい感覚」。そばにあると心が和んだり、ホッとしたり、会社としてはそういうのをテーマとしています。

 

enmono それがファクタスデザインさんの「路線」なんですね。


ファクトロン固有のデザインコンセプトが反映された製品群

 

鉢呂       僕らは「ワクワクモノづくり」って言ってますけど、言葉だけだと人によって受け止め方が違いますしね。直接こういうものですよと(商品を提示すれば)、誰でも見ればわかるんですね。身体に作用を起こすための表現だと思ってるんですよ。

 

enmono 言葉やグラフィックでは伝わりづらいものも、プロダクトとして手に触れ、肌触りや質感、重みを感じれば……。

 

鉢呂       それによってすごいザラザラしてる嫌な気分の場合もあれば、スルッとして気持ちよかったりとか、そういうのもデザイナーが選べるので表現しやすいんじゃないかと。デザインを変えるだけで性能・操作性・生産性・環境機能、そういったものを向上させることができる。そうして商品力をアップして売上が伸びるというのが基本です。

 

●デザインとプライス

 

enmono デザインとプライスって難しいじゃないですか。決して安くはないものを作っておられるわけですし。そのあたりで値付けってどんな風にされてます?

 

鉢呂       値付けは基本的には最初にデザインありきなんですけど、ウチの場合、このiPhoneのカバーは出した当時はまだどこもやってなかったので、コストってのはウチが基本だったんですね。

 

enmono ほかがいっぱい出してくるとお客さんにも相場観ができてきますよね。

 

鉢呂       そうですね。ただ、パッと見でもほかと違って、どこまでこだわってるかというのが伝われば、高くても購入されるお客様はいらっしゃるんじゃないかなぁと思うんです。

 

enmono そういう層を狙っているのでしょうか?

 

鉢呂       いや、たまたまこういうデザインをしたら値段が高くなっちゃったということです。富裕層のお客様を狙っているというのはなくて、ウチのお客様だと半分くらいは一生懸命お金を貯めて、買ってくださる方々なんです。

 

enmono それは嬉しいですね。

 

鉢呂       はい。そうするとやっぱり大事にしてくださるじゃないですか。そういうのがいいいのかなぁと思います。あとはデザインを入れると「一つの製品を作りあげた」という思いが生まれるので、社内共通の意識を向上させたり、商品開発の質が向上がしたり、ほかの業種との差別化を戦略的に表現できたり。デザインはパッと見でわかるので、企業イメージをアップすることもそれだけでできちゃいます。

 

●工房見学

マシニングセンタ

 

●ハチロさんとの出会い

 

enmono 最初鉢呂さんとお会いしたのは、RealMakersの懇親会でした。いろいろお付き合いするまでは何屋さんなのかなと。こちらが勝手に抱いているデザイナーのイメージとは違ってたので。

 

鉢呂       なかなかウチは微妙なポジションで。さっきの産業機器だったり民生品みたいなものをデザインをするまでがデザイナーの仕事で、あとはお客さんと作り方をどうしましょうって話をすると思うんですけど、今はなかなか大きいメーカーでも新製品を起こさないようになりましたから。そうするとデザイナーもどんどん減っていく。特に外部ウチみたいなアウトソーシングのデザイン事務所とかデザイナーの人っていうのは、おそらく大変なんじゃないかなと思うんですよ。

 

enmono みなさんどうされてるんでしょう

 

鉢呂       たとえば学校の講師をやってる人もいれば、おつきあいしてるメーカーの専属という場合も多いんじゃないかなと思います。

 

enmono 専属だとそのメーカーと一蓮托生になっちゃう不安もありそうですね。

 

鉢呂       僕も前はほんとに忙しい時があって、その時は二社独占みたいな感じで、ずっとそこの二社を毎日のように訪れて仕事とってたんですけど、突然そこが名古屋に移転しますっていう話があったりとか、そうするとぱったり仕事なくなっちゃいますから。

 

鉢呂       あとは頑張ってる人だとその都度その都度コンペに出して名前を売ってる人もいるでしょうし、逆にウチみたいに独自のブランドを建ててメーカーとしてやっていってるデザイナーの人も何人かいらっしゃいます。

 

●デザイナーも経営を

 

enmono 自社ブランドってなかなか難しいじゃないですか。浸透していくまでのPR活動とか営業活動とかってそういうのはどのように?

 

鉢呂       ウチは基本的には直売メインでいるので、webサイトとかECショップとか。最初の頃は競合他社がなかったので、何ヶ月もお客さんに待ってもらう状況がずっと続いて、その後、類似品も出てきて。そうするとウチのが段々売れなくなるので違うものなにか作らないと、といろいろ作りだしてるのが現状ですね。

可能性の模索~ケース製作から新たなチャレンジへ

 

鉢呂       基本的に同じターゲット層に向けて色々な商品をという発想なんですけどね。ほんとはこの手のやつは月に一個新作を出そうと思ってたんですけどなかなか出せなくて。

 

enmono 月イチって結構大変じゃないですか? だって企画してデザインして製造してって一連のプロセスを毎月まわすってことでしょう?

 

鉢呂       月イチで必ず新製品を出してる会社があるんです。元々は規模の小さなところだったんですが今では大きな会社になって、そこを見習いたいなと。デザイナーとして何か一つ作ってバーンと名前を売ろうという人もいらっしゃるんですけど、それだとほんの一時ですよね。浸透しないですから。やっぱ次から次へと出さないと無理ですよね。

 

enmono 自社だけではできないものに対して、関係工場さん等ネットワークを広げることは?

 

鉢呂       協力工場もいくつかもちろんあって、たとえばアルマイト(※)という表面処理は今のところ自社ではできないのでお願いしたり、あとはネジ等の細かい部品は自社では作っていないのでそれをお願いしたり。ウチでできないものをほかのところにお願いする形ですね。

 

※アルマイト……アルミニウムの陽極酸化皮膜。アルミが自然に持っている皮膜を補い、表面を保護する。

 

アルマイト処理されたゴールドなiPadケース、曰く「王様用」

 

●日本のモノづくりの可能性、未来

 

enmono そろそろ時間も押してきましたので最後に。今までゲストの皆さんに聞いてきてるんですけども、「日本の物作りの未来について」どのようにお考えになっているか伺いたいと思います。

 

鉢呂       製造技術ももちろん必要なんですけども、僕は基本的にデザイナーだと思ってるので商品力を高めるのはまずデザインなのかなと思っていて、デザインと製造方法をうまーくまとめあげたものが最終的にはいいものになるんじゃないのかと思います。

 

enmono そうするとデザイナーさんが技術を身につけるっていうことだけでなく、知識も必要ですよね。

 

鉢呂       そこは勉強しないとダメですけど、今はもうインターネットでなんでも買えますから。チタンでもなんでも買えるので、そういうのを使ってやるのと……あとはやっぱり聞くだけと自分でやるのは全然違うので……。

 

enmono 興味あるデザイナーさんに一度ここへ来てもらって手伝ってもらうといいじゃないですか。

 

鉢呂       そうですよね。ほんとそう思います。

 

enmono デザイナーの方、加工に興味のある方はぜひファクタスデザインさんへお越しいただければと思います。ということで今日はありがとうございました。

 

鉢呂       ありがとうございました。

 

2013_9_20 第65回MMS放送「MC工作機械を3台も持つデザイナー」

(有)ファクタスデザイン ハチロブンシュウさま

■ゲスト 

ハチロさま facebookページ 
https://www.facebook.com/bunshu.hachiro 

有限会社ファクタスデザイン 
http://www.factus.co.jp/ 

ファクトロン ホームページ 
http://factron.net/

 

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