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「地域とつながる町工場の出張カーを作るプロジェクト」有限会社川田製作所 副社長 川田俊介さま

MMS本編

 

enmono 本日のゲストは川田製作所の川田さんです。

 

川田 よろしくお願いします。弊社は神奈川県の小田原市にある、精密プレス加工と金型製作をしている会社です。パートさんを入れて28名ほどの社員の半分以上が60歳以上で、年配の方と若手が入り交じってやっています。社長である私の父が昭和44年に始めました。

 

enmono 川田さんは副社長です。

 

川田 私は4年半前、川田製作所に入社しました。大学までは機械の勉強をしていたのですが、大学を卒業する時にコンピュータがブームになってきていて、「モノづくりよりコンピュータの方がいいな」と思いシステムエンジニアの道を選びました。コンピュータの仕事を17年くらいやった頃、父が70歳を越えました。「川田製作所をどうするんだ」という話になって、「今更だけどモノづくりの方に入ろう」となったのです。前職の経験を活かして、現場よりも管理の仕事が多いです。「町工場で自分ができる事は何か」ということを常に考えてきました。それが最終的に、「出張まち工場」という活動になりました。

 

enmono 「出張まち工場」の活動内容を教えてください。

 

川田 月に1回、小田原で行われている「カミイチ」というハンドクラフト市がありまして、そちらに町工場が出張する活動をしています。今年の4月に活動を始めて、これまでに6回出張しています。

 

enmono 「出張まち工場」で3Dプリンタなどを持ち込んでいるとのことですが、実際に機械を動かしているのですか?

 

川田 動かしています。子どもが一番食いついて見てくれますが、お父さんやお母さんからも「3Dプリンタを初めて見た」という反応があります。「カミイチ」は、地域のお父さんやお母さんが子どもを連れてくるような市です。そのような市に出展することで、町工場が地域と繋がるきっかけとなるのではと思いました。3Dプリンタは2年前に買って使っていたので。

 

enmono プレス金型屋さんと3Dプリンタは真逆なイメージがあります。何がきっかけで購入されたのでしょう?

 

川田 2012年の10月末に『MAKERS』メイカーズを読んだのがきっかけです。3Dプリンタが町工場の新しいモノづくりの道具にもなるという可能性を感じました。本を読んで1週間後には、パソコンを1台買う感覚でそれほど値段が高くない3Dプリンタを注文していましたね。これは3Dプリンタで作った小田原城で、「カミイチ」で販売しています。ジオラマの設計をやっている設計会社さんに3Dプリンタを試してもらい、3Dプリンタで造形しやすいように工夫しました。材料は白い樹脂で、屋根などは色を塗っています。

 

enmono 結構、細かいですね。このクラスだと、3Dプリンタの限界までやっていますよね。

 

川田 石垣もリアルに再現しています。他にも機械加工屋さんやガラス加工屋さんの製品など、町工場発の商品を販売しているのです。

 

enmono 金属を削り出して作ったテトラポットとか。

 

川田 テトラポットは茅ヶ崎市にある株式会社ダイショウさんの製品です。ガラスの一輪挿しは、秦野市のメイク小泉さんの作品です。

 

enmono こちらの刺繍も、「出張まち工場」に関係があるんですよね。

 

川田 本業ではありませんが、制服に名前を刺繍する仕事もしていまして。知り合いの制服屋さんから「ネーム入れの仕事をやってくれないか」と相談され、刺繍機を使いたくて請け負うことにしました。ネーム入れの仕事は2月から3月までの入学前の期間だけが忙しいので、刺繍機を有効活用するためにユーザー参加型の商品を企画しました。お子さんが描いた絵を「出張まち工場」でお預かりしてデータ化し、Tシャツに刺繍します。

 

enmono 通常はTシャツの持ち込みはできませんが、今回特別に、私が普段着ている服にzenmonoのロゴを刺繍していただきました。綺麗に出来ていますね。ありがとうございます。

 

川田 「出張まち工場」からさまざまな活動が派生していて、11月1日から小田原駅前の地下街で「出張まち工場」の常設販売を始めます。

 

enmono 機械も持ち込むのでしょうか?

 

川田 壁面を利用したウォールショップなので、商品だけ並べます。8月には弊社の工場で、「世界に一つだけのクッキーカッターを3Dプリンタで作ろう」というワークショップを開催しました。地元の親子を対象にした、小田原の生業を体験するイベントの一環です。子ども達に絵を描いてもらって、スタッフが2次元のスキャナに取り込んで3次元CADでデータ化し、3Dプリンタで造形します。応募から1週間で満席になるほど、人気がありました。

 

enmono 小田原近辺では、3Dプリンタやメイカーズ系の関連のイベントはなかったのですか?

 

川田 そうですね。小田原初の試みということで、お父さん達も多数参加してくださいました。3Dプリンタは造形しにくい形状があります。3Dプリンタを購入した当初はノウハウもなく、思ったより上手く作れないことが多かったですね。弊社はもともと3DCADなどを使っていたわけではないので、3Dプリンタが3DCADを使うきっかけにもなって、若手も一緒に3Dプリンタでモノづくりをしています。

 

enmono ワークショップはここで開催されたのですか?

 

川田 プレスの仕事をしている第一工場で開催しました。ここは今、新しい企画に向けての秘密基地になっていて、第二工場と呼んでいます。今後、「出張まち工場」の活動をキャンピングカーに積んで、車ごと出張したいと考えています。キャンピングカーは既にあって、前の会社を辞めた時に思い切って中古で買いました。

 

enmono キャンピングカーを「モノづくり体験型の出張カー」に改装するための費用をクラウドファンディングで集められないかということで、zenmonoで準備中なんですよね。

 

川田 現在、「地域とつながる町工場の出張カーを作るプロジェクト」をサポートしてくださる方を募集しています。

 

enmono 3Dプリンタや刺繍機械以外にも、卓上旋盤とかがあると面白いですね。

 

川田 とにかく小さい機械をいろいろ積みたいなと思っています。

 

enmono 「機械を持ち込みたい」という会社さんが出てくるかも知れませんね。

 

川田 キャンピングカーはスペースに限りがありますが、ちょうど第二工場が空いていて、小田原周辺の機械が集まるスペースとして使えそうです。レーザーカッターとか、木工関係の機械もあると面白そうですね。

 

enmono 今後、小田原にいるメーカーズさんとも繋がりが出てくるでしょうし。

 

川田 活動を続けていれば出会えるのかな、と思っています。弊社は地域に根ざした町工場を目指しています。メイカーズというブームの中で、地域の人が作りたいものを町工場と一緒に作るというようなコラボレーションも生まれたらいいな、と考えています。我々のような小さな会社でも可能性は無限大で、やろうと思えばいろんなことができると感じていて。それは、zenshoolに入ったことがきかっけになっているんですけれども。

 

enmono 川田さんはzenshoolの卒業生です。

 

川田 zenshoolを卒業されて自社商品開発などをやられている方々と出会えたのは、すごく刺激になっていますね。下請けからの脱却や海外進出、技術を極めるなどの策が中小企業の生き残り策と言われていますが、モノづくりの世界に入ったばかりで知らないなりに感じているのは、それぞれの経営者が知恵を絞って自分にできることを取り組んでいった形は、もっと多様化していくのではないかと思います。

 

enmono 各社それぞれに、という感じでしょうか?

 

川田 はい。自社商品開発をする会社があったり。弊社の場合、小田原という都会ではない地域にあり、この環境を上手く活かすためにも「地域のための町工場」を目指したい、小田原の土地でやっていきたいなと。それぞれの会社なり個人が、それぞれの地域や技術で楽しいモノづくりをしていったら、日本のモノづくりはもっとぐちゃぐちゃした、ワクワクする感じになっていくのではないでしょうか。そういったモノづくりの一部を、私達の会社も担っていけたらと思います。

 

enmono ありがとうございました。

 

 

 

 


’14/10/24 第91回MMS放送(ゲスト:川田様)


 

 

有限会社川田製作所
 

 

 

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